「まわりのレーサーと競い合って、自分の力を磨き上げていくことが楽しいです」 そう語るのは、次代のボートレース選手を輩出するボートレーサー養成所(福岡県柳川市)に、4月5日に入所した第132期選手養成員のひとり、井田涼介(敬称略)。
井田涼介は、上毛電気鉄道上毛線・桐生球場前駅や、わたらせ渓谷鐵道わたらせ渓谷線・運動公園駅を最寄り駅とする群馬県立桐生清桜高校を卒業したばかりの18歳。
第132期選手養成員は、全国から1397人の応募があり、そのなかから最終的に50人(男子40人・女子10人)が難関をくぐり抜けて入所。もとボートレーサーの父や叔父がいる生粋メンバーもいれば、サッカーやゴルフ、テニス、ダンス、お菓子づくりが好きな女子もいる。
こうした第132期生のなかのひとり、井田涼介は、小学1年生からレーシングカートに乗ってきた男子で、サイクリングも好きという。そこで、同じエンジンを回してスピードを競うボートレースの世界に飛び込んだ彼の、カートとボートレースに共通する点などを聞いてみた。
カートは陸上、ボートレースは水上、戦うフィールドは違えど同じハンドルとエンジンで走る競技の世界。レーシングカートで身につけた技術にアドバンテージは感じているか。
「レーシングカートもボートレースも、G(重力加速度)や体感速度が似ているところがあると思いますので、そこは自分にあるアドバンテージではないかなと思っています」(井田涼介)
「エンジンを分解・組み立てする作業にも自信がある」という井田涼介は、「まず、レースを観戦しに来場してくれるファンのみなさん、レース場でもオンラインでも、自分を選んでくれる人に“信頼される走り”をみせられる選手になりたいと思っています」と抱負を語っった。
また神奈川県出身、全日本自転車競技選手権大会などに参戦し明治大学を卒業した塩島嵩一朗(22歳)は、「水上を駆けるスピード感と、モンキーターンのかっこよさに惹かれてボートレーサーをめざしました。人に尊敬されるレーサーになれるようがんばります」と。
ボートレーサー三嶌誠司を父に持ち、全四国錬成空手道選手権大会 一般女子フルコンタクトで優勝した経験もある三嶌こころ(香川県出身 20歳)は「幼いころから見てきた父のかっこいい姿に憧れてボートレーサーをめざしました。父親におめでとうと言ってもらえるようなレーサーになります」と誓った。
そしてボートレーサー土屋南を姉に、ボートレーサー佐藤翼を義兄に持つ土屋蘭(岡山県出身 17歳)は「姉の影響でボートレーサーという職業を知り、男女同じ土俵で戦う姿にとても魅力を感じました。男子レーサーにも負けない強い女子レーサーになります」と意気込む。
新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、来賓や入所生家族は参加を見合わせた今回の入所式。冒頭、日本モーターボート競走会 潮田政明会長は「公営競技に携わるものとして、モラル・コンプライアンスに従い行動することはもちろん、競走の公正確保に努め、一般社会人として恥じない人格を形成し、ボートレーサー養成所の基本理念である『礼と節』をしっかり身に着けてもらいたい」と訓示。
三嶌こころはこの訓示を受け、「ボートレーサー養成所に入所した誇りを胸に、諸規則を守り、礼と節を重んじ、立派なボートレーサーになるため、日々努力することを誓います」と応えた。
第132期生の彼ら・彼女たちは、2023年5月のプロデビューをめざして、ここ福岡県柳川市のボートレーサー養成所で訓練を積み重ねていく。