斉藤鉄夫国土交通大臣は5月10日に開かれた定例会見で、元国会議員による新幹線チケットの詐取事件について記者の質問に答えた。
これは、元参議院議員の山下八洲夫容疑者が、議員時代に使用していた「議員パス」と呼ばれるJRパスを提示し、現職議員の名で東海道新幹線のグリーン券を申し込み、だまし取ったという事件で、名前を使われた議員に発行ミスを謝罪した際に発覚したという。山下容疑者は5月10日、詐欺と有印私文書偽造・同行使の容疑で送検されている。
ちなみに議員パスは「国会議員の歳費、旅費及び手当に関する法律」に規定されており、「JR各社の列車に運賃や料金を支払うことなく乗車することができる特殊乗車券の交付を受けることができる」とされている。
この特殊乗車券が議員パスのことで、条文にはグリーン車に乗ることができるとは書かれていないが、これについては国鉄時代に出されていた規則「国会議員日本国有鉄道無賃乗車令」に規定されており、JR移行後もグリーン車の無料乗車が踏襲されている。
ただし、東北・上越・北陸新幹線のグランクラスは利用できないことになっており、国鉄時代も1958年11月までは特急の2等車(現在のグリーン車)さえ利用できなかった。
現在の議員パスは、JRへ年間5億円程度が税金により補填されているが、国鉄時代はそのようなことが一切なく、問題視する国鉄総裁がいたくらいだった。
今回の事件について、受け止めと再発防止策を質問された斉藤大臣は「同じ国会議員として働いた仲間として恥ずかしい思いをしました」と述べたが、再発防止策については国会などで議論されるべきであるとして言及を避け、「私も国会議員としてその議論に真摯に加わりたいと思います」と述べるに留めている。