【BMW R18トランスコンチネンタル 試乗】「より遠くへ」断ち切れない旅への誘惑…青木タカオ

BMW二輪史上最大の1801ccボクサーエンジン搭載

リバースギヤ付きだから取り回しも楽々!

雨でも濡れない! 優れたウインドプロテクション性能

濡れた路面も不安なしの先進的電子制御に感謝!!

BMW R18トランスコンチネンタル
BMW R18トランスコンチネンタル全 29 枚

待望の再会&試乗へ

左右に張り出した水平対向2気筒エンジンは迫力満点。大型フェアリングや長旅のための荷物を余裕をもって収納するラゲッジケースを備えた車体も堂々たるもの。BMWの大陸横断ツアラー『R18トランスコンチネンタル』だ。

報道向け国際発表会は9月上旬にドイツ・フランクフルトにておこなわれ、そこで乗れたのはバガーカスタムスタイルの『R18B』だけだった。帰国後、14日間の待機期間を経て、待ちわびていたR18トランスコンチネンタルの試乗となった。

潤沢なトルクを発揮するビッグボクサー

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排気量1801cc、BMWの二輪史上もっとも大きなボクサーツインエンジンは、目覚めると同時に車体を左へブルンっと揺する。真っ直ぐに後ろへ伸びた左右2本出しのマフラーからは乾いた音。耳障りの良い音で、思わずアクセルを何度も空ぶかしし聴きたくなる。その度に車体はぐらっと揺すられるが、それも含めてやらずにはいられない。

車体は見るからに大きく、車体重量は427kgもある。しかし、乾式単板クラッチをつなぐだけで、その巨体が悠然と動き出す。

低いギヤでは駆動力が強すぎてギクシャクしてしまうから、早めのシフトアップを心がけてゆったりと流す。空油冷式のOHV4バルブエンジンは、トップ6速での100km/h巡航を2200rpmほどでこなしてしまい、わずか3000rpmという低回転で158Nm(16.1kg-m)もの最大トルクを発揮する。

リバースギヤで取り回しの不安解消

BMW R18トランスコンチネンタルBMW R18トランスコンチネンタル
シート高は720mmと低く、身長175cmの筆者(青木タカオ)だと両足がベッタリと地面に届く。サイドスタンドを払って車体を引き起こすときは、足がしっかりと届かないと苦戦しそうだが、低重心で足つき性がいいから踏ん張りが効き、慣れてしまえば問題ではない。

もちろん取り回しは重いが、シート高が低いおかげで乗り降りが苦にならない。さらにリバースギヤも備わるので、押し引きでお手上げなんてことにもならないのがいい。

少しくらいの雨なら濡れない!?

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あいにくの雨模様だが、大きなフェアリングとウインドスクリーン、エアフラップ、レッグシールドのおかげで、小雨ならほとんど身体が濡れない。それほどにウインドプロテクション効果が高い。

ハイウェイクルージングはもっとも得意とするところで、高速道路を少し走行するくらいではまったく疲れない。というか、物足りない。

ベベルギヤを介して駆動力をリヤタイヤへ伝えるドライブシャフトは静粛性に優れ、ダブルクレードルスチールフレームを骨格にした車体は、高速道路でスピードを上げても落ち着いたまま。

「アダプティブクルーズコントロールシステム(ACC)」をセットすれば、前走車との車間距離が縮まったときに自動的に減速・制動してくれ、一定速度の走行を快適にしている。

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ブレーキはフルインテグラルABSで、フロントレバーの操作で前後が連動。車体姿勢を崩さず、安定したブレーキングがいつでもできるのも心強い。

ライディングモードは「Rain(レイン)」「Roll(ロール)」「Rock」の3種が設定され、雨の日も「レイン」にしておけばトラクションコントロールがしっかり介入し、急激なシフトダウン時のエンジンブレーキも制御。濡れた路面を二輪で走るのは不安がつきまとうが、なんという安心感か。先進的な電子制御デバイスの恩恵を受けることができた。

疲れ知らずの快適性

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淡々と走れば、これほどに快適なモーターサイクルはなかなかないとつくづく思う。果たしてどのくらいの距離を走ったときに、ようやくライディングの疲労を感じるのだろうか。最近、立て続けに1日で500km以上を走るツーリングをしているが、乗るバイクによって疲労感に大きく差が出る。よくできたツアラーならまったく疲れを感じさせないし、スプリンターなスポーツバイクならクタクタになってしまう。

R18トランスコンチネンタルは長い距離をじっくりと時間をかけて乗ってみたいと強く思わせる。「より遠くへ」と、ロングライドへの誘惑をひしひしと感じてならないのは、低回転でも潤沢にトルクを発揮し、高速巡航を可能にしているビッグボクサーツインエンジン、そしてストレスを身体のどこにも感じさせない快適な車体のおかげだ。

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R18Bもそうだが、この2機種は専用のツーリングシャシーが採用され、独自のステアリングジオメトリーが用いられた。ステムシャフト(操舵軸)に対し、フロントフォークをライダー寄りに逆オフセットし、キャスターアングルは『R18』や『R18クラシック』より寝かせている。

ハンドリングはさぞかしいヘヴィだろうと身構えたが、クセがなく、軽快感を伴いつつ落ち着きのある安定したハンドリングを実現し、レーンチェンジでも反応の鈍さを感じない。跨った瞬間に感じる重量感は走り出した途端に置き去りにし、想像以上にキビキビ走る。

荷物を積んで、長い旅に出かけよう

BMW R18トランスコンチネンタルBMW R18トランスコンチネンタル
燃料タンク容量は24リットルを確保し、長距離走行に対応。収納スペースはサイドパニアケースが左右それぞれ27リットルずつ、トップケースは48リットル分もの荷物を積み込める。ヘルメット2個を入れてもまだ余裕があるから、休憩時にグローブやジャケットなども入れておけるだろう。

高速道路でのダイナミックなクルージングはもちろん、ワインディングや田舎道も思いのほか軽やかに走ってくれるBMWクルーザーのニュー・フラッグシップ。高速道路を多用するツーリング派なら、欧州より狭い日本でも持て余すことはないはずだ。

BMW R18トランスコンチネンタルBMW R18トランスコンチネンタル

■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★
コンフォート:★★★★★
足着き:★★★★
オススメ度:★★★★★

青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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