先進技術をモノにしたアルファ ロメオ『ステルヴィオ』は、世のSUVと一線を画すグランドツーリングSUVだ

タウンスピードで実感できるアルファ ロメオの魂

先進技術をモノにしたグランドツーリングSUV

ここまでステアリングを切ることが楽しいSUVは他にない

アルファ ロメオ ステルヴィオ 2.0 TURBO Q4 ヴェローチェ
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タウンスピードで実感できるアルファ ロメオの魂

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アルファ ロメオ『ステルヴィオ』の国際試乗会は2017年にドバイで行われた。その時のことを今でも鮮明に記憶しているのは、アルファのスタッフのひと言がとても印象的だったからだ。

開催地がドバイと聞いて、「なるほどSUVだから砂漠なんかを試すルートも用意されているわけね」と勝手に納得していたところ、試乗前のブリーフィングで「なお、砂漠には絶対に近寄らないでください。ステルヴィオはそういうクルマではないのです」と釘を刺された。代わりに設定されていたルートは、地元の走り屋がこぞって集まるドバイの箱根みたいな峠道で、確かにそこでのステルヴィオは水を得た魚のように活き活きとしていた。「だったらそもそもドバイでなくてもよかったのでは?」とも思ったけれどそれはともかく、開発エンジニアのひと言はステルヴィオというクルマの性格を端的に現している。

SUVと言いながら、ステルヴィオは開発当初からオフロードでの走破性に重きを置いていない。セダンの『ジュリア』のプラットフォームを流用しているが、最低地上高はジュリアと大きく変わりなく、だからといって車高調整が可能なエアサスペンションが装備されないことからもそのコンセプトは明白だ。重心を可能な限り下げて操縦性に有利に働くパッケージを採用しているのである。

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巷に溢れるSUVのいくつかで、開発陣がもっとも苦労するのはオンロードとオフロードの相反する性能を両立させること。しかし実際に、そのモデルがオフロードで使われることはライフタイムの中でごくわずかしかなく、彼らの努力の割に成果は乏しい。ところが最初からオンロード重視と決めてしまえば、注力すべきポイントに的を絞って開発を進めることが可能となる。アルファ ロメオの歴史の中で初めてのSUVはその歴史を決して軽んずることなく、先人がバトンを繋いできた“スポーティなハンドリング”というアルファ ロメオの乗り味をしっかりと継承している。

それはわざわざワインディングロードまで出向かなくとも、タウンスピードの領域でも実感できる。交差点を曲がろうとする時や車線変更を行う時の、ステアリング操作に対する車両の動きのレスポンスのよさは別格だ。通常、背が高くボディのマスが大きいクルマは操舵応答遅れが発生しがちである。ゆったりとした乗り心地や操縦性を重視するべく、あえてそれを容認するセッティングのSUVもあるけれど、ステルヴィオはリニアな応答性にこだわった味付けとなっている。

先進技術をモノにしたグランドツーリングSUV

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ただここで感心するのは、操舵応答性をいたずらにピーキーにして、ナーバスな操縦性にはしていないという点。どれくらいのレスポンスなら不安なくすごく気持ちいいと感じるのかといった、ドライバーの機微を理解したちょうどいい塩梅に仕立てるエンジニアのセンスとスキルは流石だ。

ステアリングを左右に何度も切り返すような場面でも、ステルヴィオはいま自分が運転しているのがSUVであることを忘れるくらい気持ちよく曲がる。重心は決して低くはないけれどそれが悪さをしないので、ほとんど気にならない。極端に言えばアイポイントがちょっと高いジュリアを運転しているような感覚である。

これはばね上の動きを見事にコントロールしているサスペンションのおかげなのだけれど、一般的にこうした操縦性を実現すると乗り心地に悪影響が出る傾向にある。ところがステルヴィオの乗り心地に不快な硬さはなく、電子制御ダンパーを使っていないのに路面状況や速度を問わず常に同じような乗り心地を提供してくれる。スポーティなハンドリングと優れた乗り心地を両立させている点も、他のSUVとは一線を画すステルヴィオの魅力のひとつだと思う。

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だから例えば高速巡航などはすこぶる快適で、グランドツーリングカーとしての一面も持ち合わせている。先進の運転支援システムも実は使い勝手がなかなかよく、巡航時にはハイウェイアシスト、60km/h以下の渋滞時にはトラフィックジャムアシストを使えば、前車との車間距離はもちろんステアリングの支援までしてくれて、ロングドライブでの疲労軽減に大いに役立つに違いない。

昔からのアルファ ロメオファンからすれば、こういった先進技術の類はなかなか馴染めないかもしれないが、特に安全性はいまや自動車性能のもっとも重要な部分であり、アルファ ロメオもその辺りはきちんとフォローしているのである。

先進技術と言えば“Q4”と呼ばれる4輪駆動システムもそのひとつ。通常の前後トルク配分は0:100で、FRのドライブフィールが楽しめつつ、状況に応じて最大50%までフロントに駆動力を振り分ける。デフォルトをFRにしたり、たとえフロントにトラクションがかかったとしても運転の邪魔をしない自然な制御は見事で、アルファ ロメオは先進技術もきちんと自分のモノにしている。

ここまでステアリングを切ることが楽しいSUVは他にない

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今回の試乗車は『ステルヴィオ 2.0 TURBO Q4 ヴェローチェ』で、2リットルの直列4気筒ターボエンジンを搭載。2リットルで4気筒でも280ps/400Nmを発生するから、そのパワーは必要にして十分以上である。そして何より、スムーズな吹け上がりと響きのいいエンジンサウンドはアルファの真骨頂とも言うべきもので、4気筒とかターボとかそんなことは置いといて、とにかく回して気持ちがいいユニットである。

ヴェローチェには4気筒ディーゼルターボも用意されているが、そちらもディーゼルであることを意識させないエンジンフィールに仕立ててある。両エンジンのポテンシャルを存分に引き出しているのは、これに組み合わされる8速ATに因るところも大きく、適正なギヤ比やキレのあるシフトチェンジが運転のリズムに抑揚を付けてくれる。

ここまでステアリングを切ることが楽しいSUVは他になく、もっと街中で遭遇してもいいのにと思うのだけれど、お目にかかる機会が少ないのは、おそらく日本におけるアルファ ロメオのネガティブなイメージがいまだに蔓延っているからだろう。

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そのひとつが「壊れる」。昔はそういうことがあったが、実はその時代のクルマはどれも同じように壊れていた。それでもアルファだけが特に壊れるように言われるのは、オーナー自身が「また壊れたんだよね」と自己申告していたからだ。そしてたいていの場合、オーナーはそれをまるで自慢しているかのごとくすごく楽しそうに話す。たとえ壊れたとしても手放す気にはならないほど、魅力に溢れたクルマであるという、愛のこもった語り草だったのだ。もちろん、現代のアルファ ロメオはもはやそんな愛情表現をする必要はなく、信頼性に関しての心配は無用である。

ちなみに、今年7月から新たに加わった“ヴェローチェ”とはイタリア語で「速さ」を意味し、1950年代の「ジュリエッタ・スプリント・ヴェローチェ」を始めとする、アルファ ロメオの伝統的ネーミングでもある。ここでいう「速さ」とは、加速感やエンジンパワーのことだけではなく、コーナーを速く抜けられるハンドリングも含めたもので、ステルヴィオ・ヴェローチェはまさしくその名に恥じない出来栄えになっていた。

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渡辺慎太郎|ジャーナリスト/エディター
1966年東京生まれ。米国の大学を卒業後、自動車雑誌『ル・ボラン』の編集者に。後に自動車雑誌『カーグラフィック』の編集記者と編集長を務め2018年から自動車ジャーナリスト/エディターへ転向、現在に至る。

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《渡辺慎太郎》

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