【INDYCAR 第14戦】アレックス・パロウが3勝目、王座争いの先頭に復帰…佐藤琢磨は決勝12位

優勝を飾った#10 パロウ。
優勝を飾った#10 パロウ。全 8 枚

NTTインディカー・シリーズ第14戦の決勝レースが現地12日、米オレゴン州ポートランドで実施され、アレックス・パロウが今季3勝目をあげてタイトル争いトップの座を奪還した。佐藤琢磨は26番手スタートから12位でフィニッシュ。

早いもので、2021年のインディカー・シリーズは最終局面を迎えた。ここからの3週連続開催(第14~16戦)で今季シリーズは終幕する予定となっており、チャンピオン争いも当然ながら決着することになる。実質的なチャンスがあるのはランキング上位5人と考えられる戦況で、なかでも上位3人、特に上位2人は接戦だ。

残り3戦にオーバル戦はなく、ロードコースか市街地コースでの開催。まず第14戦はロードコースのポートランド・インターナショナル・レースウェイ戦で、ここは佐藤琢磨(#30 Rahal Letterman Lanigan Racing/ホンダ)にとって2018年に現所属チームとともに優勝した実績を有するコースだ。しかし予選24位、エンジン交換のグリッドダウンペナルティがあり決勝ローリングスタートは27台中26番手の位置から、という厳しい状況に置かれる。

ポールポジションはポイントランキング2位のアレックス・パロウ(#10 Chip Ganassi Racing/ホンダ)が獲得した。このところ流れが良くなく、前戦でランキング首位をパトリシオ・オワード(#5 Arrow McLaren SP/シボレー)に明け渡してしまったパロウ、ここを逆襲の第一歩としたい。オワードは予選7位。

決勝レースは実にインディカーらしい“乱高下”気味な展開になった。1周目、過去にもアクシデントがあった最初のシケイン状セクションで予想通りに大混乱が起きる。フルコースコーションとなったのはもちろんだが、アクシデント時に正規のコースを通れなかったマシンが後ろにまわされるなどの“調整”も行なわれ、順位がスタートポジションのそれからは大きく動いた。

パロウはここで20番手近くまで下がり、逆にオワードが先頭に立つという状況が発生、早くもタイトル争いトップ2の明暗が(見た目のうえで)逆転したのである。

ただ、その後は燃費とタイヤ、フルコースコーションのタイミング等を含めた戦略が複雑に絡み合い、前述したようにレースは“乱高下”気味な展開となっていく。そして終盤にはスタートポジション1-2-3だった3人がその位置へと戻っていた。先頭のパロウに関しては最初のフルコースコーション時に給油をしていた作戦変更判断が奏功したようだ。

一方のオワードは今回、マシンパフォーマンスが足りていない印象で、終盤にはスタートポジションよりも後ろの14番手に位置していた。タイトル争いトップ2の若手両名、その明暗は予選終了時点のそれに戻って、さらに明暗の差がついた、というところか。

パロウはシーズン3勝目をあげて、今回14位に終わったオワードを逆転、シリーズポイントランキング首位の座を奪還した。パロウ477点、オワード452点、残り2戦で差は“半勝ぶん”の25点である(通常レースの優勝が50点)。パロウが頭半分ほど抜け出たか?

#10 アレックス・パロウのコメント
「スタート直後のアクシデントによってポジションを下げることにはなったけれど、我々が集中を失うことはなかった。レースが長いことを理解していたし、110周もあればインディカー・シリーズではどんな逆転劇があっても不思議ではないからだ。そして実際に我々は、驚くべき戦略によって成功をおさめた」

「HPD(Honda Performance Development)が、必要とするエンジンパワーを与えてくれていた。チームのパートナーたち、そしてこのチームをとても誇りに思う。チーム全体が素晴らしい働きをしてくれた。戦略、ピットストップ、すべてが最高だったことで、スタートで不運に見舞われたにも関わらず勝つことができたんだ。そのことを誇りに感じている」

決勝2位はアレクサンダー・ロッシ(#27 Andretti Autosport/ホンダ)、3位にはパロウの僚友にして大先輩、今季タイトルレースにも絡んでいるスコット・ディクソン(#9 Chip Ganassi Racing/ホンダ)が入った。いずれも予選、スタートポジションと同じ順位でのフィニッシュ。

決勝4位はジャック・ハーヴェイ(#60 Meyer Shank Racing/ホンダ)で、ホンダ勢が4位までを占めている。シボレー勢最上位は5位のジョセフ・ニューガーデン(#2 Team Penske/シボレー)。

タイトル争いの3~5位は順位変わらず、ランキング3位のニューガーデンが443点、同4位のディクソンが428点、そして同5位のマーカス・エリクソン(#8 Chip Ganassi Racing/ホンダ)が402点となった。今回決勝7位だったエリクソンは首位パロウと75点差、ちょっと厳しくなったと言わざるを得ないだろう。残り2戦の王座戦線は、パロウ、オワード、ニューガーデン、ディクソンの4人で展開されることになりそうだ。

琢磨は12位で決勝レースを終えた。スタート位置の26番手からは14ポジションアップということになる結果に、一定の手応えは得られたようである。

#30 佐藤琢磨のコメント
「後方からスタートしたことを考えれば、今日の我々はいいレースを戦えたと思います。ただ、レース序盤にラッキーなピットストップを行なうチャンスに恵まれたマシンたちがいて、彼らはそこで新しいタイヤを装着するなどのアドバンテージを手にしていました。そうした影響もあったため、できることならトップ10でゴールしたかったのですが、そうはいきませんでしたね」

「でも、今日は力強いパフォーマンスを見せることができていたと思います。ピットクルーも頑張ってくれました。ロードコースで目覚ましいスピードを発揮できた、これは我々のチームにとって非常にポジティブなことです。残り2戦となりましたが、その戦いを(ある程度は)楽観できるような状況になってきています」

過去4シーズン続いている、自身の「年間1勝以上」を今季もキープして5シーズン連続とするためのチャンスは残り2戦。今季も少なくとも1回(できれば2回)、琢磨がポディウムの頂点に立つ姿が見られることを期待したい。

次週末の第15戦はカリフォルニア州のロードコース、ラグナ・セカ(現コース名:WeatherTech Raceway Laguna Seca)での戦いになる。決勝レースは現地19日実施の予定だ。

《遠藤俊幸》

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