ハイパーカー『ヴァルハラ』日本公開…アストンマーティンの今後を握るスポーツカー

アストンマーティン・ヴァルハラ
アストンマーティン・ヴァルハラ全 15 枚

アストンマーティンジャパンはミッドシップレイアウトのハイパースポーツカーの第2弾、『ヴァルハラ』のほぼ完成モデルを日本で公開した。2023年後半から生産を開始し、総生産台数は最大999台。価格は1億0200万円から。アストンマーティン・ヴァルハラアストンマーティン・ヴァルハラ

1万台計画に向けて

「ミッドエンジンプログラムは会社にとって大変重要なプログラムのひとつ」と述べるのは、アストンマーティンジャパンオペレーションズディレクターの寺嶋正一氏だ。「ミッドエンジンの新しいラインナップを導入することによるブランドの変革、そしてプロダクトポートフォリオの拡大は、アストンマーティンラゴンダが2024年から2025年に年間1万台の販売を実現するためのキーとなるからだ」という。その結果、「コアスポーツカー、SUV、そしてミッドエンジンのモデルというラインナップにより、競合他社との直接的な戦いを可能にするだろう」とコメント。

アストンマーティンラゴンダCEOのトビアス・ムアース氏もヴァルハラにかける思いは強い。「昨年アストンマーティンに入社した際、私の最も高い優先順位のひとつが、ヴァルハラの“旅”を徹底的に検証することだった」と明かす。「私が直接指揮にあたり、世界レベルのエンジニアリングチームと、このプロジェクトの主要技術パートナーと共に推進した」と述べる。その結果、「真のドライバーカーとして出来上がりつつある。我々の新機種の中でも、最も重要なクルマになる可能性を秘めている」と話し、「すべての側面において、当初のコンセプトをはるかに超えるものだ」と期待を語る。

また電動化に関しても、「ヴァルハラはビスポークなハイブリッドV8エンジンを搭載し、電動化を広範囲に適用。アストンマーティン独特の高次元にチューニングされたレーサーカーであると同時に、我々の内燃エンジンからハイブリッド、そして電動機関へと遷移する重要なクルマなのだ」とした。

DBXも好調な日本市場

今回ヴァルハラがいち早く日本での公開となった理由について寺島氏は、「日本市場において、SUVの『DBX』は世界でもトップクラスで成功していることから、イギリス本国の日本にかける期待は高いからだ」とコメント。因みにDBXユーザーは、「これまでと同様、クルマはもとよりライフスタイルにこだわりの強いお客様だ。DBXも、自分だけの1台、つまり、ビスポーク的にオーダーしたいという方々が多い」という。また、「DBXがスポーツカーと違うのは、4人乗りで居住スペースも広いこと。その点で奥様にも受け入れられご夫婦で楽しまれているようだ」と述べた。

95%の完成形

アストンマーティンラゴンダチーフクリエイティブオフィサーのアレック・ライヒマン氏は現在のエクステリアに関し、「市販車の95%の完成レベル」と発表。その特徴は6本バーを配したアストンマーティングリルとともに、フロント下部のスプリッターなどで空力を追求。同時に、フロントからエアを吸入、ボンネット上部か排出される。これは車上のバッテリーシステムの冷却に寄与し、コンセプトカーからの大きな変化点でもある。またサイドはサイドストレークがボディと一体化。これによりフロントホイール及びフロントホイールアーチからエアを逃がしている。その上部には台形の開口部があり、高圧エアをフロントフェンダーから逃す機構だ。アストンマーティン・ヴァルハラアストンマーティン・ヴァルハラアストンマーティン・ヴァルハラアストンマーティン・ヴァルハラ

またルーフに付けられたシュノーケル型の冷却フィンも特徴的だ。ここから効率的にエアを取り込むと同時に、リアタイヤ全部付近のエアインテークなどによりエンジンを冷却。アストンマーティン・ヴァルハラアストンマーティン・ヴァルハラアストンマーティン・ヴァルハラアストンマーティン・ヴァルハラ

リア周りもディフューザーなどによりいわゆるベンチュリ効果でエアを排出。ライヒマン氏によると、「このクルマのリアのポイントは、まさにエアをクルマから押し出し引き出す機能だ。それにより強力なダウンフォースも生まれる」と述べた。アストンマーティン・ヴァルハラアストンマーティン・ヴァルハラ

細部ではDRL付のプロジェクターヘッドランプを採用。「将来のコアモデルの重要な要素」とライヒマン氏。また、ドアミラーのカメラシステムは見送られたとのことだった。アストンマーティン・ヴァルハラアストンマーティン・ヴァルハラ

ヴァルハラの性能面での特徴は、カーボンファイバータブを採用したほか、プラグインハイブリッドV型8気筒エンジンを搭載。2つの電気モーターも用い、950PSを発揮する。また、アストンマーティン初の8速ダブルクラッチトランスミッションを搭載。EVモードで15kmの走行が可能だという。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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