新連載[ハイエンド・カーオーディオへの誘い]高級メインユニットが“音が良い”のは、なぜ?

カロッツェリア・AVIC-CL902XSlll
カロッツェリア・AVIC-CL902XSlll全 9 枚

カーオーディオでは、理想のサウンドをとことん追求できる。高性能な“ハイエンド機”がさまざまあり、それらを使うとレギュラー機では得られない魅惑のサウンドを手にできる。今回から開始する当特集では、そんな「ハイエンド・カーオーディオ」の魅力を紐解いていく。

AV一体型ナビの中には、“格”の違うモデルがある!?

今回は、「ハイエンド・メインユニット」について考えていく。まずは、AV一体型ナビの中での“ハイエンドモデル”と呼ぶべき機種に焦点を当ててみる。代表的な存在となっているのは以下の2ラインだ。1つがカロッツェリアの『サイバーナビXシリーズ』で、もう1つが三菱電機の『ダイヤトーンサウンドナビ』だ。

さて、これらが“ハイエンド”たり得ている理由は何だろうか。それは2つある。1つは「音響パーツ&技術に贅が尽くされていること」で、もう1つは「サウンドチューニング機能が優秀であること」だ。

ゆえに、価格もそれ以外のモデルと比べて高価だ。まず『サイバーナビXシリーズ』の方は、8V型と7V型の2機種があり、7V型の『AVIC-CZ902XSlll』は24万8000円(税抜)で、8V型の『AVIC-CL902XSlll』は27万8000円(税抜)だ。そして三菱電機の『ダイヤトーンサウンドナビ』は、7V型モデルの『NR-MZ200PREMI-2』が24万円(税抜)で、8V型の『NR-MZ300PREMI-4』が26万8000円(税抜)だ。

なお、7V型および8V型のAV一体型ナビで20万円を超えるモデルはほぼない。ゆえにこれらは価格的に“別格”と言って良い。

では、これらが“ハイエンド”たり得ている理由の詳細を説明していこう。まずは「音響パーツ&技術に贅が尽くされていること」について検証していく。

ちなみにカーオーディオユニットは総じて、使用パーツにコストをかければかけるほど音質性能が向上していく。しかし、通常のAV一体型ナビは価格競争を勝ち抜く必要があり、音響パーツに潤沢にコストを注げない。しかし上で挙げたこれらではボーダーラインが上げられていて、一般機では使用が見送られるようなパーツも採用されている。そして凝った回路も投入されている。価格上昇分は、そのまま音のためのパーツ&技術代だと思って間違いない。

かくして、これら「ハイエンド機」は素の音質性能が高い。つまり、メディアから音楽信号を読み取る精度が高く、そして内蔵パワーアンプで音楽信号を増幅する際にも信号はピュアなまま保たれる。なので、例えばスピーカーが純正のままであっても、そしてサウンドチューニング機能を駆使する前の段階でも、音が良いことを確認できる。

「クロスオーバー機能」が優れていることが、音に効く!?

続いては、「サウンドチューニング機能が優秀であること」の中身を見ていこう。まずこれらは、「クロスオーバー機能」が優秀だ。「クロスオーバー機能」とは、音楽信号を帯域分割する機能だ。ちなみに通常のAV一体型ナビの中にも「クロスオーバー機能」が搭載されている機種があるが、それらはフロントスピーカーとサブウーファー間において運用するためのものとなっている。しかし「ハイエンド機」では、フロントスピーカーのツイーターとミッドウーファー間にも「クロスオーバー」をかけられる。

なので「ハイエンド機」では、左右のツイーター用と左右のミッドウーファー用の計4系統の音楽信号を個別に出力できる。結果、リアスピーカーは鳴らせなくなるが、そのかわり4ch出力のすべてをフロントスピーカーのために使えるので、よりトルクフルにフロントスピーカーの各機を鳴らせるようになる。

さらには、その他のサウンドチューニングもより緻密に行える。特に違いが出るのは「タイムアライメント」という機能の運用時だ。「タイムアライメント」とは、スピーカーの発音タイミングを遅らせられる機能だ。クルマの中ではリスニングポジションが左右のどちらかに片寄るので、ステレオイメージを感じ取るのが難しい。しかし「タイムアライメント」機能が搭載されていれば近くにあるスピーカーの発音タイミングを遅らせられるので、あたかも左右のスピーカーから等距離の場所にいるかのような状況を作り出せる。

「タイムアライメント」をツイーターとミッドウーファーのそれぞれに個別に効かせられると…。

しかし、内蔵パワーアンプの出力が「フロント左右+リア左右」であると、フロントスピーカーがセパレート2ウェイであってもツイーターとミッドウーファーとを「1つのスピーカー」として扱わざるを得ない。

でも内蔵パワーアンプの4出力を「左右のツイーター+左右のミッドウーファー」に置き換えられる「ハイエンド機」では、ツイーターとミッドウーファーのそれぞれに対して個別に「タイムアライメント」をかけられる。そうであるとステレオイメージをより一層リアルに再現できるようになるのだ。

ところで、1DINメインユニットの中にも「ハイエンド機」が1つある。それは、カロッツェリアの『DEH-P01』(税抜価格:10万円)だ。

ちなみに通常の1DINメインユニットは、2万円台以下である場合がほとんどなので、当機の価格は通常機に対してざっと5倍以上。つまり当機にも、音に関するパーツや技術に相応のコストがかけられている。特に内蔵パワーアンプがスペシャルだ。実は当機は、パワーアンプは内蔵されてはおらず別体となっている。そしてしかも出力を6ch装備している。なので、フロント3ウェイの個別ドライブ(マルチアンプ接続)も可能だ。

そしてサブウーファーは内蔵パワーアンプでは鳴らせないものの、サウンドチューニングはもちろん可能だ。つまり、サブウーファーを鳴らすための外部パワーアンプを用意すれば、フロント3ウェイ+サブウーファーというスピーカーレイアウトも緻密にコントロールできる。フロント3ウェイ+サブウーファーという高度なシステムをコンパクトに構築したいと思ったら、ハイエンドメインユニットである『DEH-P01』を使うという選択肢も浮上する。覚えておこう。

今回は以上だ。次回も「ハイエンド・カーオーディオ」の魅力について解説していく。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

高級メインユニットが“音が良い”のは、なぜ? 魅惑の「ハイエンド・カーオーディオ」への誘い 第1回

《太田祥三》

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