パイオニアは2月10日、ドライブコミュニケーター『NP1』を3月2日より発売すると発表した。本機はカーナビやドライブレコーダー機能などを音声だけで操作できる車載ユニットで、クラウドと常につながることでドライバーの多彩なニーズに対応する画期的な機能を備えた。
◆キーワードは「音声と通信で運転を新しく」
NP1の基本コンセプトは「会話するドライビングパートナー」。クルマにあったらいいな、あると便利だと思うことがこの1台に凝縮されており、それらを会話しながら操作していけるのが本機ならではの特徴となる。それは、ドライブ中の様々なシチュエーションに対し、心強いパートナーがサポートしてくれるというイメージに近い。
そのポイントは「音声と通信で運転を新しく」というキーワードに集約される。音声で操作したその反応を耳で確認しながら、そこに通信が加わることでより便利な使い方が可能になるのだ。その機能は大きく4つある。
一つは「スマート音声ナビ」。音声でコマンドを発することで、目的地設定や案内中の様々なリクエストに応えるというものだ。たとえばルート案内中に「目的地まであとどれくらい?」と訊ねると、NP1からは「あと10km、およそ20分くらいかかります」との回答が得られる。まるで助手席のナビゲーターと会話するかのように、最適なタイミングで必要な情報を案内してくれるのだ。
また、曲がるポイントを距離だけでなく、わかりやすく信号の数を数えて案内することも行い、複数車線のどこを走るのが最適なのかも案内してくれる。これにより、ドライバーは前方から視線をそらすことなく気持ちを集中させて運転に専念できるというわけだ。
二つめが「クラウド ドライブレコーダー」である。これは文字通りクラウドに接続されているドライブレコーダーのことで、衝撃を受けたり、任意に撮影した動画や静止画映像は自動的にクラウド側で保存される。トラブルが発生して慌てふためいている時でも肝心の映像を録り逃すことがないのがメリットだ。また、任意に撮影する時は音声でも指示できるので、残したい映像を安全にクラウドに保存してシェアすることも可能になる。
さらに駐車中に車両側で衝撃を検知すると自動的に録画してクラウドに保存する機能も装備。同時にその映像は指定したスマートフォンにも通知されるので、トラブルへの対処もスピーディに行えるメリットもある。

◆外部からの道案内も可能な「ドライブコール」に注目
三つめが「クルマWi-Fi」だ。これはNTTドコモのLTE回線を使う定額通信プラン「In Car Connect」に対応する機能で、専用のオプションプランを申し込むことで最大5台の端末で通信が使い放題となる。NP1ではこの機能を標準装備しており、このサービスを利用するために新たに対応ユニットを購入する必要がない。
四つめが「もっとカーライフ++」。これは「クルマにあったら便利だなぁ」という機能をどんどん充実させていくというもの。つまり、NP1はアップデートにより購入後も進化していくことができるのだ。カーナビではユーザーの傾向を学習することにも対応しており、ゆったりと広い道を好んで走る人、道幅が狭くても距離優先で走りたい人など、その使い方の傾向からそれをルート探索を反映させることも可能となっている。
中でも注目したいのが「ドライブコール」だ。これはNP1を通じて、車内から車外の人とコミュニケーションが図れるサービスで、車内で「○○さんにつないで」と発すると、ショートメッセージで相手に接続。その相手は送られてきたURLをクリックすると、音声通話と共にNP1から見えている車両側の動画映像と地図情報が表示される。ここからはリアルタイムで道順を案内をドライバーに伝えられ、ドライバーは音声でそのガイドに従えばいい。これまで、ありそうでなかった機能がNP1で体験できるのだ。
もう一つ当初から実現できているのが「ドライブトピック」。走行中に周辺にある様々なトピックを日時などを考慮しながら適宜案内するというもので、桜の名所など観光に役立つ情報から、トラックの路駐が多いような交通状況のトピックなども音声で伝えられる。状況がわかりきっている自宅周辺は案内が除かれる配慮があるのも嬉しい。

◆アップデートは3か月ごと。アレクサにも対応予定
アップデートはおよそ3か月ごとに行うことになっている。4月には早くも最初のアップデートを行い、その時はアマゾン・アレクサにも対応予定。ニュースや天気予報はもちろん、音楽のストリーミング再生にも対応できるようになる。これは相当期待できる機能と言えるだろう。
こうしたNP1の機能を活用する上で必要になってくるのが専用アプリ「My NP1」だ。これをインストールしておくことで、前述の「ドライブコール」などの機能が使える他、スマホ上でもルートガイドを受けることも可能となる。通過する交差点や車線、分岐点までの距離なども音声ガイドの補助的な位置付けで使うことできるのだ。使用する地図データはジオテクノロジーズ(旧インクリメントP)製で、政令指定都市ではリアルな3D交差点ガイドも含まれる。
なお、NP1は通信を使うことを大前提で設計されており、そのため、本体価格には当初1年間の通信料が含まれている。2年目以降は有料での継続が必要となるが、料金は現時点で未定。パイオニアによれば「負担を感じない設定にする予定」とのこと。ぜひとも通信をフル活用してNP1の魅力を存分に味わって欲しいと思う。