「仮想運転」技術が事故防止…ドライバー異常を察知するマツダの“コパイロット”

事故により悲しい思いをする人ゼロを目指す

“副操縦士”が常に寄り添う「Mazda Co-Pilot Concept」

2022年導入するラージ商品から展開を予定

「Mazda Co-Pilot CONCEPT」2022年よりラージ商品から搭載を進めていく
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マツダは11月4日、ドライバーの異常を自動検知して車両を安全に停止させる次世代安全技術「Mazda Co-Pilot CONCEPT」を開発したと発表した。

2022年より「MAZDA CO-PILOT 1.0」を新型車に搭載していき、25年以降にその予兆を検知して車線変更まで行う「2.0」へ進化させる計画だ。

事故により悲しい思いをする人ゼロを目指す

自動車会社にとって安全・安心なクルマ社会の実現は欠かせない社会的責務。その中でマツダは、これまでのクルマ作りを貫いて来た“人間中心”の考えの下、ドライバーが安全運転できる状態を最大限確保して事故リスクを抑制する安全思想「Mazda Proactive Safety」を開発。事故により悲しい思いをする人ゼロを目指してきた。

その第一段階が基本安全技術だ。それは「疲れにくく、運転に集中できる環境作り」にあり、良好なドライビングポジションや視界・視認性などをドライバーが正しく反応できる環境作りを整えることだ。そのために、万一の衝突時に備えて衝突安全性能を強化し、緊急通報を自動で行うシステムも採用してきた。

続く第二段階が、先進安全技術群である「i-ACTIVSENSE」など、ドライバーの認知や判断をサポートする技術だ。事故につながるリスクが生じたとき、クルマがそれをいち早く捉えてドライバーに注意喚起を促す。眠気があった場合もそれをドライバーに知らせて休憩を促す。つまり、これらの技術群を積み上げて進化させることでマツダは安心・安全なクルマ社会の実現に取り組んできたのだ。

これが評価され、マツダは世界各国で安全性能評価において軒並み最高ランクを獲得。実際、業界全体で死亡重傷事故件数が年々減少傾向にある中で、マツダはその平均よりも速いペースでこのような事故件数を減らすことができているという。「Mazda Co-Pilot CONCEPT」は常に“副操縦士”が横に乗って見守ってくれている感覚(写真提供:マツダ)「Mazda Co-Pilot CONCEPT」は常に“副操縦士”が横に乗って見守ってくれている感覚

“副操縦士”が常に寄り添う「Mazda Co-Pilot Concept」

しかし、これでも事故ゼロ社会を目指すには多くの課題が残る。その一つが運転中の眠気であり、もう一つがドライバーの体調急変で、これらが重大事故につながっている可能性は否定できない。そこでマツダは事故をさらに減らすためにこの体調急変や眠気に対応する技術が欠かせないと考えた。それが第三段階となる「Mazda Co-Pilot Concept」の開発につながったというわけだ。

「Co-Pilot」とは、一般的に飛行機の副操縦士のことを意味する。「Mazda Co-Pilot Concept」では体調の急変や居眠りを検知した際にはアラームで知らせ、ドライバーが運転を継続できないと判断されれば車を停止させて安全を確保する。つまりこの“副操縦士”が常に横で寄り添ってくれることで、ドライバーは心から安心し、いつも自信を持って運転が楽しめるというわけだ。

そうした考え方で生み出された「Mazda Co-Pilot」は、3つのコア技術で構成されている。一つ目はドライバーの状態を検知する技術。二つ目がCo-Pilot HMI仮想運転技術で、これはバックアップとして裏で仮想運転している技術だ。これが普段のドライバーの運転との差分を検出し、異常を判断する一つの材料となる。そして三つ目がドライバーに異常が発生した際に、自動で安全に退避・停止する技術。この技術は特定のドライバーを選ぶことなく、特別な操作なしに道路の種別に関わらず作動することもポイントとなる。

具体的には、車内カメラによって姿勢の崩れや視線・頭部の挙動、さらにはハンドルやペダルの操作状況をセンシングして総合的に判断する。これにより、万一、ドライバーが居眠りや急な体調変化に襲われた場合、車両は安全な場所に移動するまでハザードやブレーキランプ、ホーンによって周囲に「Mazda Co-Pilot」が作動中であることを車外に報知。そして避難場所に近づくと周囲の車両の流れを乱さないように配慮しつつ徐々に減速して安全に停車し、その後、ヘルプネットに接続して緊急事態を伝えるという流れとなる。

2022年導入するラージ商品から展開を予定

そして2025年以降のロードマップとして、ドライバーの変調を予兆検知する技術を取り入れ、異常があった場合は車線変更をして路肩や非常停止帯へ退避するといった退避技術の進化を加える予定だ。これについてMAZDA CO-PILOT CONCEPT開発主査 栃岡孝宏氏は、「医学的見地も加えて正確にドライバーの異常を推定する方法を開発。その先には脳科学の知見を活かしてドライバーの異常に至る予兆を早期に発見する技術の導入を予定している」と説明した。

ここで知っておくべきことは、「Mazda Co-Pilot」はあくまで人による運転をサポートする技術であって、システムが人間に代わって運転する技術ではないということだ。公開された動画を見ると、それこそ自動運転が実現できていると捉えがちになるが、これは国土交通省が定めた「ドライバー異常時発見システム(EDSS)」の発展形であり、再来年9月以降の新型車から順次適用する方向で準備が進められているものだ。

加えてマツダはあくまで「安全に運転が楽しめる」ことにフォーカスしており、これにより、運転への不安を抱えたドライバーだけでなく、家族や周囲の人の心配を解消し、それがより多くの人に“走る歓び”を感じてもらえることを目指している。その意味でも「Mazda Co-Pilotは自動運転と別ものであると考えるべきもの」(栃岡氏)ということだ。

マツダの常務執行役員R&D管理・商品戦略・技術研究所・カーボンニュートラル担当である小島岳二氏は、「自動運転が広く普及し始めた際にはマツダとしても搭載していくことにしているが、Mazda Co-Pilotはそれとは別に眠気や体調急変による重大事故の防止を最優先して開発した」と説明。また、搭載車種については「新たな電子アーキテクチャーを採用する2022年導入予定のラージ商品から展開していきたい」とし、搭載価格は「適切な価値であると認識されるような価格帯での量産化を目指している」とした。

《会田肇》

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