【ホンダ シビックe:HEV 新型試乗】この上質さは、価格差以上の大きな魅力だ…諸星陽一

ホンダ シビックe:HEV
ホンダ シビックe:HEV全 16 枚

現行ホンダ『シビック』にハイブリッドモデル「e:HEV」が追加設定された。基本的なパッケージングはそのままで、ラゲッジルーム容量は21リットル少ない404リットルとなったが、見た目には大きな違いはなく、9リットルゴルフバッグ3個の搭載が可能など実用面でも大きな差は感じられない。

搭載されるパワーユニットは『アコード』と共通性が高いもので、e:HEVの名で呼ばれる2モーターハイブリッド式。エンジンは2リットルの直列4気筒で、最高出力141馬力、最大トルク182Nm。モーターは最高出力184馬力、最大トルク315Nmとなる。システムに使われているケーブルを銅の撚線からアルミの撚線に変更するなど、意欲的に軽量化を進めている。

先に発売されている1.5リットルのVTECターボはいかにもホンダらしい軽快な吹け上がりを持つエンジンが魅力のモデルだが、ハイブリッドモデルはその軽快さに上質さをプラスした魅力を備えている。試乗前のレクチャーでエアコンの静粛性にも気を配ったと言われたが、なるほど駐車場内をEVモードで走らせているとかなりの静かさである。

ノーマルモードっているの?

ホンダ シビックe:HEVホンダ シビックe:HEV

シビックe:HEVには「ECON」、「NORMAL」、「SPORT」、「INDIVIDUAL」の4モードがある。「NORMAL」モードはまさにノーマルなので普段はこのモードで走るものなのだろうだが、こうガソリンが高いと少しでもガソリンが節約できる「ECON」で走りたくなるというもの。

さまざまな車種でノーマルモードとエコモードが設定されているが、ノーマルモードっているの?というのが私の考え。普通に走るならエコモード(ホンダならECON)でいいと思う。ECONで走ると、ちょっと走りにもっさり感が出るが、それでも十分な性能だ。エアコンの制御はエコ寄りになるとか…色々あるようだが、ECONで走っていて「どうもエアコンの効きが悪いからNOMALにしよう」という人いるのか疑問。エアコンの効きが悪かったら、エアコンを操作すると思う。

「SPORT」モードにすると、走りがキビキビとする。これは「ECON」、「NORMAL」とは明らかに違うフィールだ。エンジン回転に合わせてエキゾーストノートを模した効果音がスピーカーから流れる。こうした演出には賛否両論があるが、今や排気音を大きくすることがむずかしくなっているのだから、これはこれでありだろう。イヤなら消しておけばいい。

走りに二面性を持たせたセッティングは上手い

ホンダ シビックe:HEVホンダ シビックe:HEV

バッテリーが搭載されたことで重心が下がっているため、ワインディングを走らせると安定感があって気持ちがいい。ステアリング操作に対するクルマの動きがシャープで軽快にワインディングをドライブできる。

舞台を高速道路に移すとワインディングで感じたシャープさとは異なる、落ちついた上級セダン(ボディタイプは5ドアハッチバックだが)らしい走りを披露する。このあたりの二面性を持たせているところは、上手なセッティングをしていると感じる。ACCの性能もよく、長距離ドライブも快適にこなせそうだ。

e:HEVはモノグレードで価格は394万200円となる。装備的にはガソリンエンジンの上級モデルとなる「EX」とほぼ同じだ。EXとの価格差は40万400円だが、税制面での優遇措置などもあり、実質は30万円弱の価格差となる。少しでも出費を抑えたいなら1.5リットルターボだろうが、e:HEVの上質さは大きな魅力である。

ホンダ シビックe:HEVホンダ シビックe:HEV

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 最後のフォードエンジン搭載ケータハム、「セブン 310アンコール」発表
  2. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  3. 船上で水素を製造できる「エナジー・オブザーバー」が9年間の航海へ
  4. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
  5. 宮崎「シーガイア」にサーキットがオープン! セグウェイの「電動ゴーカート」を日本初導入
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る