「アーバンSUV」フィアット 500Xは走りもデザインも「センスの塊」だった

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フィアット 500X Sport
フィアット 500X Sport全 60 枚

イタリアンブランド、フィアットのアーバンSUVとして誕生した『500X(チンクエチェントエックス)』。大人気モデル『500(チンクエチェント)』の流れを汲んだアイコニックなデザインが目を惹くが、果たしてその走り、SUVとしての実用性はどうなのか。モータージャーナリストの石井昌道さん、竹岡圭さんが最新の『500X Cross(チンクエチェントエックス クロス)』と『500X Sport(チンクエチェントエックス スポーツ)』に試乗し、その魅力を語り合った。

【試乗車】
・フィアット 500X Cross
・フィアット 500X Sport

技術のフィアット、だけど根底には「楽しさ」がある

石井昌道さんと竹岡圭さん石井昌道さんと竹岡圭さん
石井昌道(以下、石井):フィアットは、日本だと“お洒落なブランド”っていうイメージが強いけど、実はかなりテクノロジーに強いこだわりを持っている会社なんだよね。特にエンジンがすごくて、今だと最新モデルのエンジンに採用されている「マルチエア」(吸気バルブの可変機構)の技術は、他の一歩先を行っていると言ってもいい。ひと昔前だとディーゼルエンジンに初めてコモンレール式を採用したのも、フィアットだしね。

クリーンディーゼルで先駆けていて、バルブの技術にもこだわりがあったからこそマルチエアに辿り着いたというのもあるみたい。僕としては、テクノロジーのブランドってイメージが強いかな。

竹岡圭(以下、竹岡):技術のフィアットね。私はやっぱりフィアットって聞くと「明るい」とか「可愛い」とか、とにかく「楽しい!」っていうイメージがあるかな。例えば「チンクエチェント」は、やっぱり昔からルパン三世のイメージがあったりして、キュートなんだけど、ラテンノリみたいな元気の良さだとか勢いだとか、底抜けに明るいみたいな。

石井:愛されカーが多いんだよね。チンクエチェントしかり、『Panda(パンダ)』しかり。

竹岡:カジュアルだから誰にでも割と手が届き易くて、輸入車なんだけどフレンドリーに付き合えそうなイメージがある。女子にとっては特にそうじゃないかな。

石井:スポーツカーも『X1/9(エックスワンナイン)』とか、『クーペ フィアット』、最近では『124スパイダー』のように、スポーツカーなんだけど手が届きやすい価格でしかも面白い。すごく速いかというとそうではないかもしれないんだけど、楽しさメインみたいな。

竹岡圭さん竹岡圭さん
竹岡:そうだよね。やっぱり一番は楽しさだったり愛される感じ。

石井:絶対的な速さっていうより、音と加速のフィーリングが与える「興奮度の高さ」みたいな、ドライバーを楽しませるツボを心得ている。

竹岡:オールマイティで平均的なクルマを作るんじゃなくて、魅力の「魅」と書いて魅せるみたいな。そういう感じがする。今時の言葉で言えば「エモい」っていうことなのかな。

石井:走りの味もそうだし、デザインも含めて全てがセンスで出来ている。ありきたりかもしれないけど、一言で言えば「センスの塊」。例えば車検証入れなんかも、すごい可愛いカラーリングだったりとか、輪止めもかっこいいとか。フロアマットだとか。そういう細かいところも、すごくデザインに気を使っていて。

竹岡:そうそう。だから自分のクルマを買ったんだよって所有欲を満たしてくれるような、オーナーを喜ばせるツボをちゃんと心得ているよね。

石井昌道さん石井昌道さん
石井:決してハイブランドじゃないんだけど、そういうところをちゃんとやっているっていうのがフィアット。高級車がそういうこだわりを持ってクルマを作る、というのは想像つくけど、スタンダードなものでもきちんとブランディングしている。自分たちの価値を高める手段を知っている。やっぱりファッションの国イタリアのブランドだからということなのかな。

竹岡:大衆車って言ってもやっぱりクルマって買い物としては高いじゃない。買う時には、すごく悩んで悩んで一台を選ぶよね。そういうユーザーの気持ちを大切にしよう、愛されるクルマを作ろうって思いが伝わってくるというか。それはきっとユーザーにも伝わるし、そうしたらファンになっちゃうよね。

石井:その根底にはやっぱり「楽しさ」があるっていうのが譲れないポイントだよね。

大きすぎず、小さすぎず。使いやすい都市型サイズ

フィアット 500X Crossフィアット 500X Cross
石井:今回は久しぶりに500Xに試乗したけど、個性が強いよね。見た目も含めて。デザインはチンクエチェントの流れを汲んでいてすごくフィアットらしいんだけど、よりパーソナルなサイズのチンクエチェントやパンダと比べると、4ドアだし実用性が高くてちゃんと使えるクルマ。

竹岡:サイズ的にもちょうどいい。全長が4300mmを切っていて(500X Crossが4280mm、500X Sportが4295mm)、幅も1800mmを切っていて(1795mm)。高さだけは1610mmだから立体駐車場に入れるのは厳しいかもしれないけど、街中で乗るにはピッタリのサイズだと思う。

石井:ラゲッジルームは350リットルで、リアシートを倒せば1000リットル。一般的なCセグメントのハッチバックと同じぐらいは荷物が詰めるよね。BセグメントのSUVだということを考えると十分。それでいてリアシートもちゃんと使えるからね。

竹岡:大きすぎず、小さすぎず。使いやすいサイズだよね。

石井:ファミリカーとしてちゃんと使えるSUVで、小さめっていう。都市生活者にとってはすごく使いやすいんじゃないかな。

竹岡:ヒップポイントがちょっと高めだから視界も良いし、すごく乗りやすいサイズだよね。あんまり大きいSUVだと出すのが億劫になるもんね。

竹岡圭さん竹岡圭さん
石井:500Xは視界の良さにすごく気を使っていて。Aピラーとミラーの間隔がうまい具合に空いているんだよね。ドイツ車は比較的この間隔が狭くて、高速で移動する際の包まれ感だとか安心感に繋がっている。500Xもヨーロッパではすごく売れているクルマなんだけど、やっぱりイタリア生まれだからこその都市型というか、市街地を走ることを前提に作られている気がするな。だから、デザイン的には結構大きく見えるんだけど、実はそんなことがないという。

竹岡:幅が1800mmない輸入SUVって、珍しいよね。

石井:輸入SUVはみんな大きいしね。1900mmとかになってくるとコインパーキングも停めづらい。500Xはデザイン優先に見えるんだけど、視界がしっかり確保されていたり、荷物も積めたり、リアシートもたっぷり座れる。パッケージングも含めて、すごくよくできてるなって思う。

竹岡:インテリアも結構細かいところまでデザインされてるし、男性が乗っても女性が乗ってもどっちでも似合うタイプだよね。

石井:そうだね。エクステリアも500X Crossと500X Sportでも随分印象が違うし、ボディカラーを変えるだけでも雰囲気がガラッと変わるしね。可愛らしいんだけどそれだけじゃないというか。だからこそ、ユニセックスなクルマになっているのかな。

竹岡:可愛さだけの単なるコマーシャルビークルではないってことだよね。

パドルスイッチを積極的に使いたくなるのも、狙い通り?

石井昌道さん石井昌道さん
石井:最初にテクノロジーの話をしたけど、今回の試乗でDCT(6速デュアルクラッチオートマチック)がすごく良くできていると再認識したな。発進する時のクラッチのつなぎ方がすごく上手。

竹岡:発進の感じはすごく良いよね。中途半端な速度だとラグを感じるところもあるんだけど、ちょっと元気気味に走るとすごくしっくりくる。

石井:初めてフィアットのDCTが出たときに試乗して、やっぱり出来がすごく良かったからエンジニアにその理由を聞いたんだよね。そうしたら「もしDCTが上手くないメーカーがあるとしたらエンジンが主役だと思っているからじゃないか」って。フィアットの考え方は逆で、ギアボックスを主役というか司令塔としているんだって。ドライバーがこれくらいアクセルを踏んでいる、ということは、これぐらい加速しなきゃいけない、じゃあエンジンにこれくらいのトルクを要求する、っていうステップでエンジンの回転を決めていくんだって。これが上手いDCTの秘訣だと。

竹岡:なるほどね。

石井:マニュアルの延長線上で考えると、エンジンが主役って思っちゃうんだけど、逆なんだ。発想の転換だよね。あとはやっぱりエンジン。1.3リットルの直列4気筒マルチエアエンジンだけど、いわゆるダウンサイジングターボなのに中高回転で吹け上がる盛り上がり感は、すごくフィアットらしいところかな。

竹岡:3000回転ぐらいにしてビュンビュンって走るとすごく楽しくて、一体感も出てくる感じがあるよね。

石井:一般的にダウンサイジングターボって実用に振っていくと、低回転でトルクを発生するようにしてスムーズなフィーリングと燃費に貢献するんだけど反面、高回転がつまらなくなっちゃう。だけど、このエンジンは違っていて、ただのエコエンジンじゃなくてちゃんとドライバーの「興奮度」を高めるように作られている。ある意味コツが必要なんだけど、それも意図的なのかなって。そういうエンジンの生々しさみたいな物が感じやすいかな。

フィアット 500X Sportフィアット 500X Sport
竹岡:あと、このクルマ、パドルスイッチがついているでしょう。私、普段はあんまりパドルスイッチって使わないんだけど、500Xは走り味的に積極的に使いたくなる感じ。自分でシフトチェンジして走る方が、より快適に、より楽しめる気がする。きっと、それも狙って作ってあるんだと思うよ。

石井:ステアフィールも良いよね。500X Crossも500X Sportもどちらも良かった。

竹岡:特に500X Sportは、19インチの大径タイヤを履いているのに、あれだけ乗り心地が良かったのもびっくりしたな。

石井:確かに。乗り心地で言えば17インチを履いている500X Crossとそう変わらないもんね。スポーティなモデルでも快適性をなるべく確保しましょうってことなんだろうけど、ちゃんと両立している。

竹岡:500X Crossは、キャラ的にもSUVらしくてハイトのあるタイヤが似合うから17インチにしたんだろうね。

とにかく「センスの塊」なんだよね。デザインも、走りの味付けも

フィアット 500X Sportフィアット 500X Sport
石井:走りの良さとか技術のフィアットとか、何だかんだ言ったけどさ、500Xの魅力は何かって言ったら、まぁやっぱりデザインだよね(笑)

竹岡:そうだよね(笑)500Xを選ぶ動機って「この子が可愛いから!」みたいな、そういう選び方だよね、きっと。でも、それで選んでも絶対「楽しいよ」って言える。

石井:多分付き合うごとに愛着が湧くタイプのクルマだと思う。

竹岡:名前を付けちゃったりしてね。

石井:ちょっと沼にハマっていくような(笑)でも実用性はちゃんとしているから。

竹岡:きっかけが見た目だったとしても、これを買ったらクルマが好きになるんじゃない?

石井:そうだね。運転している実感の強いクルマだから、多分そういう方向には行くと思うし、細かいところまで手が込んだデザインだとか仕立てみたいなところは、所有感も満たしてくれるしね。

竹岡:快適なクルマを求めている人にとっては、ちょっと違うかもしれないけど…

石井:万人向けのクルマって、やっぱりつまんないじゃん。500Xはそうではないよね。今やSUVはスタンダードになったし、「SUVはこうあるべき」という考え方もなくなってきていて、そんな中で500Xは都市型SUVとしてもすごくキャラ立ちがはっきりしている。

石井昌道さんと竹岡圭さん竹岡圭さんと石井昌道さん
竹岡:一言でよさを表現するのって難しいクルマなんだけど、お洒落だけど実用性が高い、ってところだよね。小さな高級車っていうのともちょっと違う。

石井:そう。従来のヒエラルキーとは別の次元にいるというか。例えば、他の高級車と並んでも全然嫌じゃない。とにかく「センスの塊」なんだよね。デザインも、走りの味付けも。ちょうどドライバーが「こういうところが気持ちいい!」みたいなスイートスポットにあらゆるセッティングが合っているというか。

竹岡:チンクエチェントは女性人気がすごく高いけど、500Xは中性的なイメージがあるな。

石井:けど、乗り味は意外と男性的なんだよね。

竹岡:SUVだと思って乗ると「硬い」って思うかもしれない。17インチの500X Crossでもね。

石井:だけど、そういうところもフィアット流のファントゥドライブなんだと思うよ。

竹岡:クルマ本来の「乗って楽しいでしょ?」っていうところを強調したクルマ。自分の意見をちゃんと持っていて、だけどそれを押し出しすぎない。可愛いんだけどそれだけじゃない、賢さを持ったクルマな感じがする。

石井:かっこいい女性アスリートみたいなクルマかもしれないね。

フィアット 500X Cross 公式サイトはこちら

フィアット 500X Sport 公式サイトはこちら

フィアットのアーバンSUV『500X Cross』とアーバンスポーツSUV『500X Sport』フィアットのアーバンSUV『500X Cross』とアーバンスポーツSUV『500X Sport』
【プロフィール】
石井昌道|モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストに。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイクレースなどモータースポーツへの参戦も豊富。ドライビングテクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

竹岡圭|モータージャーナリスト・タレント
「クルマは楽しくなくっちゃネ!」をモットーに、さまざまな媒体で「喋って・書いて・走って」を実践する女性モータージャーナリスト。テレビのバラエティ番組のMCから、官公庁の委員まで、硬軟幅広く携わっている。モータースポーツでも、耐久レースやラリーレイドなど数々のレースに参戦、現在は全日本ラリー選手権に自らチームを立ち上げチャレンジ中。

《まとめ 宮崎壮人》

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