トヨタの中嶋一貴、今季でWECレギュラーから勇退…日本勢最多のルマン総合優勝3回「ずっとチームの一員」

今季限りでWECレギュラードライバーから勇退する中嶋一貴。
今季限りでWECレギュラードライバーから勇退する中嶋一貴。全 7 枚

3日、世界耐久選手権(WEC)の最高峰クラス(現ハイパーカー・クラス)に参戦しているトヨタGAZOOレーシング(TGR)は、同陣営の中嶋一貴が「今季最終戦でWECレギュラードライバーとしての役割を終える(勇退する)」と発表した。

中嶋一貴(なかじま かずき)は1985年1月11日生まれの現在36歳。父は日本初のF1レギュラードライバーだった中嶋悟さんで、一貴の弟・大祐さんも2019年まで日本のトップカテゴリーで活躍していた(同年限りで引退)。

F1を目指しトヨタ系の若手として研鑽と実績を積み重ねた一貴は、2007年の最終戦でF1レースデビューを飾り、08~09年はフル参戦(F1での所属チームはウイリアムズ)。11年から国内トップカテゴリーを主戦場とし、翌12年からはWECにも参戦、やがて自身の活動の主軸に。各戦線でトヨタの主力ドライバーとして活躍を続けてきている。国内では12年と14年に全日本選手権のかかったトップフォーミュラでシリーズチャンピオンに輝いた(12年=フォーミュラ・ニッポン、14年=スーパーフォーミュラ)。

ルマン24時間レースを含むWECでは、最高峰クラス(LMP1クラス~ハイパーカー・クラス)に参画するトヨタ(TGR)とともに戦い、2018年には自身とトヨタにとって初のルマン総合優勝を達成、20年まで3連覇した。ルマン総合優勝3回は現段階での日本人ドライバーの最多記録だ(21年は2位、トヨタは小林可夢偉組が勝って4連覇)。また、2018/2019シーズンに一貴は日本人ドライバーとして初めてWECの世界チャンピオン(当時のWEC LMPドライバーズチャンピオン)にもなっている。

今季2021年のWECでも「トヨタGR010 HYBRID」の8号車を駆って活躍している一貴だが、最終戦(11月6日決勝)を前に、今季限りでの“WECレギュラードライバー勇退”が発表された。TGR発表の本人コメントは以下の通り。

「TGR WECチームのドライバーとして9シーズン(*)を戦ってこられたことは本当に光栄ですし、才能と情熱にあふれる、献身的な多くの仲間とともに数々のレースに勝ち、タイトルを獲得し、ルマンを制することができたのは幸運だったと思います」

「TGR WECチームと10年間にわたってレースを戦ってこられたことに、本当に感謝しています。辛い時も、楽しかった時も家族のように過ごしてきたチームとは多くの忘れがたい想い出があり、これからもずっと、TGR WECチームの一員だと思っています」

「耐久レースも新たな時代に突入することになり、来年以降、多くのハイパーカーメーカーが参入してきます。と同時に、自分自身も新たな道を歩み始めることになります。これからもできる限りチームへのサポートは続けるつもりですし、さらにエキサイティングになる耐久レース新時代が楽しみです」

(* について:現行WECは2012年スタートなので、今年2021年で10年が経過するが、途中、2018/2019シーズン、2019/2020シーズンという形態があったため、シーズンの数としては2021年が9シーズン目、ということになる)

TGRは「WECレーシングドライバーとしてのキャリアは終えることになりますが、中嶋は今後もTGRの一員として、チームの成功に向けた協力とトヨタのモータースポーツを基点としたもっといいクルマづくりへの貢献を続けていきます」としている。また、来季2022年のWECドライバー布陣については「数週間以内に発表予定」とのこと。

WECのレギュラードライバーから勇退、というのが今回の発表の名目であり、他カテゴリーでの現役継続はもちろんとして、あくまでも推察だが今後も代打やルマンでの追加マシン出走時などに一貴がWECを走る可能性も残されているようには思える。とはいえ、青天の霹靂のような発表でもあった。

中嶋一貴の新たな活動に期待するのと同時に、まずは“WECラストラン”となる今週末(現地11月6日決勝)の2021年最終戦バーレーン8時間での戦いぶりに注目したい。

《遠藤俊幸》

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