BMW『X5』ベースの燃料電池車、トヨタとシステムを共同開発 2022年後半に発売へ

モーターは直6ターボエンジンに相当する374hpのパワー

市販車は燃料電池車と認識できる専用デザインに

トヨタと協力して燃料電池を開発

燃料電池車にも「駆けぬける歓び」を

BMW i ハイドロジェン NEXT のプロトタイプ
BMW i ハイドロジェン NEXT のプロトタイプ全 15 枚

BMWグループは6月16日、新型燃料電池車のBMW『iハイドロジェンNEXT』(BMW i Hydrogen NEXT)を、2022年後半に発売すると発表した。開発中のプロトタイプの写真を公開している。

モーターは直6ターボエンジンに相当する374hpのパワー

BMW iハイドロジェンNEXTは、SUVの『X5』をベースにした燃料電池車だ。BMWグループの第5世代のEVパワートレイン、「eDrive」が搭載される。電気モーターは最大出力374hpを引き出す。374hpのパワーは、BMWの最も強力な直列6気筒ガソリンターボエンジンの出力に相当する。これにより、BMWブランドらしいドライビングダイナミクスを可能にしているという。モーターの上に配置されたバッテリーは、追い越しや加速時にブースト電力を供給する。

BMW iハイドロジェンNEXTの燃料電池システムは、水素と酸素の化学反応によって、最大170hpの電気エネルギーを生み出す。燃料電池の下にレイアウトされる電気コンバーターは、電圧レベルを電動パワートレイン、ブレーキエネルギー、燃料電池からのエネルギーによって供給されるバッテリーの両方の電圧レベルに適合させる。

BMW iハイドロジェンNEXTには、700バールの水素タンク2個が搭載されており、CFRP製のこのタンクには、最大6kgの水素を積むことができる。水素の充填にかかる時間は3~4分だ。BMWグループによると、気象条件に関係なく長距離を走行できるという。BMW i ハイドロジェン NEXT のプロトタイプBMW i ハイドロジェン NEXT のプロトタイプ

市販車は燃料電池車と認識できる専用デザインに

BMW i ハイドロジェンNEXTのデザインには、X5をベースにしながら、革新的で持続可能なキャラクターに焦点を当てたアクセントを細部に組み込む。市販モデルの外観には、BMWの「i Blue」のパターンが添えられる予定だ。アルミホイールも専用デザインとなり、燃料電池車であることを示すという。

リアには、BMWの「i Blueディフューザー」が装備される。エキゾーストテールパイプのないデザインは、ゼロエミッション車であることを明確に強調している。

i ハイドロジェンNEXTは、水素燃料電池テクノロジーを、BMW X5のようなSUVに効果的に組み込めることを実証している。車両の設計にわずかな変更を加えることで、BMW iモデルとして認識できるようになるという。BMW i ハイドロジェン NEXT のプロトタイプBMW i ハイドロジェン NEXT のプロトタイプ

トヨタと協力して燃料電池を開発

BMW i ハイドロジェンNEXTは、BMWグループが取り組むゼロ・エミッション・モビリティの正当性を実証し、また世界中の顧客の移動手段の必要性に対して、さまざまな駆動技術を用意するための研究の成果になるという。

水素燃料電池技術は燃料の補給が短時間に行え、航続が長く、従来型の動力を搭載する車両と同等の利便性と多用途性が得られるため、大きな可能性がある。BMWグループは、2013年に始まったトヨタ自動車との協力の一環として、水素燃料電池駆動システム分野の開発を推進している。

両社は、製品開発協力協定のもと、水素燃料電池自動車向けの燃料電池パワートレインシステムとスケーラブルなモジュール式コンポーネントに取り組むために力を合わせている。トヨタとの協力による燃料電池は、BMWグループが開発した燃料電池スタックやシステム全体とともに、BMW i ハイドロジェンNEXTに搭載される予定だ。BMW i ハイドロジェン NEXT のプロトタイプBMW i ハイドロジェン NEXT のプロトタイプ

燃料電池車にも「駆けぬける歓び」を

BMWグループは、BMW i ハイドロジェンNEXTのプロトタイプを使用し、公道とテストコースでの開発テストに取り組んでいる。その目的は、CO2排出量ゼロのドライブトレイン、シャシーテクノロジー、車両の電子システムが、実際の条件下でどの程度効果的に連携するかを検証することにあるという。

現在進行中の公道テストでは、すべての走行と操作機能を制御するソフトウェアのチューニングに重点を置いている。すでに燃料電池システム、水素タンク、バッテリー、車両制御ユニットは、ダイナモ上で数百回のテストを受けている。

日常の条件下で実施される集中プログラムは、実際の交通状況で数千km走行し、エンジニアがすべてのコンポーネントの効率、安全性、利便性、信頼性を検証する。同時に、このテストでは、BMW車の特長のドライビングプレジャーを実現することを目指している。「駆けぬける歓び」は、水素燃料電池技術を搭載したゼロエミッション車でも可能、としている。

《森脇稔》

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