【アウディ A3スポーツバック 新型試乗】ベストバイは、2Lエンジン搭載の「40」…九島辰也

アウディ A3スポーツバック 新型
アウディ A3スポーツバック 新型全 16 枚

『ゴルフ8』の日本上陸が遅れたことで近いタイミングになってしまった新型アウディ『A3』だが、プラットフォームを共有するとはいえオリジナリティはふんだんに盛り込まれている。

見た目の印象はまさにアウディ然としていて、従来型をよりブラッシュアップしたのがわかる。シングルフレームグリル周りは一新され、ヘッドライトのユニットの造形と合わせ、これまで以上に“ロー&ワイド”になった。

アウディ A3スポーツバック 新型アウディ A3スポーツバック 新型
ポジションライトが光ると、LEDライトが横一本の線を描く姿がかっこいい。サイドビューもそう。クワトロを意識させるリアフェンダーの膨らみはマッチョな雰囲気を漂わせる。新デザインのリアコンビネーションランプも個性的だ。

エンジンは2種類で1リットル直3ターボのTFSI+48Vマイルドハイブリッドと2リットル直4ターボのTFSIが用意される。アウディ独自のエンジンパワーを示す数字は前者が「30」、後者が「40」だ。

理想的なA3のパワートレインは

アウディ A3 新型アウディ A3 新型
どちらも扱いやすく不満を抱くところは無い。1リットルユニットもモーターとの組み合わせでキビキビと走る。ただ、試乗コースが箱根のワインディングだったので、正直不得意な領域もあった。当然だが上り勾配が強くなると軽快さは影を潜める。下りの楽しさとは別物だ。

そこを鑑みると2リットルユニットの秀逸さが光る。どの環境でもドライバーが求める速さが供給される。しかも、アクセルに対するレスポンスがクイックなのがいい。2つのエンジンをラインナップすることで、よりスポーティなセッティングができたのだろう。アウディのブランドバリューからしてもこちらが理想的なA3と言っていい。

また、2つのエンジンではリアサスペンションの形式が異なることも付け加えよう。1リットルユニットのトーションビーム式もかなりスポーティに仕上がっているので、そこはちょっと驚きだ。シンプルな構造でここまでリアのスタビリティを高められるのはさすがである。ここはゴルフ8でも感心させられたポイントだ。

ラグジュアリーとサスティナブルの共存は成立する

アウディ A3 新型アウディ A3 新型
インテリアはシンプル&モダンなテイスト。突起したスイッチ類は少なく、キレイにデザイン処理されている。インテリアデザインのトレンドど真ん中と言えるだろう。機能操作をモニターの階層内におさめ、それを実現する。また、デジタル部分はアウディの得意分野でもあるが、それと同等にシートやトリムに高級感を持たせているのは特筆ポイント。同カテゴリーの中でもひとつ上のクラスといった感じだ。

実際に目にしてはいないが、Sラインのシートの一部にはリサイクル素材(原料はペットボトル)を使用しているそうだ。先日『e-tron GT』を取材したが、そこにも同様の素材を採用した話があった。アウディは電動化とともに、サスティナブルをテーマに掲げている。しかも、インタビューしたアウディジャパンの社長の口から、ラグジュアリーとサスティナブルの共存は成立するというコメントもあった。今後この辺はアウディをウォッチする上でのキーワードになるであろう。

2リットルエンジン搭載の「40」がベストバイ

アウディ A3スポーツバック 新型アウディ A3スポーツバック 新型
ボディタイプはスポーツバックとセダンがあるが、かっこいいのはやはりスポーツバックの方。ハッチバックとしての実用性を備えながら、ワイド&ローに構えたグラマラスなボディが強調される。

新型A3の上には今回も『S3』が設定されるが、そこはまた異次元な存在。最高出力310psの走りは同じ土俵では語れない。それに価格も一気に上がることを思えば、2リットルエンジン搭載の「40」がベストバイのような気がする。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

《九島辰也》

九島辰也

九島辰也|モータージャーナリスト 外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 待望の新型スズキ『GSX-R1000R』が予告なしの初公開!「3色3様」往年のレーシングカラーで日本市場復活へ
  2. 世界初の「破壊不可能ホイール」って何だ!? テスラ向けパーツ手掛ける米メーカーが開発
  3. 「ミニGSX-R」をスズキがサプライズ発表!? 鈴鹿8耐マシン以上に「サステナブルかもしれない」理由とは
  4. 新型『ムーヴ』『ステラ』のコーナリング性能を向上、ブリッツの車高調「DAMPER ZZ-R」シリーズ
  5. 車検NGの落とし穴!? シート交換で絶対に知っておくべき新ルール~カスタムHOW TO~
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
ランキングをもっと見る