急行型気動車の生き残りがついに引退…いすみ鉄道のキハ28 2346 ラストランは2023年2月

もともとは山陰や北陸などで運用されていたキハ28 2346。
もともとは山陰や北陸などで運用されていたキハ28 2346。全 6 枚

千葉県の大原駅(いすみ市)と上総中野駅(大多喜町)を結ぶいすみ線を運営するいすみ鉄道は5月20日、キハ28形急行型気動車2346号(キハ28 2346)の定期運行を11月27日限りで終了すると発表した。

同車は国鉄時代の1964年4月にキハ58系の1エンジン車であるキハ28 346として登場。山陰地方や北陸地方で運用され、1972年7月に実施された冷房化の際に2000番台が付加され、現在の番号となった。

国鉄の分割民営化後はJR西日本に承継され、同社での再末期は「高岡色」と呼ばれる地域色の姿で運用されていたが、高山本線での運用を最後に2011年3月のダイヤ改正で引退。翌年7月に廃車され、いすみ鉄道への譲渡された。その際は金沢総合車両所で国鉄急行色に復元されている。

いすみ鉄道では2013年3月から運行を開始し、2019年1月にJR九州のキハ58系が廃車されて以降は、国内で唯一の本線走行するキハ58系となっていた。エンジンも換装されずにオリジナルのDMH17Hのままであったことで人気を呼び、同じくJR西日本から譲り受けたキハ52 125とともに、ありし日の昭和の鉄道を再現する存在として人気を博していた。

しかし、DMH17Hは戦前からの流れを汲むエンジンで規格が古く、冷房用のエンジンとともに部品確保が困難であること、車体を解体して行なう全般検査には多額の費用が必要で、今後、営業用車両として運用するとなると年間の鉄道運輸収入を超える費用が必要となることなどから、運用を断念せざるを得なくなった。

いすみ鉄道では、定期運用終了後も貸切列車として2023年2月初旬まで不定期に運行するが、引退後の処遇については現在検討中としている。

キハ52 125とともに年越し夜行列車ツアーに使われていた頃のキハ28 2346。キハ52 125とともに年越し夜行列車ツアーに使われていた頃のキハ28 2346。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「FJクルーザー復活マジかよ!」価格は400万円台? トヨタの新SUV『ランドクルーザーFJ』にSNSが注目
  2. 日産、国内外7工場閉鎖へ、エスピノーサ社長「厳しい目で精査した」[新聞ウォッチ]
  3. 日産が経営再建計画「Re:Nissan」を発表---7工場閉鎖、2万人削減、2026年度黒字化
  4. ハイブリッドとガソリンで顔が違う!新型トヨタ『カローラクロス』米国発表
  5. 【シトロエン C4 新型試乗】“もうひとつのダンパー”がなかなかいい仕事をしている…島崎七生人
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. トヨタ「GRファクトリー」の意味…モータースポーツのクルマづくりを生産現場で実現【池田直渡の着眼大局】
  2. 地域再エネ活用の収益を還元、ホンダ N-VAN e:を茨城県神栖市へ無償提供
  3. BYDが「軽EV」の日本導入を正式発表、2026年後半に
  4. VWと米ウーバーが提携、『ID. Buzz』の自動運転車を運行へ
  5. 住友ゴム、タイヤ製造に水素活用…年間1000トンのCO2削減へ
ランキングをもっと見る