NSX に最終モデル「タイプS」、600馬力ハイブリッド搭載…アキュラ史上最強に

3.5リットルV6ツインターボを専用チューニング

加速性能を高めた9速デュアルクラッチトランスミッション

レーシングカーのノウハウを取り入れたエクステリア

アキュラ NSX タイプS
アキュラ NSX タイプS全 23 枚

ホンダの海外向け高級車ブランドのアキュラは8月13日、『NSXタイプS』(Acura NSX Type S)を米国で発表した。

現行『NSX』の最終モデルとなる「タイプS」は、NSX史上、最高のパフォーマンスを発揮する公道走行可能なモデルを標榜する。他の電動スーパーカーよりも優れた加速、鋭いコーナリング、感情的な運転体験を提供する、と自負する。

NSXタイプSは、現行NSXの生産のファイナルイヤーを祝って、350台を限定生産する。このうち、米国市場では、300台を販売する予定だ。日本向けには、ホンダブランドから30台が限定導入される。

3.5リットルV6ツインターボを専用チューニング

NSXタイプSにも、高効率・高出力の3モーターハイブリッドシステム、「スポーツハイブリッド SH-AWD」を搭載する。フロントにモーターを2個、リアに9速デュアルクラッチトランスミッションと一体設計する形で1個、合計3個のモーターをレイアウトした。前輪の左右を独立した2つのモーターを使い、四輪の駆動力を自在に制御するトルクベクタリングを可能にする電動式4WDハイブリッドとなる。アキュラ NSX タイプSアキュラ NSX タイプS

タイプSでは、直噴3.5リットル(3493cc)V型6気筒ガソリンツインターボエンジンに専用チューニングを施した。新開発の燃料噴射装置は、25%多いガソリン流量を可能に。新設計のインタークーラーは、冷却性能を15%引き上げた。レーシングカーの『NSX GT3 Evo』と共有する新しいターボチャージャーは、ピークブースト圧を15.2psiから16.1psiに5.6%高めた。その結果、エンジンの最大出力は500hpから520hpに20hp向上し、最大トルクも56.1kgmから61.3kgmに5.2kgm増加した。

ハイブリッドシステム全体で、パワーは従来比27hpプラスの600hp、トルクは2.2kgmプラスの68kgmに到達する。600hpのパワーは、これまでのアキュラの市販車で最強という。

前輪に動力を供給し、コーナーでアクティブトルクベクタリングを可能にする「ツインモーターユニット(TMU)」のギア比は、8.050対1から10.382対1に下げられた。この20%低いギア比により、加速性能を引き上げている。

さらに、電気モーターに電力を供給する「インテリジェントパワーユニット(IPU)」が効率性を高めた。これにより、使用可能なバッテリー容量が20%増加し、バッテリー出力が10%増加するという。より高い容量と出力に対応して、スポーツハイブリッドSH-AWDシステムの電気モーターを再チューニング。統合ダイナミクスシステムの4種類のモードのすべてで、パフォーマンスを向上させ、EVモードの航続も拡大しているという。アキュラ NSX タイプSアキュラ NSX タイプS

加速性能を高めた9速デュアルクラッチトランスミッション

タイプSでは、9速デュアルクラッチトランスミッションにも専用チューニングを施した。スポーツモード以上で作動する新しいラピッドダウンシフトにより、ドライバーはダウンシフトパドルを押し続けることで、一度に複数のギアをスキップできる。パドルを0.6秒間押し続けると、トランスミッションは車両の速度に合わせて可能な限り低いギアを自動的に選択するとともに、シフト時間を短縮する。

スポーツモードとスポーツ+モードでのパドルシフト操作時には、最大50%速くクラッチを接続する新しいプログラミングによって、加速性能を向上させた。スポーツ+モードでパドルシフトを使用しない場合、ブレーキがかかるとすぐに、トランスミッションがシフトダウンする。これは、コーナーの手前の直線上でシフトダウンすることで車両の安定性を保ち、エンジン回転数を最適化することでコーナーからの立ち上がりの加速を鋭くするのが狙いという。

タイプSでは、シャシーやサスペンションを最適化し、パフォーマンスとドライバーとのエモーショナルなつながりを追求した。統合ダイナミクスシステムの4種類のモードも、パフォーマンスを向上させるために再調整され、「インテークサウンドコントロール(ISC)」と「アクティブサウンドコントロール(ASC)」は、よりスポーティなエンジンサウンドを生み出すように再プログラムされた。アキュラ NSX タイプSアキュラ NSX タイプS

レーシングカーのノウハウを取り入れたエクステリア

タイプSは、専用デザインのエクステリアを採用する。より大きく、より角張ったエアインテークを備えた新しいフロントバンパーと、リアの大型化されたディフューザーが連携して、高速安定性を高めた。新形状のカーボンファイバー製フロントスポイラーは、車両の下側に空気の流れを振り向けることで、フロントの空力リフトを最小限に抑えるという。

エンジンの冷却性能を向上させるために、フロントグリルの開口部を拡大した。片側に2つ、合計4つの開口部が追加されており、フロントバンパーの左右の後ろにあるサブラジエーターに空気を送る。外側のエアインテークも空気を車両の側面に流し、新設計されたフロントコーナーと連携してエアカーテンを形成する。これにより、インタークーラーの側面に取り付けられた吸気口への空気の流れが改善されているという。

リアには、レーシングカーのNSX GT3 Evoをモチーフにした大型のカーボンファイバー製ディフューザーを装着する。このディフューザーは、中央部分の空気の流れを追求した形状が特長で、より多くのダウンフォースを生み出す、としている。

《森脇稔》

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