編成全体にブレーキが機能しなかったことが原因…JR北海道の保線作業用機械逸走トラブル

保線作業用機械(ミニホキ)を牽引する軌道モーターカー。
保線作業用機械(ミニホキ)を牽引する軌道モーターカー。全 7 枚写真をすべて見る

JR北海道は6月16日、函館本線七飯(ななえ)~大沼間で保線作業用機械が逸走したトラブルについての詳細を明らかにした。

このトラブルは6月7日23時54分頃に発生。軌道モーターカー1両と「砕石」と呼ばれる軌道の砂利を散布する保線作業用機械(通称「ミニホキ」)2両が、七飯(ななえ)~大沼間のうち、仁山(にやま)駅手前(大沼方の峠下道路踏切手前)から、七飯駅手前(中須田道路踏切手前)までの約7kmの間を、社員が乗車したまま速度50~80km/hほどで逸走した。

途中には仁山、新函館北斗の2駅と3つの踏切があったが、怪我人や通行車両との接触はなかったという。

トラブルが起きた区間は、峠下道路踏切の手前から新函館北斗駅の手前までがおよそ1000分の20(20‰)の下り勾配となっており、日付を跨いだ6月8日0時2分頃、勾配が緩んだ中須田道路踏切手前で停車。ブレーキ性能を確認した後に最徐行で七飯駅に入り、2時15分に収容されたという。

砕石散布用の「ミニホキ」。砕石散布用の「ミニホキ」。

JR北海道ではこの原因を調査した結果、「ミニホキのブレーキが機能しなかったためと推定」としており、編成全体にブレーキが機能しなかったことが明らかにされた。

問題の軌道モータカーとミニホキは、圧縮空気で制輪子を作用させ、車輪の動きを止める「踏面(とうめん)式」と呼ばれるブレーキ方式が採用されているが、調査によると制輪子を動かすシリンダーのピストンが伸びきり、その移動量を示す「ストローク量」が最大になっていたことで車輪への圧着力が低下し、ミニホキのブレーキが機能しない状態に陥っていたという。ミニホキの積載量も最大だったため、逸走を止めることは余計に困難な状況だった。

トラブルの経過。逸走が始まり駐車ブレーキと手動ブレーキを作動させたが機能しなかった。峠下道路踏切では警備員が配置されていたが、約50km/hで通過した仁山道路踏切、約80km/hで通過した天野道路踏切では警備員無配置で、踏切の警報システムも保線用機械では自車位置を認識させる軌道回路が働かない仕組みのため、作動しなかった。トラブルの経過。逸走が始まり駐車ブレーキと手動ブレーキを作動させたが機能しなかった。峠下道路踏切では警備員が配置されていたが、約50km/hで通過した仁山道路踏切、約80km/hで通過した天野道路踏切では警備員無配置で、踏切の警報システムも保線用機械では自車位置を認識させる軌道回路が働かない仕組みのため、作動しなかった。

シリンダーにはストローク量を判定する目盛りが付けられていたが、作業前に確認するルールはなかったとしており、JR北海道では今後、軌道モーターカーやミニホキを使用する作業を一時禁止するとともに、再開する場合は双方に対してストローク量の緊急点検と制輪子の点検を実施することを決定。当面の間は作業の都度、ストローク量の測定と記録、ブレーキ試験を実施するとしている。

また恒久的な対策として、軌道モーターカーについてはストローク量が最大値に近くなった時の自動アラート機能追加や年次検査・定期検査体制の見直しを、ミニホキについては制輪子の圧着力強化、踏切通過時に踏切遮断機や警報機が作動する機能の追加、構造の検証や見直しを検討していくとしている。

ミニホキのブレーキシステム概要。ブレーキ用の圧縮空気を送り込む軌道モーターカーはもちろん自車の制動が可能だが、ミニホキも制動できないと完全に止めることはできない。ミニホキのブレーキシステム概要。ブレーキ用の圧縮空気を送り込む軌道モーターカーはもちろん自車の制動が可能だが、ミニホキも制動できないと完全に止めることはできない。

同社の発表によると、6月7日23時50分頃、軌道モーターカー1両と「砕石」と呼ばれる軌道の砂利を散布する保線作業用機械2両が、七飯(ななえ)~大沼間のうち、仁……

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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