メルセデスAMG、F1譲りのV6ターボ+4モーターで1063馬力…電動ハイパーカー『ワン』発表

0~100km/h加速2.9秒で最高速352km/h

EVモードでは最長18kmをゼロエミッション走行

F1マシンと同様のプッシュロッド式サスペンション

メルセデスAMG ワン
メルセデスAMG ワン全 10 枚

メルセデスベンツの高性能車部門のメルセデスAMGは6月1日、新型ハイパーカーとして開発を進めてきたメルセデスAMG『プロジェクトワン』の市販モデル、メルセデスAMG『ワン』(Mercedes-AMG ONE)を発表した。

◆0~100km/h加速2.9秒で最高速352km/h

メルセデスAMGワンは、メルセデスAMGの創業55周年を記念し、F1技術を搭載した公道走行可能なハイパーカーとして登場した。F1マシン譲りの1.6リットルV型6気筒ガソリンターボエンジンをミッドシップに搭載する。ピストンやクランクシャフト、電装システムが専用設計となり、エンジンは1万1000rpmと非常に高回転まで回るのが特長だ。市販モデルでは、最大出力が574hp/9000rpmと発表された。

この1.6リットルV型6気筒ガソリンターボエンジンに、フロント2個(163hp×2個)、ターボチャージャーとエンジンにそれぞれ1個(122hpと163hp)の合計4個のモーターを組み合わせたプラグインハイブリッド(PHV)とし、加速時などにエンジンのパワーをアシストする。市販モデルでは、PHVシステム全体のパワーが1063hpに確定した。

電動ターボは発電機としても機能し、排気ガスのエネルギーを利用して、電気エネルギーを生成する。この電力は、リチウムイオンバッテリーに蓄えられるか、「MGU-K (モーター・ジェネレーター・ユニット・キネティック)」に供給される。 MGU-Kの出力は120kWで、エンジンに配置されており、スパーギアシステムを介してクランクシャフトと接続されている。これは、F1で最大の効率とパフォーマンスを実現するためのテクノロジーのひとつだ。

メルセデスAMG ワンメルセデスAMG ワン

トランスミッションは7速「オートメーテッドマニュアル」で、駆動方式はハイブリッド駆動のリアアクスルと、トルクベクタリング付きの電動フロントアクスルを備えた4WD「AMG パフォーマンス4MATIC」だ。メルセデスAMGワンは、0~100km/h加速2.9秒、0~200km/h加速7秒、0~300km/h加速15.6秒、最高速352km/h(リミッター作動)のパフォーマンスを可能にしている。

◆EVモードでは最長18kmをゼロエミッション走行

メルセデスAMGの新たな電動化技術、「Eパフォーマンス」を搭載する。Eパフォーマンスとは、メルセデスAMGのパフォーマンス指向の電動化テクノロジーを意味する。Eパフォーマンスのロゴの下で、パワフルで効率的な電動テクノロジーを開発していく。

メルセデスAMGが開発したパフォーマンスハイブリッドモデル用の高性能バッテリーが採用される。メルセデスAMGペトロナスF1チームのノウハウを導入して、開発されたリチウムイオンバッテリーとなる。この高性能バッテリーは、連続して高いパワーを引き出すことができるのが特長だ。これに軽量構造を組み合わせて、車両の性能を向上させる。高いエネルギー密度を備えており、たとえば高低差の大きい山道を走行する場合、上り坂でも素早くフルパワーを引き出すことができるという。

このメルセデスAMGの高性能バッテリーは、8.4kWhの蓄電容量を備える。バッテリーの充電は、充電ステーション、ウォールボックス、家庭用コンセントに、出力3.7kWの車載AC充電器を接続して行う。EVモードの航続は最長で18.1kmとした。

バッテリーセルとその配置、冷却システムには、メルセデスAMGペトロナスのF1マシンと同じ技術を使用する。リチウムイオンバッテリー、12Vの車載電気システム向けのDC/DCコンバーターは、フロントアクスル後方の車両フロアにコンパクトに搭載される。高電圧の「EQ Power +」プラグインハイブリッド(PHV)システムは、通常の400ボルトではなく800ボルトで作動する。電圧レベルが高いため、ケーブルの太さを細くでき、それに応じてスペースと重量を節約した。

メルセデスAMG ワンメルセデスAMG ワン

◆F1マシンと同様のプッシュロッド式サスペンション

走行モードは、EVモードからラップタイムを追求するダイナミックモードまで、複数のモードを用意する。EVモードでは最初、フロントの電気モーターだけで駆動し、加速をサポートする。ドライバーがアクセルをより深く踏み込むと、V6エンジンが始動する。レーススタート機能を使用すると、さらに加速性能が引き上げられる。

カーボンファイバー製モノコックにカーボンファイバー製ボディを組み合わせた。アクティブエアロダイナミクスを採用する。サスペンションをF1マシンと同様のプッシュロッド式とし、サーキットの特性に合わせて調整可能とした。ABSは標準装備で、ESPは3段階で調整できる。 ESPの「SPORT」はハンドリングモードで、システムが介入する前に、より大きなヨーアングルを可能にする。

2シーターのインテリアには、2つの高解像度10インチディスプレイを採用した。AMGモータースポーツシートは、背もたれを2つの位置に調整できる。ペダルの位置も11段階に調整可能。F1スタイルのステアリングホイールは、上部と下部がフラットなデザインだ。走行モードやサスペンションやトラクションコントロールの設定、LEDシフトディスプレイなどの調整機能が付く。ルームミラーは、カメラの「ミラーカム」からのリアルタイム映像を表示するスクリーンに置き換えられている。


《森脇稔》

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