おもちゃ発の変形ロボットが月面探索!? 『SORA-Q』を一般公開

変形前(写真左)と変形後(写真右)の「SORA-Q」。
変形前(写真左)と変形後(写真右)の「SORA-Q」。全 9 枚

タカラトミー、JAXA、同志社大学が共同で開発した、超小型の変形型月面ロボット『SORA-Q』(ソラキュー)の一般公開と、プロジェクトメンバーによるトークイベントが「東京おもちゃショー2022」にて行われた。

【画像全9枚】

SORA-QはJAXAの小型月面着陸実証機「SLIM」に搭載され、月面を走行、撮影する機能を持った超小型の探査ロボットとなる。「SLIM」着陸時のポイントを調査したり、着陸の瞬間のデータを集めることが主目的だ。

開発の経緯として、プロジェクトを立ち上げ時にはタカラトミーに在籍していた同志社大学の医工学科教授・渡辺氏は、2008年にタカラトミーで二足歩行ロボット『Robo-Q』を開発した後、この研究を何かに活かせないかと模索していたそうだ。その折、JAXAが「イノベーション展示会」で公開していた小型昆虫型ロボットを見て、おもちゃメーカーではあるものの、何かチャレンジできるのではないかと思い「宇宙探査イノベーションハブ」に応募したのだという。

これを受け、JAXAの宇宙機応用工学研究系教授・久保田氏はおもちゃと宇宙は一見関係なさそうに見えるが、おもちゃは小型軽量、低消費電力の技術に優れており、相通ずる点が多いと語る。また、おもちゃは子どもたちがどのような利用をするかわからないので、とても高い信頼性が必要となる。これも何が起こるかわからない宇宙探査においては重要となるため、共有点は非常に多いそうだ。また、おもちゃも宇宙も子どもに夢を与えるものなので、とてもおもしろい試みができるのではないかというのが、タカラトミーと組んだ経緯だと語った。

ステージ上では実際にSORA-Qが変形し、月面のレゴリス(月面を覆う砂)を模した砂場を移動する様子も公開された。

変形したSORA-Qは2つの車輪を持つが、車や電車のように車輪を普通に回して進むのではなく、車輪を地面に押し付けて這って進むような挙動を行っていた。

これは月面のレゴリスという軟弱基盤の上でも自立走行が可能になるためのアイデアで、ハゼやウミガメといった砂上を進む生物の動きに近いものだという。通常の車輪とは違い、車輪の中心に軸を持たず、あえてずらすことによって、車輪を地面に押し付ける推進力を得ていると渡辺氏は語った。

実演後は本プロジェクトで子どもたちに伝えたいことをテーマにトークが続いた。

「本プロジェクトで子どもたちに伝えたいこと、SORA-Qを通しておもちゃの魅力をどう伝えていきたいか」と問われたタカラトミーのSORA-Qプロジェクト責任者・阿部氏はおもちゃは子どもたちにとって宝物だとした上で、これから子どもたちにとって、宇宙は身近な存在になるし、夢が現実になっている。そんな中で子供たちが夢を実現できるような、興味を持ってもらえるような玩具作りをしていきたいと述べた。

また、「SORA-Q」のQはクエスチョンのQから取っていると明かし、「宇宙に興味を持ってもらいたいし、疑問を持ってもらいたい。色んな疑問を持つと調べたり、興味が出たりする。遊びを通してもっと宇宙のことに疑問をもってもらいたい」とした。

トークイベント後には、タカラトミー宇宙玩具プロジェクトも新発表。手元でSORA-Qを楽しむプロダクトモデルが後日発売される。

また、SORA-Q応援パートナー募集として、LINEに情報が届く一般公募と、博物館や科学館などとタイアップをする企業パートナーの募集も開始された。

SORA-Qは2022年度中に月へと旅立つ予定となっている。その活躍に興味を抱いた方はぜひ応援パートナーとなり、活動を見守ってはいかがだろうか。

《二城利月》

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