初動対応に降雪カメラや自動式積雪深計…JR北海道がまとめた最終大雪禍対策

函館本線小樽駅での運休掲示(2月22日)。札幌圏の最西端である小樽駅でも約1週間、札幌方面からの列車が来ない日が続いた。
函館本線小樽駅での運休掲示(2月22日)。札幌圏の最西端である小樽駅でも約1週間、札幌方面からの列車が来ない日が続いた。全 6 枚

JR北海道は6月8日、大雪禍に見舞われた2021年度冬季における大規模輸送障害に対する検証と改善策の最終報告をまとめた。

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昨冬の札幌圏では、2月6日からの記録的大雪により2月13日までに延べ3525本が運休。さらに2月21日からも約1週間にわたり札幌圏が麻痺状態となり、2月27日までに延べ3781本が運休した。とくに2月23日には新千歳空港駅(北海道千歳市)で7000人の利用者が滞留する事態に陥るなど、かつて「冬こそJR」とPRしていたJR北海道の輸送態勢に対する信頼が大きく失墜した。

これらの事態は、列車が各所で立ち往生しその移動に相当な時間を要したことや、ポイント不転換の多発、爆弾低気圧通過による計画運休などが招いたもので、JR北海道では国土交通省北海道運輸局より指示された検証内容を受けて社内に「令和4年2月札幌圏大雪による大規模輸送障害発生を踏まえた対策検討委員会」を設置。外部有識者や社外機関などを交えた対策の検討に乗り出し3月に中間報告を発表し、このほど最終報告が取りまとめられた。

それによると、2月の大雪禍では降雪状況の見極めが難しく、初動の対応に問題があった点の改善策として、千歳線、函館本線、札沼線(学園都市線)の計20駅に降雪カメラや自動式積雪深計を今冬前までに設け、降積雪状況の的確な把握に努めるとしている。

また、除雪態勢については「通常の降雪」「大雪」「災害級の大雪」の3段階に分けて、300~1000人規模の動員態勢を構築。災害級の場合は北海道やその関係機関に応援を要請し、救助などが必要となる場合は北海道を通して自衛隊へ災害派遣を要請するとしている。

旅客への案内については、情報発信を「お客様基準」とし、曖昧表現を避け可能な限り再開見込みなどを具体的な日時で示すこととされ、ウェブサイトのリニューアルやSNSへの発信頻度の向上なども改善策として盛り込まれている。

地上設備への対応については、特別豪雪地帯とされている岩見沢地区並に他地区にも排雪モーターカーロータリー(モロ)を配備。2022年度冬から千歳線へモロを増備し、2024年度までに計12台のモロを大型・強馬力のものに置き換えるとしている。合わせてポイント不転換対策として、手稲・札幌・苗穂・白石の各駅でマットヒーターやレールヒーターの増強を行なうとしている。

JR北海道では、2022~2024年度にこれらの対策に総額31億6000万円を投じるが、このうちの86%を除雪機械の増強に充てる。

今回の最終報告に対して北海道運輸局では「適切に検証及び改善検討がなされたと考えています」とコメント。その上で「今後、同社において、本最終報告に基づき、来冬期に向けた具体的準備及び関係機関との連携が確実なものとなるよう指導してまいります」としている。

《佐藤正樹》

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