フォードのEVピックアップトラック、車車間充電が可能に…住宅への電力供給も

約32kmの航続に必要なバッテリー容量を1時間で充電可能

一般的な広さの住宅に電力を最大3日間供給可能

1回の充電での航続は最大483km

フォード F-150 ライトニング にオプション設定された車車間充電システム「プロパワーオンボード」
フォード F-150 ライトニング にオプション設定された車車間充電システム「プロパワーオンボード」全 18 枚

フォードモーターは12月21日、EVピックアップトラックのフォードF-150ライトニング』(Ford F-150 Lightning)に、他のEVを車車間充電できる機能をオプション設定すると発表した。

◆約32kmの航続に必要なバッテリー容量を1時間で充電可能

このオプションは、「プロパワーオンボード」と呼ばれるものだ。発電機と大容量バッテリーシステムのおかげで、他のEVを車車間充電することができる。車車間充電には、専用の240ボルトコンセントを使用する。

プロパワーオンボードの充電出力は、9.6kWと7.2kWの2種類だ。たとえば、F-150ライトニングのプロパワーオンボードを、フォード『マスタング』シリーズのEV、『マスタング・マッハE』に接続すると、20マイル(約32km)の航続に必要なバッテリー容量を1時間で充電できる。

F-150ライトニング同士の車車間充電では、最大13マイル(約21km)の航続に必要なバッテリー容量を1時間で充電可能。商用EVのフォード『Eトランジット』に接続した場合、10マイル(約16km)の航続に必要なバッテリー容量を1時間で充電できる。フォードモーター以外の自動車メーカーのEVを充電することも可能だ。

フォード F-150 ライトニング にオプション設定された車車間充電システム「プロパワーオンボード」フォード F-150 ライトニング にオプション設定された車車間充電システム「プロパワーオンボード」

◆一般的な広さの住宅に電力を最大3日間供給可能

F-150ライトニングは車載バッテリーを利用して、住宅に電力を供給することもできる。家庭用の発電機などを設置する代わりに、停電が発生した場合、一般的な広さの住宅に最大3日間、電力を供給することが可能だ。

EVパワートレインをコンパクト設計とし、これにより、フロントに大容量トランクスペースの「メガパワーフランク」を設けることが可能に。最大およそ400リットルの容量を備えたメガパワーフランクには、複数の電源コンセントが設置される。

携帯電話やインターネットが生活を変えたように、フォードモーターはEVも幅広い新しいサービスや機能によって、生活を変えることができると見込む。F-150ライトニングで利用可能な発電とストレージを活用して、フォードは顧客に機能性や利便性を提供していく。

フォード F-150 ライトニングフォード F-150 ライトニング

◆1回の充電での航続は最大483km

フォードモーターの最新の電動化テクノロジーが搭載されている。前後アクスルに搭載されるモーターは標準モデルが最大出力426hp、上位モデルが最大出力563hp。最大トルクは、どちらも107.2kgmを引き出す。強力なツインモーターは4輪を駆動し、上位モデルの場合、0~96km/h加速4秒台半ばの性能を発揮する。最大積載能力は標準モデルで約900kg。牽引能力は上位モデルで4.5トン以上を目標に掲げている。フォードモーターによると、重心が低いため、悪天候や路面状況の悪い場所でも、自信を持って運転できるという。

バッテリーは新世代の水冷式リチウムイオンだ。バッテリーの蓄電容量には2種類があり、1回の充電での航続は標準モデルが約370km、上位モデルが約483km(いずれもEPA認定予定値)となる。

充電に関しては、自宅向けに80アンペアの充電システムを標準装備した。デュアルオンボード充電システムを利用すれば、さらに高速な自宅での充電を可能にする。フル充電にかかる時間は約8時間。外出先では、北米最大の公共充電ネットワークに「FordPass」を通じてアクセスできる。全米の6万3000か所以上の充電ステーションでは、最大出力150kWでDC急速充電が行える。10分で最大約87kmの航続に必要なバッテリー容量を充電可能。約40分でバッテリーの80%を充電できる、としている。

フォード F-150 ライトニングフォード F-150 ライトニング

《森脇稔》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 待望の新型スズキ『GSX-R1000R』が予告なしの初公開!「3色3様」往年のレーシングカラーで日本市場復活へ
  2. 世界初の「破壊不可能ホイール」って何だ!? テスラ向けパーツ手掛ける米メーカーが開発
  3. 「ミニGSX-R」をスズキがサプライズ発表!? 鈴鹿8耐マシン以上に「サステナブルかもしれない」理由とは
  4. 新型『ムーヴ』『ステラ』のコーナリング性能を向上、ブリッツの車高調「DAMPER ZZ-R」シリーズ
  5. 車検NGの落とし穴!? シート交換で絶対に知っておくべき新ルール~カスタムHOW TO~
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
ランキングをもっと見る