千葉幕張新都心で自動運転バス運行…東京オートサロン2022に合わせた理由がある

幕張豊砂駅(建設中)~イオンモール幕張新都心~ZOZOマリンスタジアム~JFA夢フィールド幕張温泉 湯楽の里を結ぶ路線バスを想定した、埼玉工業大学 自動運転バス 実証実験に試乗する千葉市 神谷俊一市長
幕張豊砂駅(建設中)~イオンモール幕張新都心~ZOZOマリンスタジアム~JFA夢フィールド幕張温泉 湯楽の里を結ぶ路線バスを想定した、埼玉工業大学 自動運転バス 実証実験に試乗する千葉市 神谷俊一市長全 10 枚

「幕張新都心は、イオンモール幕張新都心、ZOZOマリンスタジアム、JFA夢フィールド幕張温泉『湯楽の里』と、それぞれに距離があって回遊性に課題があった。そこをこうした自動運転バスで各所が結ばれると、都市の利便性や回遊性も上がると期待している。鉄道とこうした新たなモビリティを組み合わせながら最適な交通体系をつくっていければと思っている」

そう話すのは、千葉市の神谷俊一市長。神谷市長が乗った自動運転バスは、埼玉工業大学などが「生きた教材」として開発する日野『リエッセII』ベースの自動運転AIバスだ。今回は、京成バスの運転手が実証実験コースを行く同バスの運転席に座る。

◆新駅 幕張豊砂と海辺を結ぶ想定ルートで実験

今回の自動運転バス 実証実験ルート今回の自動運転バス 実証実験ルート

これ、6者が連携して実施する幕張新都心 自動運転バス実証実験。正式名「千葉市未来技術等社会実装促進事業の自動運転車社会実装サポート事業」(1月15・16日実施)。京成バスは自動運転ドライバー手配・行政機関との調整・実証全体総括を、損保ジャパンが自動運転リスクアセスメントを、アイサンテクノロジーが自動運転用3次元地図作成・自動運転走行支援を、建設技術研究所がアンケート調査の計画・実施・結果集計・ニーズや社会的受容性の分析・自動運転サービスの検証を、埼玉工業大学は自動運転車両提供・チューニング支援・ドライバートレーニング対応を担う。

ここ幕張新都心では、京葉線・新習志野~海浜幕張の間に新駅、幕張豊砂駅の建設が佳境をむかえている。今回の幕張新都心 自動運転バス実証実験は、鉄道との連携も想定したルートどりが特徴のひとつ。

ルートは、その新駅・幕張豊砂と、海辺にある温泉施設・JFA夢フィールド幕張温泉「湯楽の里」を結ぶ3kmを設定。埼玉工業大学がある深谷市で、営業認可を受けて渋沢栄一「論語の里」循環バスとして1年間走ってきた実績などを買われた埼玉工業大学の自動運転AIバスが、ここ千葉市の実証実験を舞台に2日間駆け抜けた。

◆積極的にドライバーのマニュアル運転を介入

自動運転バス 実証実験に試乗する千葉市 神谷俊一市長自動運転バス 実証実験に試乗する千葉市 神谷俊一市長

自動運転レベル2で走るこの日野リエッセIIベースの自動運転バスは、今回の設定では右左折などではあえて運転手のマニュアル運転を介入させている。これはもともと埼玉工業大学 自動運転バスのコンセプトのひとつ「すべてを自動化するのではなく、ドライバー不足時代にあわせた新たな運転支援システムとして実装をめざす」という狙いと、各自治体や路線バス事業者のオーダーや走行環境にあうように設定できるメリットといえる。

またこの実験日には、走行ルートに含まれる幕張メッセで東京オートサロンが開催中。この一大イベントの日にあわせて実証実験に踏み切った理由は「あえて混雑し、しかも想定外のクルマや人の往来がある日を選んだ」(損保ジャパン)という。

「今回の埼玉工業大学の自動運転AIバスは、高層ホテルや歩道橋が多いルートのなかを走ることから、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)に頼る自動運転をやめ、アイサンテクノロジーがリードする自動運転用3次元地図で走ることを決めた」(損保ジャパン)

◆工学部の学生がひとつひとつセッティング

埼玉工業大学 自動運転バス 車内埼玉工業大学 自動運転バス 車内

また「今後、路線バス事業者などが既存保有バスに後付け自動運転システムを実装するのを想定し、環境に合わせてシステムを選択できるケーススタディも実績を積んでいきたい」と話すのは、埼玉工業大学 工学部情報システム学科 渡部大志教授(埼玉工業大学自動運転技術開発センター長)。

「今回、埼玉工業大学 自動運転バスのシステムハードウェアも更新、新たなハードウェアも埼玉工業大学 工学部の学生がひとつひとつセッティングした。今回の実験結果をさらに活かし、汎用性・適応性の高い後付け自動運転システムを構築していきたい」(渡部大志教授)

さらに、実験初日の1月15日に同バスに試乗した千葉市 神谷俊一市長は、「今後も幕張新都心が自動運転技術の進歩をリードするような地にしていきたい」と意気込む。

神谷 千葉市長は続けて、「道幅の広さや平坦さ、右左折ポイントが複数ある、一定の交通量もある、ということで、また実証実験の場として適しているという評価も受けた。千葉市としてもできるかぎり協力していきたい」とも話していた。

《レスポンス編集部》

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