「ドライブと音楽はセット」、そう考えているドライバーは多いはずだ。さて、その音楽は何で聴いているだろうか。今回からスタートする当特集では、カーオーディオシステムにおいての最上流機器「ソースユニット」について、多角的に検証していく。
◆スマホなら、多彩に楽曲を楽しめる！
昨今、多くのドライバーがクルマの中で音楽を聴くのにスマートフォンを活用している。かつてなら、センタークラスターパネルに鎮座する「メインユニット」にてCDがかけられることが多かったが、今の「メインユニット」の多くの機種にもCDメカが搭載されてはいるものの、CDが再生されるケースはめっきり減った。
そのきっかけとなったのは、2000年代中頃のiPodの普及だ。これなら大量の楽曲データを自宅外に持ち出せるので車内でも使われるようになり、それが次第にスマホへと移行した。そして最近では、音楽ストリーミングアプリが使われることも増えている。結果、車内でのスマホの存在感は高まる一方だ。なおもしもまだ音楽ストリーミングアプリを活用したことがないというのなら、この機会にぜひ1度試してほしい。一部、ストリーミングアプリには楽曲を展開していない有名ミュージシャンもいるものの、1度使ってみるとこの便利さに納得できるに違いない。
さて、かくして「ソースユニット」としても強力なアイテムとなっているスマホだが、車載機器との接続はどうしているだろうか。
もっとも利便性が高いのはズバリ、「Bluetooth接続」だ。使用中の車載機器がこれに対応しているのなら、活用しない手はない。
高音質なBluetoothコーデック「LDAC（エルダック）」が採用された市販AV一体型ナビの一例（ケンウッド・MDV-M909HDF）。
◆「Bluetooth接続」には、ワイヤレス化が図れること以外にも利点がある！
Bluetoothが便利であるポイントは3点ある。1点目は言うまでもなく「ワイヤレス化が図れること」だ。充電をしないのであれば、スマホはポケットの中に入れたままでもOKで、コードがある煩わしさから解放される。
2点目は「車載機側で主要な操作を行えること」だ。Bluetoothは相互通信なので、車載機側からも信号を送れる。なので曲送り等の操作は車載機でも実行可能で、ステアリングリモコンも使える場合も多い。
利点の3つは、「都度の接続が自動で行われること」だ。最初にペアリングする必要はあるが、それさえ行っておけば以後の接続は自動で完了される。ポケットに入れたままでもクルマに乗り込んでエンジンをスタートさせ「メインユニット」が起動すれば即、繋がる。
ところでBluetoothは今や、音質面でも有線接続と比べて遜色がない。ましてやハイレゾクオリティで伝送できる高音質なコーデックも存在する。なお該当するコーデックはいくつかあるが、カーオーディオ機器では「LDAC（エルダック）が採用されるケースが徐々に増えてきた。ただしスマホ側で「LDAC」に対応しない機器も少なくないのだが、もしも愛用のスマホがこれに対応していれば、次に「メインユニット」を新調する際には「LDAC」が使える機種の導入も視野に入れよう。
Bluetoothに対応した「FMトランスミッター」の一例（オーディオテクニカ・AT-FMR3BT）。◆スマホがiPhoneなら、「USB接続」も便利！
また、愛用のスマホがiPhoneの場合には「USBケーブル（ライトニングケーブル）」にて接続しても便利に使える。この場合も車載機側で主要な操作を行えて、しかも充電もできる。「走行中は充電時間」と考えているのならむしろ、「USB接続」の方が便利だ。
ところでマイカーの「メインユニット」がBluetoothに対応していない場合、そしてさらにその車載機がそこそこ古くなっているのなら、「メインユニット」の買い替えを検討するのもアリだ。例えば「AV一体型ナビ」では、4、5年前の機種と最新機種とを比べると使い心地がかなり異なる。おしなべて操作レスポンスが速くなっていて、画質も高い。さらにはエンタメ機能が充実した機種も増えている。加えて、機種を刷新すれば当然ながら地図も新しくなる。
また、買い替えは時期尚早というのならBluetoothに対応した「FMトランスミッター」を使うという手もある。これを導入するとスマホと「FMトランスミッター」がBluetoothで繋がり、これと車載機はFM電波で繋がる。結果、ワイヤレス化が図れて、都度の接続も自動化される。なお中には、選曲等の主要操作を「FMトランスミッター」にて行えるモデルもある。そうであるとBluetooth接続ならではの利点を、ほぼすべて享受可能だ。
今回は以上だ。次回は映像系コンテンツを楽しみたい場合の「ソースユニット」事情を考察する。お楽しみに。
