物流クライシスを乗り越える「特積み」の可能性

物流クライシスを乗り越える「特積み」の可能性
物流クライシスを乗り越える「特積み」の可能性全 4 枚

「SIP地域物流ネットワーク化推進協議会」の設立

2021年11月16日、「SIP地域物流ネットワーク化推進協議会」の設立総会が開催された。本協議会には、荷主や物流会社を中心に様々な企業が参画しており、その連携を通じて、国内トラック輸送おける人手不足、ドライバーの低賃金・長時間労働、低積載効率といった諸問題の解決を図ることを目的としている。荷主の受発注計画情報やトラックの空きリソース情報を早期に共有し、輸送の平準化、シェアリングを促進することで、物流での需給ギャップを解消しようという算段だ。

内閣府は、2018年度より「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の第二期を開始し、12の課題の解決に取り組んでいる。そのうちの1つが「スマート物流サービス」であり、社会実装に向けた取り組みの1つとして「SIP地域物流ネットワーク化推進協議会」が設立されたというわけだ。「スマート物流サービス」は、「地域物流」以外にも、「日用消費財」、「ドラッグストア・コンビニ」、「医療機器」、「医療材料」、「アパレル」を対象とした物流・商流データ基盤の構築を進めている。近い将来、その成果が社会実装されることで、企業の垣根を越えた物流の効率化・最適化が図られるはずである。

中ロット貨物パレット共同輸配送の概要



輸送効率向上の必要性

日本では、ヤマト運輸での過重労働問題の発生以降、人手不足に端を発した「物流クライシス」が叫ばれている。特にトラックドライバーはなり手が少なく、現在では道路貨物運送業の就業者の2割近くを60歳以上が占める。今後、労働環境の改善が進んだとしても、労働力人口の減少が予想される中で、トラックドライバーの就業希望者が顕著に増えるとは考えにくい。したがって、物流ネットワークの持続を図るためには、トラック輸送の効率性向上が不可欠といっても大仰ではないはずだ。

然りながら、国内におけるトラック輸送の積載効率は長期に渡って低下傾向にある。直近では営業用トラックでさえも40%を下回るようになった。自家用トラックに至っては20%を切ろうとしている。トラックドライバーが不足しているのにもかかわらず、効率性が悪化しているのである。


《小野塚 征志》

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