【CES 2022】昨年のビジョンの実装が着実に進んだ…日本政策投資銀行 青木崇氏[インタビュー]

【CES 2022】昨年のビジョンの実装が着実に進んだ…日本政策投資銀行 青木崇氏[インタビュー]
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2022年のCESは、直前のオミクロン株のパンデミックにより対面出典を取りやめる企業が出るなどの影響もでたが、オンライン併催により無事に開催された。ソニーのEV参入など大きなニュースもあった。

昨年に続き2022年もCESの概要と業界動向をまとめて俯瞰できるオンラインセミナー「2022年自動車業界展望~CES2022調査報告・市場動向と技術トレンド~」が1月28日に開催される。講師を務めるのは日本政策投資銀行 産業調査部 産業調査ソリューション室 室長 青木崇氏。昨年に引き続き今年もオンラインで主要キーノートや各社発表内容を精査した。セミナーに先立ち、CES 2022の概要を語ってもらう。

---:セミナーではどんなことをお話するのでしょうか。

青木氏:構成としては最初にCES2021との継続性を確認しながらCES2022のメガトレンドを分析し、主要メーカーの基調講演の紹介や、その中から特徴的な発表内容をいくつかとりあげる予定です。最後に、取材した業界動向をふまえてこれからの産業のあり方、ビジネスについて考えてみたいと思っております。

---:国内では昨年後半から脱炭素やカーボンニュートラルの議論が活発になり、トヨタのEVラインナップの発表などの動きもありました。CES 2022ではどんな発表が目立ったのでしょうか。

青木氏:各社発表の詳細や具体的な製品・技術についてはセミナーでスライドなどを交えてお話したいと思います。ここでは、昨年のCES 2021でのキーとなったトピックをおさらいしながら、今年のトレンドについて概要を説明したいと思います。

昨年は、「脱炭素・環境問題」「COVID-19による価値観の変化」「2050年を見据えた企業行動」という3つのキーワードがあったと思います。このうち脱炭素について、今年はサムスンの基調講演で言及がありましたが、あえてとりあげるところは少なかったと思います。おそらく、脱炭素やカーボンニュートラルはもはや前提に当然含まれるものであり、議論するフェーズは終わったということかもしれません。

---:2つ目の価値観の変化についてはどうでしょうか。

青木氏:社会全体ではテレワークやソーシャルディスタンツといった「ニューノーマル」が、通勤スタイルや企業システム、レジャーやエンターテインメントの動向に影響を与えました。昨年AMDは「世界では約30億人、およそ40%の人がゲームをしている」と述べましたが、21年にはFacebookによって「メタバース」がリリースされました。

22年のCESではヒュンダイがメタバース内でロボティクスとメタモビリティの提案を行い、クアルコムはマイクロソフトとの提携を発表しました。ARヘッドセットHoloLens 2に続いて、次世代ARグラスでもクアルコムのSnapdragonチップが採用されるようです。VR/ARは産業分野でも注目されている技術ですが、「メタバース」は日本ではバズワードのように連日報道されています。しかし、クアルコムを始めとしたCES参加企業のスタンスからメタバースがバズワードでは終わらない可能性を感じました。

---:今年のCESについてキーワードをあげるとすれば何になりますか。

青木氏:「C-V2X」「メタバース」「バリューチェーンの変化」だと思います。どれも概念や技術としては新しいものではありません。C-V2X(Cellar-V2X)は、V2Xの通信に5Gを含む携帯電話(セルラー)の無線技術を利用するための規格です。メタバースも21年リリースですが、仮想空間は数十年も前から「セカンドライフ」がすでにありますし、産業界ではデジタルツインとしてドイツがインダストリー4.0で推進していたことです。バリューチェーンの変化もモビリティ革命やCASE革命でも言われていたことです。

しかし、だからといって無視してしまうことは非常に危険です。今年はこれらを実現する技術や応用例が着実に増えてきています。昨年までのビジョンを製品やサービスに落とし込むフェーズに入ったと思います。

---:論文やコンサルタントの将来予測から、リアルなサービスやビジネスが見えてきたということでしょうか。

青木氏:はい。たとえば、C-V2Xでは、モービルアイが高精度3Dマップがないところでも自動運転を可能にするREM(Road Experience Management)を発表しました。レベル3以上の自動運転には事前に作成した高精度な3Dマップが必要とされますが、モービルアイのシステムは、地図のないところでも車両が走行中のデータをクラウドに蓄積します。世界中の道路データはAIによって学習処理され、地図がない道路でも自動運転の認知・判断を助けるデータとして利用されます。講演では、東京の街路がREMの事例として出て来たのでその紹介もしたいと思います。

ソニーEVの市場参入やGeely(吉利)のEV専業子会社Zeekrの設立は、かねてより言われていた自動車産業の垂直統合型サプライチェーンの変革が現実のものとなったといえるでしょう。

---:他にも気になった発表や面白い製品・技術などはありますか?

青木氏:詳しくは資料などを整理してセミナーでお話しできると思いますが、「C-V2X」「メタバース」「バリューチェーンの変化」という3つのキーワードを支える基幹技術があると思っています。それは、OTA(Over The Air)です。スマホと同じように、ソフトウェアのアップデートがリモートで随時行われるようになります。このOTAという考え方が、今後のあらゆるビジネスの前提になってくると思われます。そうすると、今後の付加価値はどこに向かうのでしょうか?これからの産業の在り方を考える上で、私は4つのキーワードが重要だと考えています。4つのキーワードについては、セミナーでお話ししたいと思います。

CES2022と業界動向をまとめて俯瞰できるオンラインセミナー「2022年自動車業界展望~CES2022調査報告・市場動向と技術トレンド~」は1月28日開催。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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