マツダが2月10日に電話会議で発表した2022年3月期の第3四半期(4~12月期)連結決算は、販売の質的改善などにより営業利益は637億円(前年同期は320億円の赤字)と、この期では2年ぶりに黒字を確保した。通期予想は営業利益、純利益を上方修正している。
第3四半期のグローバル販売は、横ばいの93万台だった。主力の米国は全体需要の回復や車両の優先供給を図ったこともあり18%増の24万9000台となった。一方で半導体など供給不足による減産が響いた日本は17%減の9万4000台、同様に中国も25%減の13万4000台にとどまった。グローバル販売の水準は、コロナ禍以前である19年の4~12月期との比較では16%の減少になった。
営業損益段階での増減益要因では、出荷台数や車種構成の改善など販売分野が822億円の増益寄与となり、改善をけん引した。為替は1ドル111円で5円の円安になり、通貨全体では357億円の増益要因だった。一方で、原材料費の高騰は約600億円の悪化となったものの、コスト改善によって394億円の減益要因にとどめた。
また第3四半期(10~12月)でのコロナ禍による減産の損失分89億円を営業利益から特別損失に振り替えている。売上高は10.4%増の2兆1624億円、純利益は294億円(前年同期は782億円の赤字)だった。
通期のグローバル販売は、減産影響や中国での販売減を反映し11月時点の見通しより7万1000台少ない124万台(前期比13%減)に下方修正した。しかし、業績予想は販売費の削減などから営業利益を従来比で170億円多い820億円(9.3倍)に、純利益は140億円増額の550億円(前期は317億円の赤字)にそれぞれ上方修正した。売上高は1000億円下方修正の3兆1000億円(8%増)とした。
電話会議に出席したは藤本哲也常務執行役員は通期業績の上方修正の背景について「外部要因の悪化に対し、単価の改善や販売費用の抑制など販売の質的改善、およびコスト改善、固定費の効率化などすべての領域で改善を実現している」と説明した。
また、来期に向けては「厳しい経営環境でのなかでも確実に利益を確保できる損益分岐点台数の引き下げが進捗しており、今期の出荷台数(98万台の見通し)が100万台を下回る状況でも営業利益率は2.6%以上となる。この取り組みを今後も手を緩めることなく継続し、22年には新商品導入による台数成長により、中期計画で掲げる本格的成長を実現していきたい」と語った。