【VW ゴルフ 新型試乗】ゴルフを買うならガソリンとディーゼル、どっちがいいの?…岩貞るみこ

ディーゼルの弱点は“ゲロゲロ音”

ディーゼルの強みは「頼りがい抜群な加速」

煮えたぎる思いを受け止めてくれるのは

VW ゴルフ TDI(写真はR-Line)
VW ゴルフ TDI(写真はR-Line)全 16 枚

ディーゼルエンジンである。このところやたら電気自動車(以下EV)が盛り上がっているけれど、二酸化炭素削減といえば、忘れてもらっちゃ困るのが燃費のいいディーゼルなのである。特に昨今の原油価格上昇による燃料高騰問題。軽油の安さはやっぱり魅力的なのだ。

今回の【ワンポイント確認】は、『ゴルフ』を買うならガソリンとディーゼル、どっちがいいの?である。

ディーゼルの弱点は“ゲロゲロ音”

VW ゴルフ TDI(写真はR-Line)VW ゴルフ TDI(写真はR-Line)

ディーゼルの弱点。それは音。ガラガラという音は古い人間にしてみるとトラック音ともいえる。しかし、「ゴルフTDI」の場合、車体の骨格がしっかりしているのに加え、車内への音の入り込みをうまく遮断しているため、走行中は風切り音やロードノイズ(タイヤがアスファルトにあたる音)で打ち消されるほどで、運転席ではガラガラ音が気にならない。では信号待ちはどうかというと、アイドリングストップ機能があるのでエンジン停止。音がしない=ガラガラ音を聞く暇がないのである。

唯一、ディーゼル音を感じるとすれば、低速からアクセルをじわりと踏み込んだときだ。そこで、ガラガラ音というよりゲロゲロ音、私はカエル音と呼んでいるが、これが遠くから聞こえてくる。カエル音のしないガソリン車から乗り換えた直後は、おお、カエルが鳴いている、と耳が反応してしまうが、しばらくするとこうした環境音は気にならなくなってくる。人間は順応しやすい生き物なのである。

ディーゼルの強みは「頼りがい抜群な加速」

VW ゴルフ TDI(写真はR-Line)VW ゴルフ TDI(写真はR-Line)

一方、ディーゼルの強みはトルクの太さだ。運転の場面でいうと加速するときの力強さである。停止から加速するときよりも(停止状態からのフル加速はあまりしないしね)、一定速度で走っているところでのアクセル踏み込みのときに発揮される。高速道路の合流とか、追い越しなどだ。

ゴルフTDIは、デザインのつつましい美しさもあいまって、それまではおだやか~に走っているくせに、「ここで加速して合流!」とアクセルを踏むと、理想のさらにちょい上をいく頼りがい抜群な加速をしてくれる。なんだこの二面性は? と、さきほどまでの紳士的な乗り心地から一転した荒々しさ、まさにギャップ萌えである。どんと思い切り加速しても安心して身を任せられるのは、車体がしっかりとしているからに他ならない。これでふにゃふにゃなボディなら、きっと不安になってアクセルを緩めてしまうことだろう。

煮えたぎる思いを受け止めてくれるのは

VW ゴルフ TDI(写真はR-Line)VW ゴルフ TDI(写真はR-Line)

カタログ値によると、リッターあたりの燃費(WLTC)は郊外モードで20.3km、高速道路モードで24.2kmとある。今回はそれぞれ半分ずつくらい合計600km近くを走ったところ、実燃費でのインパネ表示は、22.3km/リットルだった。燃料タンクは51リットル。つまり1000kmは走れることになる。

EV、EVと花盛りになっているけれど、満充電の走行距離+充電時間を考えると、遠出が多い人は、EVに乗っている場合ではない。まさに、ワンタンクで走れる距離こそが重要なのである。では、今日のポイントである、ガソリンエンジンと比べてどうなのか。

ディーゼルは確かに、カエル音はする。停止状態からの加速のシャープさはガソリンエンジンのほうがいいし私の好みにも合っている。しかし、高速走行時のゆとりと、なめらかさ、さらに魂ごとゆだねたくなる加速感は、圧倒的にディーゼルだ。今の私は、高速道路を使ってあちこち行きたい熱が沸々としていることもあり、今日は、この煮えたぎる思いを受け止めてくれるディーゼルに軍配を上げる。

VW ゴルフ TDI(写真はR-Line)VW ゴルフ TDI(写真はR-Line)

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。最新刊は「世界でいちばん優しいロボット」(講談社)。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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