二輪車世界市場、2030年には18.3%増の6576万台---電動化も加速

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矢野経済研究所は、二輪車の世界市場の調査結果を発表。2030年の市場規模は2020年比18.3%増の6576万台に拡大すると予測した。

調査は 2020年12月~2021年5月にかけて二輪車メーカー、サプライヤー、関連団体等を対象に、同社専門研究員による直接面談(オンライン含)、電話等による取材、ならびに文献調査を併用した。

2020年はコロナ禍で15.2%減の5557万台

2020年の世界の二輪車市場は、販売台数ベースで前年比15.2%減の5557万台となった。新型コロナウイルスの影響で各国の消費マインドが冷え込み、同43.6%減となったインドネシアを筆頭にインド、ベトナム、フィリピン、タイなど主要国の市場で前年比2桁マイナスを記録した。

一方で、日本や米国、欧州ではコロナ禍でのソーシャルディスタンス確保やレジャーでの需要拡大で前年より微増するなど、国によって明暗が分かれている。しかし、日本や米国、欧州など先進国の販売台数規模は小さく、世界規模でみるとコロナ禍からの回復にはなりにくい。成長ドライバーとなるのはインド、アセアンに加え、パキスタン、バングラデシュ、CLM諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー)、アフリカなど後発新興国。また、ポスト排ガス規制やSDGs、電動車導入を推奨する政府目標などから、四輪車同様に二輪車にも電動化へのパラダイムシフトが訪れている。

二輪車にも電動化の波

二輪車で電動化が求められる理由として、環境規制の強化が挙げられる。二輪車はダウンサイジングやハイブリッドなどの先進技術に頼らずとも、キャタライザーやECUのプログラム調整のみで、これまで排ガス規制をクリアしてきた。しかし、ポスト排ガス規制やICE(内燃機関)四輪車の販売禁止が協議されている2030年以降に向けて、二輪車も電動化への歩みを進めなくてはならない。

また、個人の移動手段を過度な自動車利用から公共交通等への変化を促す交通政策やCSRの観点からも電動二輪車が求められている。一方で、ICE二輪車との車体価格差や航続距離差、充電インフラの不足、ギアシフトやエキゾーストノートの喪失による趣味材としての魅力減などの問題も抱えている。

世界人口の8割以上は新興国が占めており、それらの人々に対応するモビリティとして電気自動車が普及するにはコスト、インフラからハードルが高い。しかし、電動二輪車であればそのハードルが下がるため、二輪車の電動化は世界規模での広がりが期待される。

電動化拡大の中心は中国・インド・アセアン

日本や欧州でも排ガス規制の厳格化や環境配慮型の都市計画によって電動二輪車の販売台数規模は増加するが、二輪車市場規模の大きさから主要市場とはならない。今後、中国、インド、アセアンの3極が中心となって電動二輪車市場を形成していく見通しだ。

中国では、2019年に電動二輪車に関する定義が変更され、台数が大幅に増加したことで、二輪車全体における電動化比率は5%程度を占める規模となり、Ather、GOGORO、NIUなど有力スタートアップが登場した。また、2022年にインドで導入される予定のCAFE(企業別平均燃費基準)規制、国策として電動二輪車産業へ注力を表明する国々の動き、車両と電池の分離販売の実現、CSRとバッテリーSWAPシステムの相性などが追い風となり、世界の電動二輪車市場は2025年頃には成長期に突入。最大で2020年比2.8倍の740万台に達する見込みだ。

《纐纈敏也@DAYS》

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