日産自動車と住友商事など4者のトップは12月22日に都内で記者会見し、自治体のカーボンニュートラル(脱炭素)実現に向けた事業協力などについて発表した。
日産、住友商事および住友三井オートサービスの3社は「自治体向け脱炭素化支援パートナーシップ」で合意し、同日協定を締結した。国内では2050年の脱炭素を表明している自治体は現在、東京都や横浜市など492にのぼり、その住民の人口は日本の約9割に相当する約1億1200万人規模に達している。
3社はそうした自治体向けに、それぞれが有する機能と知見を組み合わせながら、電気自動車(EV)などモビリティとエネルギーの切り口からサポートを進めていく方針だ。モビリティではEVの導入やカーシェアリングの環境構築など、エネルギーについては再生可能エネによる電力の導入などを進める。モビリティとエネルギーとの連携にも取り組み、各地域の特性にあった「地産地消型脱炭素社会」の実現を支援していく計画だ。
日産は、全国の自治体との間で災害時のEV活用などについての協定を結ぶ「ブルー・スイッチ」活動を推進しており、これまで150を超える機関との連携を実現している。また、日産と住友商事は、EV用バッテリーのリサイクルなどを手掛ける「4Rエナジー」(横浜市)を共同出資で設立・運営しており、今回の協定にもつながった。
一方、日産は福島県会津若松市で一般社団法人の「スーパーシティAiCTコンソーシアム」が推進している先進的なスマートシティ構想について、「スマートシティ会津若松におけるカーボンニュートラル実現に向けた連携協定」を同コンソーシアムとの間で、22日に合意したことも発表した。両者は、EVを核とする大規模なエネルギーマネジメントの構築や再生可能エネルギーの活用方法、EV保有の新たな活用などの探求で協力していく。
さらに日産は、独自の脱炭素社会への活動として、実質再生可能エネルギー100%の電力を希望する従業員向けに2022年度初頭から販売を始めると発表した。まず、関東圏の従業員を対象とする。併せて、EVを活用した実証実験の結果などを踏まえ、EV活用による魅力的な電力プランを日産車ユーザーに提供するためのビジネスパートナーの選定なども進めるという。
日産の内田誠社長は記者会見で、今回の一連の協定などについて「どれもがカーボンニュートラル社会の実現に重要なソリューションとなるエネルギーマネジメントに関するものだ。さまざまなパートナーの皆様とタッグを組み、包括的なアプローチでカーボンニュートラル社会の実現に邁進していきたい」と強調した。