四国新幹線整備促進期成会は6月1日に公表した「新幹線が都市を変える~新幹線と四国のまちづくり調査~」で四国新幹線の駅構想を明らかにした。
この期成会は、四国4県の知事や各県商工会の会長らからなる、四国新幹線の実現を目指す団体。四国新幹線は整備新幹線の根拠となる「全国新幹線鉄道整備法」に基づき、岡山を起点に高松・松山・高知・徳島を結び、さらに松山から豊予海峡を渡り大分へ、徳島から鳴門海峡や紀淡海峡を渡り新大阪間へ至る路線が基本計画に盛り込まれている。

期成会によると、四国内の路線に限ればその整備延長は302kmで、概算事業費は1.57兆円、費用便益比は「総便益が総費用より大きい」とされる1.03、経済波及効果は年間169億円になると試算されているという。
しかし、現時点では整備計画に入っておらず、期成会では「四国は全国の中で唯一新幹線の空白地帯となっており、このままでは整備された地域と四国との間で格差が広がってしまう恐れがあります」として建設促進を唱えている。2021年11月には自民党の高市早苗政務調査会長や国土交通省の上原淳鉄道局長(当時)に対して、実現へ向けた要望を行なった。
今回発表された駅構想では、高松、松山、高知、徳島の4都市に設置される駅の候補位置をまちづくりの観点や交通結節点、将来性を考慮して次のように選定しており、期成会ではこれらを通して懐疑的、否定的な意見が多い四国新幹線について、地域の理解と機運醸成を図りたいとしている。
高松駅
■高松駅付近
予讃線と高徳線が交わる高松駅南側に併設。徳島方面への延伸を考慮して現在の高速バスターミナル付近に設けることが想定されている。

■栗林(りつりん)駅付近
高徳線栗林駅に併設。高松琴平電気鉄道(ことでん)琴平線の駅も設けた総合駅として機能することを想定。


■ことでん伏石(ふせいし)駅付近
ことでん伏石駅が高松自動車道の高架下にあるため、その上、または並行する位置に整備することを想定。

■高松空港地下
高松駅から南へ15kmに位置する高松空港の地下に設置することを想定。

松山駅
予讃線松山駅東側のJR敷地に設置することを想定。松山空港や松山観光港へのアクセスが良好で、大分方面へ抜ける豊予海峡ルートは南側へ延伸して対応。


高知駅
■高知駅付近
土讃線高知駅の南東側に併設し、東側から土讃線と並行して乗り入れることを想定。北側から乗り入れる北側設置案も想定されている。


■後免駅付近
土讃線や土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線の後免駅北側に併設。北東から土讃線と並行して乗り入れることを想定。周辺には企業団地や学術研究施設が集積しているため「産官学金連携による、産業・教育・研究各分野での新しい潮流が誕生することが期待できる」としている。

徳島駅
■鳴門エリア
国道11号と鳴門線が交差する箇所を中心とするエリア。徳島県内の観光の中心地で、新幹線による人口流入も期待でき、徳島市との二核化で徳島県の発展にも寄与できるとしている。


■徳島阿波おどり空港付近
空港周辺には企業の工場が集積し、新幹線駅ができれば企業誘致や進出の後押しとなるほか、新幹線駅と空港が強力な交通ハブとなりうるとしている。

■徳島駅付近
高徳線と牟岐線、徳島線の列車が交わる徳島駅に併設することを想定。懸案の在来線高架化の実現にも弾みがつくとしている。