『キャンプドゥ』横浜でキャンピングカーレンタル開始!異業種参入のエフェクト…ナレッジワーカー中島靖文代表取締役[インタビュー]

株式会社ナレッジワーカー 代表取締役 中島靖文氏
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かつてキャンピングカーは高価な趣味グルマで憧れの存在、というのが常識だった。購入すると700万~1000万近くする高級車だった。ところが今のキャンピングカーブームは、その常識が崩れようとしている。まず、軽自動車をベースとするコンパクトで安価なキャンピングカーが増えたこと、そしてキャンピングカーを専用でレンタルするサービスも増えているのだ。そのようなタイミングで登場したのが横浜の「キャンプドゥ」(CAMPDO_YOKOHAMA)。運営する株式会社ナレッジワーカーの中島靖文代表取締役に聞いた。

■憧れのキャンピングカー、LINEで鍵が届きます

---:ナレッジワーカーさんが7月より『キャンプドゥ』というキャンピングカーのレンタカーサービスを始められたそうですが、まずどのようなサービスか教えてください。

中島:はい。みなさんレンタカーを観光地などで借りたことがある方は多いと思いますが、車種はコンパクトカーやセダンのことが多いのではないでしょうか。我々がはじめた「キャンプドゥ」はキャンピングカー専門のレンタカーサービスです。キャンピングカーは購入すると高価ですが、レンタルでは意外と安価なのです。マイカーを持っている人も持っていない人もキャンピングカーを借りて、キャンプや旅行につかっていただければ、家族や仲間と一緒に1台のクルマで移動も宿泊もできてしまいます。経済的にとてもお得なだけでなく、大人も子供もキャンピングカーに泊まるワクワクする体験をぜひ楽しいでいただきたいと思ってサービスを考えました。

---:飲食店などの出店コンサルティングを手掛けるナレッジワーカーさんが、キャンピングカーのシェアリング事業にチャレンジされる狙いはどこでしょうか。

中島:私達の仕事は、飲食店に限らず店舗を出したいと希望されるお客様に対して、不動産物件のリサーチやインテリアのデザインや施行、そしてそれら必要な資金をリースなどで調達するための金融機関へのご紹介など、ワンストップですべてをサポートいたします。キャンピングカーの調達とリーシング、レンタル業での回収などの計画は物件が不動産かクルマかの違いだけでノウハウはそれほど変わりません。社内でアイディアが盛り上がり、店舗をプロデュースする感覚で、キャンピングカーレンタルをプロデュースしてみました。

---:では、店舗プロデュースとモビリティサービスのプロデュースでいちばん違いを感じたことは何でしょう。

中島:人的なリソースですね。新しい事業を始めるにあたっては当然採算を計算してやらなければいけません。僕らの本業は、平日出勤で土日祝日が休みという通常の勤務体系の会社ですが、キャンピングカーは主にレジャーで使っていただくのが目的なので、利用者の行動を考えると土日祝日やゴールデンウィークに、貸し借りの受付やお客様のサポートをする人員を確保しなければなりません。

しかし大きな会社ではないので、人を採用してコストをかけることができませんでした。そこをどう解決するのかということでいろいろ調べた結果、バーチャルキーというクルマ専用のスマートロックを採用しています。所有からシェアリングという時代背景もあって、この仕組みがあったほうがより利用者が利便性を感じてくれる、そして僕らもコストをかけずに新しいことを始められる、というのがきっかけです。

---:無人で貸し借りをするということですか。

中島:はい。予約もウェブですし、鍵の受け渡しもLINEで完結できるようになっています。お客様と対人でお会いすることは基本的には無い設計にしています。

---:予約完了するとスマートロックの"鍵"がLINEに送られてくる、と。

中島:暗号化されたリンクが届きますがそれがバーチャルキーです。クリックするとアプリが立ち上がります。実際にキャンピングカーに近づきスマホのBluetooth圏内に入るとアプリに解錠ボタンが表示されます。開錠して利用開始、利用が終わったら、もとの駐車場にクルマを停めて鍵をしておしまいです。また、利用者が使える時間を決めた上で付与するので、時間を過ぎてしまうと自動的に使えなくなってしまいます。返却が遅れる場合は事前に報告をすれば延長することはできます。

---:運営側としても"鍵"の受け渡しからサポートまでLINE上で完結するのですね。利用者にとっても使い慣れたLINEでのやりとりは嬉しいと思います。

中島:運営側のオペレーションを簡素化することによって、こちらの営業時間も限定する必要がありません。利用者が深夜に借りたいという場合でも、貸し出しができるように設計しています。

---:キャンピングカーのカーシェア事業は、まだ競合は少ないように思いますが、市場はいかがですか。

中島:横浜市内で私がリサーチした限りではそこまで多くなく、やっていても小規模なものです。あとは個人で持っている方がシェアリングで、空いているときに貸し出しするのはあります。

カーシェアの予約はLINEを通じてやり取りができる。これはバーチャルキーを受けとったところ。カーシェアの予約はLINEを通じてやり取りができる。これはバーチャルキーを受けとったところ。

■キャンプドゥで家族や仲間と楽しんでほしい

---:『キャンプドゥ』の利用者は、キャンピングカーで家族でアウトドアをする方がターゲットでしょうか。

中島:家族に限らず、アウトドアでいろんな人に使ってもらいたいです。キャンピングカーはそもそも車なので、移動手段としても使えますし、車中泊できる宿泊機能、レジャーだけでなく旅行でも使っていただくなど用途はたくさんあると思います。

ファミリーの方もいれば、カップルでも使っていただけるし、最近ではソロキャンパーも増えています。いろんな用途で使えるツールになりますし、かついろいろな属性の人が使うと思います。僕らは、キャンプドゥーというサービスを通して、こういう使い方もあるという新しい価値を提供していきたいと思っています。

この事業が軌道に乗れば、車両を増やすこともある程度までできると思っています。そうなったら、このキャンプドゥのファンをたくさん作って、コミュニティにできればと思っています。キャンプをしたことがない、テントの立て方も分からないという人も、キャンプが得意な人も不得意な人も一緒にイベントを作って、アウトドアに興味を持っていただくきっかけとしての1つのツールになればいいなと思っています。

キャンプドゥで借りられるハイエース・ロングボディのキャンピングカーキャンプドゥで借りられるハイエース・ロングボディのキャンピングカー

■運転しやすいのはミニバンタイプのキャンピングカー

---:御社がお持ちのキャンピングカーは、割と初心者の方が使いやすい車両という印象です。意識してるのですか。

中島:キャンピングカーには、ミニバンがベースのバンコンというタイプと、トラックベースのキャブコンというタイプがあります。私もいちどキャブコンタイプを借りたことがあるのですが、確かに大きくて居住性は高いのが、誰にでも運転できるわけではないな、というのが実感です。

その点バンコンは、キャブコンと比べると圧倒的に使い勝手がいいです。コンセプトである「いろんな人に使ってもらいたい」という点で、現在のハイエースをベースとした車両や、今後は軽車両のキャンピングカーも導入していこうと思っています。

---:どちらで貸し借りができるのでしょうか。

中島:横浜市営地下鉄の上永谷駅が最寄りの駐車場ですが、駅から多少距離があるので、クルマで来る人を前提としています。キャンピングカーが止まっている場所にマイカーを停めていただけます。

---:それは便利ですね。

中島:先々収益の見込みが立てば、「関内駅、横浜駅までクルマを持って行きます」などのオプションを付けることも考えています。

---:事業が軌道に乗った際には、サービスの拡充もありそうですね。

中島:そうですね。そして、キャンピングカーのレンタルはシーズンによって値段が高い場合もありますが、当社は対人で行うサービスがない分、価格設定は少し抑えて貸し出したいと思っています。

---:それは借りる立場としてはうれしいですね。

中島:事業の起ち上げ時期ですので、価格設定はもちろん、無人でサービスを行うメリットを活かして、お客様が好きな時に借りられるなどの柔軟な対応をしていきたいと思っています。

キャンプドゥで借りられるハイエース・標準ボディのキャンピングカーキャンプドゥで借りられるハイエース・標準ボディのキャンピングカー

■LINEで貸し出し、トラブルサポートも

---:初めてキャンプカーを借りる方が多いと思いますが、そういう方へのサポートはどう考えておられますか。

中島:そこは現在進行形で課題として残っている部分です。実際に乗ったことない人がほとんどだと思うので、車の操作方法やシートのアレンジの仕方、ホップアップルーフをちゃんと閉めないと走行中に開いてしまうリスクもあるので、その辺の注意喚起をどうしようかというのが課題の一つです。

今している施策は、予約の段階で、注意事項をきちんと見ていただくような視認性が高い表記をしています。また、バーチャルキーを付与するときに「必ずキャンプドゥの公式LINEに登録してください」と促しています。バーチャルキーの受け渡しをLINEで行うよう設計しているので、何か分からないことがあればLINEで聞いてもらうよう促しています。逆に登録してもらえないと鍵の付与ができないので、100%登録するという前提です。

実際、利用期間中にトラブルが起きたり、質問事項があったりしたときには、LINEから問い合わせをしてもらいます。あとは細かいことですが、車内に注意事項を貼り付けたり、マニュアルを冊子にして車載したりもしています。

---:短い時間のレンタルもあるので、気分を変えてリモートワーク、という使い方もできますね。

中島:コロナ禍で働き方もいろいろ変わっていると思います。快適性を求めればいろいろな手段があると思いますが、リラックスがてらちょっと移動して川辺でとか、自分の好きな時に好きな所で仕事をするという意味では、一つの選択肢になるのではないかと思っています。

バーチャルキーのアプリでクルマを借りることができるバーチャルキーのアプリでクルマを借りることができる

■ビストロに集まるキャンピングカーコミュニティを夢見ている

---:御社の主業種は、お客様の店舗のプロデュースやコンサルティングをすることですが、本日のインタビュー会場は横浜市関内駅近くの直営店『Bistro maru』ですね。おしゃれな内装でとても居心地が良い場所ですが、お店に集まる方にもキャンプドゥをお勧めしてゆくのでしょうか。

中島:そうですね。せっかく集まる場があるのでキャンピングカーのレンタルを一つのきっかけとして、コミュニティをつくりたいと考えています。このお店に来られるお客様にもいろいろな方がいて、先日は伊豆でキャンプ場をやっている方と出会いました。そちらはキャンプ場の立場で集客方法を考えているので、移動手段としてのキャンピングカーと、行き先としてのキャンプ場との提携、それぞれのお客様を結びつけることもできるのではないかと思ったりしています。

また、この店のシェフが腕の良い人で、「プロが作るキャンプ飯」というイベントもできるかなと考えています。

---:シェフのアイディアをもらえるキャンプ飯はとてもいいですね!

中島:ここに来てくれたお客様に、キャンプドゥの割引をしたり、逆にクルマを利用してくれた方にお店の割引を提供したりとか、双方のメリットを生かすシナジーも生まれるのではないかと思っています。正直そこまで計算していたわけではないですが、こういうことできるよね、ああいうことできるよねというのは、いろいろなお客様の意見を得られて非常にプラスになることが多いです。コミュニティと対話しながらサービスを魅力的に育てたいと考えているのですよ。

https://www.instagram.com/campdo_yokohama/https://www.instagram.com/campdo_yokohama/

《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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