電車内で凶器を持った暴漢が大暴れ---京王が対処訓練を実施

京王電鉄の車内暴漢対処訓練(4月21日)
京王電鉄の車内暴漢対処訓練(4月21日)全 32 枚

京王電鉄は4月21日、所轄の警察署・消防署協力のもと、昨2021年10月31日に発生した京王線車内傷害事件を受け、車内暴漢対処訓練を実施した。通常の防災訓練などは今までにも行われているが、京王線車内傷害事件と同じようなシチュエーション下での訓練は初めてとなる。

訓練内容の大まかな流れとしては、京王線東府中駅から飛田給駅間を走行中の電車内で、犯人が凶器を持ち暴れ、2名を負傷させるほか、床に液体を撒き放火するといった設定で行われた。

反対側の座席に座っていた男性にも切りつける。反対側の座席に座っていた男性にも切りつける。

実際の訓練がスタートすると、座席に腰掛けていた犯人の男性は、目の前に立っている男性に言いがかりを付け、バッグに入っていたナイフを取り出し腹部を刺し重症を負わせる。その後、座席の端にいた男性にも切りつけ、乗り合わせていたほかの乗客を威嚇する。負傷者以外の乗客は隣の車両に避難するが、犯人は車両を移動することなく、今度は電車の端で液体を撒き火をつける。

この間に、避難した乗客が車内非常通報装置を複数個所で操作したことで、電車は飛田給駅に緊急停車することになった。飛田給駅にはホームドアが設置されているが、緊急停車のためホームドアと車両ドアがずれた位置で停車してしまう。

駅に到着した警察官は車内にいる犯人を車外に追い出すように、さすまたなどを駆使してドア方向へ追い詰めていく。追い詰めている間に駅職員は車内で負傷した乗客を駅構内に誘導し、応急処置を施す。犯人は車外に出たところで、警察官によって取り押さえられ連行された。重傷者については、救急隊員が担架を利用し運び出されていくといった流れとなった。

非常事態発生時における車掌のアナウンス、駅職員の対応、警察・消防との連携など非常にスムーズに行われているように見て取れた。今回は訓練なので、実際の有事の際はどのような状況で発生するかはわからない。必ずしも訓練通りにスムーズに事が図るかは未知数だが、日頃の訓練により対処方を知っておくことは有用であると思われる。

バッグからナイフを取り出し腹部を刺す。バッグからナイフを取り出し腹部を刺す。発火のため煙が充満し、白く煙っている。発火のため煙が充満し、白く煙っている。犯人は電車内で暴れているため、まずは駅構内へ誘導するため、出入り口に向かって追い詰めていく。犯人は電車内で暴れているため、まずは駅構内へ誘導するため、出入り口に向かって追い詰めていく。ナイフで襲いかかってきたところを防護シールドでガード。ナイフで襲いかかってきたところを防護シールドでガード。犯人をうつ伏せにし、抑え込む。犯人をうつ伏せにし、抑え込む。犯人を確保し護送する。犯人を確保し護送する。

◆日本一安全な鉄道を目指し業務に務めていきたい

訓練終了後には、警視庁調布警察署の尾門出署長、東京消防庁調布消防署の中原毅署長、京王電鉄の寺田雄一郎常務執行役員がそれぞれ総括を述べた。

まず尾門氏は、昨年の10月に発生した無差別殺傷事件について触れ、このような事件が発生した場合は人命を最優先に考え、迅速で的確な対応が大事だと述べた。今回の訓練についても、ひとつ目に事案の早期把握、ふたつ目に乗客の安全誘導、3つ目に犯人の早期検挙といった内容実施が効果的に執り行われ、有意義な取り組みだったと語った。

次に中原氏は、京王電鉄、調布警察署、府中警察署、調布市消防団で連携して訓練出来たことは、大変有意義だったと思うと語った。普段と違い、実際の車両で訓練することにより、新たに参考となるところもあり、複合的に問題が発生した際の対応の難しさが改めて実感できたとのこと。引き続き部隊の育成に務め有事の際には皆さんとしっかり連携できるような体勢を整えると締めくくった。

最後に寺田氏は、調布警察署、府中警察署、調布市消防団の方たちの協力を受け、有意義な訓練ができたと述べた。事件発生以降さまざまな訓練・教育等を重ね、乗務員の判断の仕方、駅係員の避難誘導などの教育訓練を進めてきた。そんな中で、集大成とも言える訓練ができたと考えている。一方でまだ反省点もあるかと思う。京王電鉄は『日本一安全な鉄道を目指す』というスローガンを掲げている。引き続き身を引き締めて、お客様の安全、安心を心がけて業務に務めていきたいと総括した。

《関口敬文》

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