公益財団法人日本デザイン振興会は10月20日、2021年度のグッドデザイン賞を発表した。
車両や施設、システムなどに関する鉄道分野では、JR東日本、JR東海、JR西日本、東京地下鉄(東京メトロ)、広島高速交通(アストラムライン)、臺灣鐵路管理局が選ばれた。鉄道事業者以外ではナビタイムジャパンが鉄道事業者向けの時刻表生成システムで選ばれている。
このうちJR西日本は『WEST EXPRESS 銀河』、臺灣鐵路管理局は特急用電車EMU3000で「グッドデザイン大賞」の選定候補となる「グッドデザイン・ベスト100」に選ばれている。大賞は11月2日に発表される予定。
『WEST EXPRESS 銀河』は2020年9月に運行を開始したJR西日本の「新たな長距離列車」で、117系近郊型電車を改造した7000番台による6両編成。
日立製作所が手がけた台湾特急EMU3000もグッドデザイン・ベスト100に。各車両にはファーストシート、クシェット、ファミリーキャビン、プレミアムルームといった、長距離乗車に耐えられるカジュアルで多様な設備を持ち、列車内の回遊性を高める工夫や沿線でのおもてなしなどで、富裕層を対象にした豪華寝台列車の対極としての気軽に長距離鉄道旅を楽しめる列車に仕上げている点が評価された。
一方、EMU3000は海外で運用されている車両だが、日本の日立製作所も手掛けており、12両編成50本600両が2021年12月から台湾全土の都市間特急列車に投入されることになっている。
省エネや非常時対策が施され「高速鉄道車両の世界標準とも言えるプラットフォームを提供している」としてグッドデザイン賞を受賞したJR東海のN700S。そのデザイン決定に際しては、鉄道事業者や車両メーカーのみならず、市民や有識者を交えて議論がなされ「台湾らしさ」を追求。派手さや奇をてらったものがない品のあるデザインにまとまっていることもあり、「意匠としての精度の高さのみならず、地元の誇りとともに、土地に根ざしていく未来の時間軸までのデザイン」として評価された。