マツダはいかにルマンに挑戦し続けたのか

1991年のルマン24時間レースを制した#55 マツダ787B。
1991年のルマン24時間レースを制した#55 マツダ787B。全 5 枚

マツダのルマン挑戦ストーリー
1974-1997
著者:三浦正人(元マツダスピード広報/MZレーシング代表)
発行:三樹書房
定価:5500円
ISBN978-4-89522-771-1

1991年6月、ルマン24時間レースにおいて日本車として初の優勝を飾ったマツダ。30周年を記念してそこに至るまでの知られざる舞台裏や秘話を克明に記した一冊が刊行された。

世界最高峰のレースのひとつであるルマン24時間耐久レースに参戦を続けるマツダ・ルマンチームに帯同し、現場をつぶさに見続けた著者が、改めて関係者に取材を重ね、マツダルマン挑戦の記録を極めて詳細にまとめた集大成である。

マシンの走行風景はもちろん、ドライバーやピット風景など800点を超える写真をオールカラーで収録。その8割以上が今回新たに発掘された貴重なものとのことで、本書が初公開となるものだ。また、ルマンのみならず、WECジャパンやJSPCなどの国内レース、1989年のデイトナ24時間などの詳細な記録もあわせて掲載したマツダのモータースポーツ活動がまとめ上げられている。

著者の三浦氏は執筆のきっかけについて、「当時、他に類を見ないヴァンケル式ロータリーエンジン搭載車でルマンの栄光を求め、ついに1991年に念願のウィナーとなったマツダスピードチームのストーリーを、総合優勝からすでに30年が経過したこともあり、いまこそ正確に記録しておきたいと考えた」という。また、「前例がなく、誰にもサポートの手を差し伸べてもらえない孤高のチャレンジャーが栄冠を求め続けたその原動力とはなんだったのか。最初にドン・キホーテのような無謀なチャレンジでルマン初出場を果たした1974年、チームリーダーの大橋さんはわずか33歳、寺田さんは27歳だった。しかも時はオイルショックの真っ只中。それでも世界に飛び出していった彼らのそのエネルギーは、一体どこから湧いてきたものなのか。本書はそうしたチャレンジャーたちの熱い想いを伝えるために2年の歳月をかけて取材・執筆してまとめたもだ」と語る。

その内容はまさに現場にいた人でないと表現出来ない、真に迫るものばかりで、読み進めるうちについつい引き込まれてしまう。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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