【トライアンフ スピードトリプル1200RR 試乗】「誰がこれ以上望む?」過去最速のカフェレーサー…鈴木大五郎

現代に蘇ったトライアンフ版カフェレーサー

使い切れないほどのパワフルさはこのマシンのボーナス

ベースマシンの良さを引き継ぎつつ新たな魅力も身につけた

トライアンフ スピードトリプル1200RR
トライアンフ スピードトリプル1200RR全 34 枚

「おしゃれは我慢」などという言葉があるが、過去のカフェレーサーも我慢を強いられるマシンであったと思われる。オーソドックスなマシンをベースにロケットカウルやシングルシートを装着。セパハン&バックステップによる厳しいライディングポジションは、メリットよりもデメリットのほうが多かったはずである。やせ我慢してまで、そのスタイルへこだわることが美学でもあったのだろう。しかし時代は変わった。

【画像全34枚】

現代に蘇ったトライアンフ版カフェレーサー

ストリートファイターイメージである『スピードトリプル1200RS』をベースに、ロケットカウル風フロントフェアリングやシングルシート風カウルを装着した『スピードトリプル1200RR』は現代に蘇ったトライアンフ版カフェレーサーというべきマシン。セパレートハンドルやスポーティなステップを装着するものの、スーパースポーツマシンほど極端ではなく、ハンドル切れ角もしっかり確保。日常的な使い勝手はRSに譲るものの、過去にあった我慢は不要である。

過去最大排気量となったスピードトリプルのエンジンであるが、ただ闇雲にトルクがあるといったアンバランスなものではなく、そのトルクの湧き上がり方が非常に優しいのが特徴である。反面、最高出力は少し控えめといった過去のスピードトリプルに対し、トライアンフの市販モデル史上、最高出力となる180馬力を絞り出す。

使い切れないほどのパワフルさはこのマシンのボーナス

誰がこれ以上望むんだ?というほどのパワフルさで、開ければ過去最速というポテンシャルを味あわせてくれる。とはいえ、それは闇雲にパワーを絞り出したといったキャラクターとはなっておらず、どこかに余裕を感じさせるもので、張り詰めた緊張感とも無縁である。

低回転域で街流すような走りから、ちょっとペースを上げてのスポーツラン。ポテンシャルを使い切ろうとせずとも満足感の高い走りを披露。正直、高回転域はクローズドコースでないと使い切れないほどのパワフルさをもつが、それはむしろこのマシンのボーナスとも言える性能であるといえよう。

また、ネイキッドスタイルのRSが機械式サスペンションを採用しているのに対し、RRは電子制御式サスペンションを採用している。これにより、高荷重域のみならず、ゆっくり走らせる際でのフィードバック性も豊富であり、ライダーがマシンに歩み寄りやすくなっている。ライディングモードによる細かいエンジンキャラクターの変貌具合と同調してサスペンションも自動でアジャスト。また、任意でかなり細かい調整が出来るのも面白い。

ベースマシンの良さを引き継ぎつつ新たな魅力も身につけた

スピードトリプル史上、過去最速とも言えるパッケージングで登場したRSのフェアリング装着版は、単純にスタイリングの違いだけでなく、ベースマシンの良さを引き継ぎつつ新たな魅力も身につけた。本格的レース参戦をにらむマシンと異なり、ラップタイム重視としなかったことで、より幅広いフィールドで気持ち良いと思えるキャラクターとなっている。

見てよし、乗ってよしを高次元でバランスさせたマシンに仕上がっていたのである。

鈴木大五郎氏とスピードトリプル1200RR

■5つ星評価
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
コンフォート:★★★
足着き:★★★
オススメ度:★★★★

鈴木大五郎|モーターサイクルジャーナリスト
AMAスーパーバイクや鈴鹿8耐参戦など、レース畑のバックボーンをもつモーターサイクルジャーナリスト。1998年よりテスター業を開始し、これまで数百台に渡るマシンをテスト。現在はBMWモトラッドの公認インストラクターをはじめ、様々なメーカーやイベントでスクールを行なう。スポーツライディングの基礎の習得を目指すBKライディングスクール、ダートトラックの技術をベースにスキルアップを目指すBKスライディングスクールを主宰。

《鈴木大五郎》

鈴木大五郎

AMAスーパーバイクや鈴鹿8耐参戦など、レース畑のバックボーンをもつモーターサイクルジャーナリスト。1998年よりテスター業を開始し、これまで数百台に渡るマシンをテスト。現在はBMWモトラッドの公認インストラクターをはじめ、様々なメーカーやイベントでスクールを行なう。スポーツライディングの基礎の習得を目指すBKライディングスクール、ダートトラックの技術をベースにスキルアップを目指すBKスライディングスクールを主宰。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 空冷ポルシェで1台2億円!? マニア垂涎『シンガー911 DLS』とは
  2. 「TWIN TURBOのロゴ懐かしい!」Z32ファン感涙、レトロ感あふれる新型『フェアレディZ』が話題に
  3. ヤマハ、V4エンジンを搭載した新型「YZR-M1」を初公開! MotoGP サンマリノGPに投入へ
  4. 三菱『エクリプス クロス』新型、航続600kmのEVに…ルノーからOEM供給へ
  5. 顔が激変! BMWの最小SUV『X1』改良新型、ノイエクラッセ導入へ…プロトタイプを初スクープ
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る