2280万円でも完売!?『ヴァイルス エイリアン988』がハイパーなのは値段だけじゃない…東京モーターサイクルショー2022

ヴァイルス エイリアン988(東京モーターサイクルショー2022)
ヴァイルス エイリアン988(東京モーターサイクルショー2022)全 56 枚

ライダー涎垂となるハイスペックマシンをベースに、さらなるカスタムを施したスペシャルなマシンを製作することで知られるモトコルセ。一歩間違えばパーツが走っているかのような悪趣味にもなりかねない可能性を、超一流のセンスとセットアップ能力により仕立て上げる技術は日本のみならず、世界中にファンを持つことでも証明される。

2280万円のハイパーバイク『ヴァイルス エイリアン988』

今回モトコルセは「東京モーターサイクルショー2022」で、自社にてカスタムされた複数のマシンに加え、カワサキ傘下となったビモータがリリースした『KB4』を展示。(モトコルセは販売ディーラーとなる)そして、もっとも注目度が高かったのが、同社が日本総代理店となるヴァイルス製のマシン。今回がワールドプレミアとなった『エイリアン988』である。

ドゥカティパニガーレのエンジンを積んだ世界限定20台の『ヴァイルス エイリアン988』

世界限定20台。そのうちの4台が日本に割り当てられ、3月25日時点ですでに3台が売約済みなのだというから驚かされる。その理由は、まず2280万円という価格を聞いたからであろうが、ヴァイルスを率いるアスカニオ・ロドリゴ氏が9年もの歳月をかけて販売まで漕ぎ着けたモデルだと聞けば納得ともいえるだろう。

そのスタイリングは唯一無二といえるもので、既存のモーターサイクルとは一線を画したデザインと構成を持っている。外装類にはカーボンが多用されるだけでなく、UDカーボンという特殊な製法が採用され、その質感にも特別な表情が与えられている。

エンジンはすでに生産の終了しているドゥカティの『1299パニガーレ』のものを搭載。これはドゥカティ社がこのプロジェクトのため、特別に20機のみ用意をしてくれたのだという。そのエンジンを搭載する車体はヴァイルス社独自のセンターハブステアリング構造で、その多くにマグネシウムを用いる。もともとマグネシウムは軽量(同強度ではアルミの約30%減)ではあるが、機械加工の難しさとともに腐食等の問題の起こりやすい素材でもある。しかし特別なコーティングを施すことにより、半永久的な耐久性を得ているという。

独創的なハブステアリング機構はヴァイルスの特徴でもあるが、エイリアンではハンドルとフロントハブを通常の(ハブステアリングとしては)リンク式ではなく、特殊なワイヤーで繋ぐという新しい試みも採用されている。

サスペンションはプッシュロッド式で、フォーミュラーカー用に製作されるオーリンズ製サスペンションを流用しつつ横置きにマウント。そのスタイリングだけでなく、その機構や構造すべてが革新的とも言えるマシンであるが、車重は165キロに抑えられ、ライディングポジションもフレンドリーで走ることを楽しめるマシンになっているという。また、同車両にはSTMクラッチが装着され、ブレーキディスクもカーボンセラミック製に換装と、すでにカスタムが着手されているという、スペシャル感全開のマシンとなっていた。

スーパーチャージャーエンジンにハブステアリング『ビモータ テージH2C』

次に紹介するのは、カワサキのスーパーチャージドマシン『H2』のエンジンを搭載する『テージH2』。カワサキ傘下となったビモータはKB4をリリース、カワサキが販売権を持っているが、独創的なハブステアリング機能を持つ車体にH2のエンジンを搭載するテージH2はモトコルセが日本総代理店として販売している。

世界限定250台となる貴重さ。これ以上カスタムするところがないほどのスペシャルマシンであるが、ライセンスホルダーを製作し、テールカウル下に移植。マフラーを付属するレーシングマフラーに換装したり、同社の取り扱うSTMクラッチを採用したりと細かく手が入る。さらにフェアリングのペイントを落としてカーボン地を見せるという非常に手間のかかる作業を行っていることで、スペシャルなマシンがさらに凄みを増している。

ドゥカティモンスターのコンプリートマシン『MCM』

最後に紹介するのは、昨年新型となったドゥカティ『モンスター』をベースに、モトコルセ流にカスタムを施したコンプリートマシン、『MCM』だ。従来までのモンスターには排気量をはじめ、様々なバリエーションモデルがラインナップされていたが、現行モンスターは基本的には1種類で、シートカウルとメーターバイザーが付属したオプションモデル(+)がラインナップされるだけであった。リゾマ製フラットバーにより、ハンドル位置はやや低めにセット。これにより、元来のモンスターらしいポジションを得ている。

また、足回りは前後ともにオーリンズ製をチョイス。国内仕様はストロークの短いローダウン仕様のサスペンションが奢られているが、それぞれストロークを20ミリアップ。シートも厚みを増したオリジナルで、運動性とともに快適性も向上させている。ブレーキ周りは定番のブレンボにカーボンセラミック製ディスクを装着。

エンジンにはモトコルセ定番のSTM製乾式クラッチが組み込まれ、リニアな繋がりを得ている。また、カスタムライクなエギゾーストはSTDをブラックアウトしただけというが、ステップ周りにカーボンカバーを装着してスペシャル感を演出。ノーマルの持つ扱いやすさはそのままに、性能もスタイリングも1ランクアップにとどまらない進化を遂げている。

見てるだけでワクワクしてしまうようなマシンの宝庫。ため息とともに目の保養となったモトコルセのブースであった。

《鈴木大五郎》

鈴木大五郎

AMAスーパーバイクや鈴鹿8耐参戦など、レース畑のバックボーンをもつモーターサイクルジャーナリスト。1998年よりテスター業を開始し、これまで数百台に渡るマシンをテスト。現在はBMWモトラッドの公認インストラクターをはじめ、様々なメーカーやイベントでスクールを行なう。スポーツライディングの基礎の習得を目指すBKライディングスクール、ダートトラックの技術をベースにスキルアップを目指すBKスライディングスクールを主宰。

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