「乗客1000人未満」存廃の危機…赤字ローカル線見直し[新聞ウォッチ]

ローカル線の例:木次線
ローカル線の例:木次線全 2 枚

子供たちが夏休みに入り、新型コロナウイルス感染の急拡大のほかにも、桜島の爆発的噴火や動物由来のウイルス感染症「サル痘」の患者が東京都内でも初めて確認されるなど、気になるニュースが伝えられているが、過疎地で暮らす人や鉄道ファンなどにとっては、赤字が続くJR各社のローカル線の見直し協議の行方も気掛かりだろう。

ローカル線のあり方を検討する国土交通省の有識者会議が、1日1kmあたりの利用者数が1000人未満などの危機的な経営状況にある路線について、国、自治体、鉄道事業者が存廃を協議するための枠組み創設を柱とする提言をまとめたという。

きょうの各紙にも、朝日が1面トップで「乗客1000人未満見直しの条件、JR5社に61路線100区間」などの見出しで報じているほか、他紙も1面や総合面などで詳しく取り上げている。

それによると、提言は、バスなどへの転換を進める自治体には財政支援するよう国に求めており、国交省は2023年度予算案の概算要求に支援策を盛り込む方針だ。また、提言では、自治体か鉄道事業者からローカル線の見直しに関する協議入りの要請があれば、国が主導して「特定線区再構築協議会」(仮称)を設置するのが適当だとして、設置には、路線が複数の都道府県にまたがることや1日1kmあたりの利用者数を示す「輸送密度」が1000人未満。ピーク時の1時間あたりの利用者数がどの駅間でも片道500人未満の3つの条件を満たす必要があるという。

新型コロナ禍で収益環境が悪化している鉄道各社の危機感は強く、朝日は「ローカル線支え限界」として「1987年の国鉄民営化以来となる本格的見直し議論につながる可能性がある」。毎日は「赤字路線の廃止は地方の過疎化を一層進める可能性もある」とも指摘している。

そんな中、ローカル線の見直し議論とは別に、足元ではJR九州が、新型コロナの感染拡大の影響で、列車の運行に必要な運転士など乗務員の確保が難しい状況となったため、7月27日から8月5日にかけて、特急列車合わせて120本を運休すると発表。7月25日の時点で、運転士と車掌合わせて38人が、自宅待機などで業務ができない状態になっているという。再び猛威を振るう新型コロナ恐るべし。

2022年7月26日付

●桜島噴火警戒レベル5、33世帯避難指示、噴石2.5キロ飛ぶ(読売・1面)

●路線存廃協議3条件、ローカル線「1キロ当たり1000人未満」有識者提言(読売・1面)

●トヨタ、部品価格下げ要請見送り、原材料高に配慮(読売・11面)

●最低賃金物価高めぐり攻防、議論決着見送り、厚労省審議会(朝日・6面)

●トヨタの水素エンジン車、レース参戦1年市販化「4合目」(朝日・6面)

トヨタがレース(スーパー耐久)に参戦している水素カローラトヨタがレース(スーパー耐久)に参戦している水素カローラ

●JAL解雇争議12年経て終結へ、労組が解決案受け入れ(朝日・6面)

●サル痘、国内初確認、欧州から帰国都内30代男性(毎日・1面)

●グーグル・MS日本で登記、トラブル処理など迅速化(産経・1面)

●コロナJR九州120本運休、運転手ら手当てできず(産経・2面)

●テレワーク率過去最低、生産性本部調査、7月16.2%に(産経・11面)

●トヨタ、「ハリアー」一部注文取消し(産経・11面)

●トヨタ、スズキにOEM、国内初供給、ミニバン2種(東京・7面)

●「走るアップル」へ技術磨く、自動運転・シートなど幅広く、自社開発へ出願増加(日経・14面)

●ソニーモビリティ川西社長、「EV、中国勢とも競合」(日経・14面)

●トヨタ「逃げ水」の円安効果、4~6月減益予想、原材料高や生産減響く(日経・16面)

《福田俊之》

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