堅実かつ合理的に鳴らす…パッシブシステム[スピーカーの鳴らし方・大研究]

パッシブクロスオーバーネットワークを付属する市販スピーカーの一例(モレル・ハイブリッド 62)。
パッシブクロスオーバーネットワークを付属する市販スピーカーの一例(モレル・ハイブリッド 62)。全 4 枚

スピーカーを換えれば音が良くなる。これは事実だ。しかし、ただ高級なものを使えば良いという話でもない。「鳴らし方」でも音質が変わるからだ。当特集ではそこのところを掘り下げている。今回は、「パッシブシステム」という鳴らし方について考察していく。

【画像全4枚】

◆「パッシブシステム」とは、音楽信号の帯域分割をパワーアンプの後段にて行うシステム。

さて、これまではスピーカーの取り付けに関する事柄について考えてきた。カースピーカーは取り付け方でも鳴り方が変化するからだ。そしてさらには、「どのようなシステムを組むか」でもまた、サウンドが変容する。今回からはそこのところに焦点を当てていく。

なおひと口にシステムレイアウトとは言いつつも細かくはさまざまあるが、大きくは以下の2つに分類できる。1つが「パッシブシステム」で、もう1つが「アクティブシステム」だ。この2者間での違いは以下のとおりだ。「信号の帯域分割をパワーアンプの後段で行うか前段で行うか」、この点が異なる。

もう少し詳しく説明しよう。カーオーディオではセパレート2ウェイスピーカーが使われることが多いが、それを鳴らす際には信号の帯域分割をどこかしらで行う必要性が生じる。高音と中低音とに信号を2分割して、ツイーターには高音信号だけをミッドウーファーには中低音信号だけを送り込みたい。そうすることで各スピーカーは得意な仕事だけに専念できる。結果、より良いコンディションで音楽再生を行えるようになる。

で、パワーアンプの後段で「パッシブクロスオーバーネットワーク(以下、パッシブ)」を使って帯域分割を行うシステム形式のことが「パッシブシステム」と呼ばれていて、前段で「プロセッサー」にて帯域分割を行うシステム形式のことが「アクティブシステム」と呼ばれている。

パッシブクロスオーバーネットワークを付属する市販スピーカーの一例(DLS・M6.2)。パッシブクロスオーバーネットワークを付属する市販スピーカーの一例(DLS・M6.2)。

◆音的に有利なのは「アクティブシステム」。しかしコストがかかる…

なお「パッシブシステム」では、フロント2ウェイスピーカーをパワーアンプの2chを使って鳴らすこととなる。対して「アクティプシステム」では、フロント2ウェイスピーカーをパワーアンプの4chを使って鳴らす。つまり、1つのスピーカーユニットに1chずつの出力をあてがうこととなる。なのでスピーカーの駆動力が上がり、そして各スピーカーユニットの個別制御も可能となるのでサウンドチューニング機能を詳細に効かせられる。この2つの事実が、音に効く。

しかしデメリットもある。それは「コストがかかること」だ。システムが大がかりになるからだ。対して「パッシブシステム」ではシステムをコンパクト化させられる。なのでメインユニットの内蔵パワーアンプで鳴らす場合には、内蔵パワーアンプの2chが余るのでそれにてリアスピーカーを鳴らせる。外部パワーアンプを使う場合には2chモデルがあれば良い。

また「パッシブシステム」では、使用するケーブルの本数も少なくてすむ。メインユニットから「パッシブクロスオーバーネットワーク」までのケーブルは左右で1本ずつで良い。対して「アクティブシステム」では、メインユニットから各スピーカーまで個別にケーブルを引き回さなければならない。「パッシブシステム」は、この点でもコストがかかりにくい。

パッシブクロスオーバーネットワークを付属する市販スピーカーの一例(カロッツェリア・TS-Z1000RS)。パッシブクロスオーバーネットワークを付属する市販スピーカーの一例(カロッツェリア・TS-Z1000RS)。

◆「パッシブシステム」にも、音的な良さがいくつかある!

ところで音的に有利なのは「アクティブシステム」だと説明したが、「パッシブシステム」にも音的な良さがある。

まず1つ目は、「設計者の意図を音に反映させやすいこと」だ。市販スピーカーはパッシブも含めて音作りが成されている。メーカーが目指した音をそのまま楽しみたいと思ったら、「パッシブ」で鳴らした方がその音に近づきやすくなる。

また、「一点豪華主義的にコストを掛けられる」というメリットも得られる。「アクティブシステム」と比べて必要となるスピーカーケーブルの本数が少ない分より高級なケーブルを買うこともでき、外部パワーアンプを使う場合には、4chモデルではなく2chモデルで良いのでハイグレードなモデルに手を伸ばしやすくなる。

また、使用している「パッシブ」が「バイアンプ接続」に対応している場合には、「バイアンプ接続」にて鳴らすという選択肢も浮上する。なお「バイアンプ接続」を実行すると、フロント2ウェイスピーカーを鳴らすのにパワーアンプの4ch分の出力を使うこととなるので、利点の中身はむしろ「アクティブシステム」のそれに近づく。なのでシステムをコンパクト化できるという利点は失う。でも、このような鳴らし方も楽しめることも、頭に入れておくべきだ。いつかはこれにも挑戦すると、使用スピーカーの実力をより一層引き出せる。

今回は以上だ。次回もスピーカーの鳴らし方についての考察を続行するお楽しみに。


《太田祥三》

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