新型コロナの感染拡大にウクライナ情勢の悪化など、先行き不透明感が漂う中で、上場企業の2022年3月期決算発表がピークを迎えている。
こうした中、国内企業が円安などを背景に利益をふくらませているという。きょうの朝日が1面トップで「円安 企業に最高益」とのタイトルで、「上場企業全体の2022年3月期決算の推計によると、最終的なもうけを示す純利益は前年比35.6%増の33.5兆円となり、過去最高を更新する見通しだ」と報じている。ただ、「今後はもうけを設備投資や従業員の賃上げにまわし、経済の好循環につなげられるかどうかが焦点となる」とも指摘する。
その設備投資関連では、SUBARU(スバル)が群馬県の大泉工場内にEV専用ラインの新工場を建設し、2027年の稼働を目指すという。中村知美社長がオンラインによる決算会見で「EVに対する市場の変化が、この半年ぐらいで急速に変わってきた」などと述べて発表したもので、きょうの各紙にも「スバル、群馬にEV工場、27年稼働、国内の新工場60年ぶり」(朝日)などと経済面で大きく報じている。
EV新工場はスバルが単独で建設する方針だが、生産台数や生産車種など、詳細は公表しなかったものの、日経によれば「資本提携するトヨタ自動車の受託生産も検討する」としている。
スバルがEV専用の新工場建設のニュースが流れたのはきのう(5月12日)の昼下がり。この日のスバル株は、東証で取引開始の寄り付きでは1909円まで反落したが、午後1時過ぎにはEV新工場が好感されて一時2120円まで急騰した。
また、自動車関連株では、前日過去最高の決算を発表したトヨタ自動車やスズキが下落した一方で、スバル以外にも三菱自動車や日産自動車などは上昇。このうち、日産も決算を発表し、22年3月期の連結最終損益は2155億円の黒字(前の期は4486億円の赤字)。3期ぶりに黒字を確保し、これまで未定としていた前期の期末配当を1株5円とし、2期ぶりに復配する。
逮捕前のゴーン政権時代には年間配当が1株あたり57円という高配当もあり、それからから比べれば“スズメの涙”に過ぎない。が、内田誠社長は「ようやくスタートラインに立てたばかりだが、配当性向30%を目指す」として、改めて復配の継続を“公約”した。

2022年5月13日付
●スバルEV自社生産、27年以降群馬に拠点(読売・8面)
●日産23年3月期売上高10兆円へ(読売・8面)
●円安企業に最高益、上場1323社推計、資源高も影響(朝日・1面)
●ソフトバンクG1.7兆円赤字、過去最大、投資損失膨らむ(朝日・10面)
●マスク氏を調査か、ツイッター株取得報告遅れ、米SEC(毎日・7面)
●EV化加速部品産業苦境「脱エンジン」廃業決断迫られ(毎日・24面)
●違反歴ある75歳以上対象、きょうからスタート、運転技能検査(産経・3面)
●スズキ、二輪世界選手権撤退へ(日経・15面)
●低速小型電動車「地域の足」実現へ、23区内、導入検討進む(日経・23面)