スズキ社長、二輪事業「前期からの体質改善の効果が出た」…営業利益率が5.8%に

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スズキは11月11日、2021年度上期(4~9月)期連結決算を発表した。それによると、売上高は1兆6735億円(前年同期比31.8%増)、営業利益が991億円(同32.3%増)、当期純利益が1005億円(同85.0%増)と増収増益だった。ただ。2019年度の業績と比べると、減収減益となった。

この1年の四半期ごと営業利益を見ると、2020年7~9月期の736億円をピークに639億円、556億円、545億円、そして21年7~9月期が446億円と右肩下がりでさえない状況が続いているが、二輪事業とマリン事業は頑張っていると言っていいだろう。

二輪事業は長年赤字に悩まされ、20年4~9月期も36億円の赤字だった。それが今上期は69億円の営業黒字に転換。営業利益率も5.8%と中期経営計画で目標としていた5%を達成した。売上高は前年同期比33.6%増の1190億円だった。

「前期から固定費削減の努力や在庫削減、販売の適正化などいろいろな体質改善に取り組んできた成果が出た。コロナ禍でプラス面やマイナス面もあったが、このような数字が出せたことは明るい兆しだ」と鈴木俊宏社長は安堵する。

グローバル販売台数についても、前年同期に比べて15.6%増加し、78.1万台となった。特に中国(12.9%増)、インド(36.4%増)、フィリピン(27.8%増)が大きく伸びた。長尾正彦専務役員によると、コロナ禍ということもあって、公共交通機関ではなく、自分のバイクで移動したいということで、これらの国では販売が大幅増になったそうだ。また、新型『ハヤブサ』の投入も収益面で良い効果をもたらした。

通期のグローバル販売見通しも、四輪が248万6000台と前期に比べて8万5000台(3.3%)減るのに対し、二輪は163万3000台と9万8000台(6.4%)も増やす計画だ。「二輪もこれからカーボンニュートラルに向けて体制をしっかりと整えて取り組んでいく」と鈴木社長。

また、マリン事業も売上高が前年同期比20.4%増の499億円、営業利益は同53.2%の122億円となり、過去最高を更新した。欧米を中心として三密を避けたマリンレジャーを手軽に楽しむボートや船外機需要が高まったことが増収増益に寄与した。今後の見通しについても、在庫不足やコンテナ不足の制約はあるが、市場は引き続き好調が続くと見ている。

会社全体の2021年度通期業績見通しは、売上高が前回公表値より2000億円減の3兆2000億円(前期比0.7%増)、営業利益が1700億円(同12.6%減)、当期純利益が1500億円(2.4%増)で利益については前回公表値を据え置いている。半導体不足や原料価格の高騰などのリスク要因があり、先行きの不透明感は拭えないが、二輪事業は長いトンネルから抜け出たようだ。

《山田清志》

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