欧州のベストセラー商用車、フィアット デュカト が正規販売店ネットで日本導入

フィアットプロフェッショナルディーラー経営陣
フィアットプロフェッショナルディーラー経営陣全 9 枚

ステランティスジャパンはフィアットプロフェッショナルのフィアットデュカト』専用の販売ネットワーク構築のため5社と正規販売代理店契約を締結。9月15日に調印式が行われた。

◆ステランティスジャパンが持続的に成長する決意の表れ

2月に開催されたジャパンキャンピングカーショー2022でお披露目されたデュカトが、ついに正規ディーラーを通じて販売開始される。

3グレード(全長と全高の違い)から構成されるフィアットデュカトの導入により、ステランティスジャパンは海外の自動車メーカーとして初めてRVマーケットに直接参入する」と調印式後の記者会見で口火を切るのは、ステランティスジャパン代表取締社長兼CEOのポンタス・ヘグストロム氏だ。そしてこれは、「我々にとって日本が大変重要なマーケットであることを示すものであると同時に、また、ステランティスジャパンがトータル8ブランドとなり、これらのブランドを通して持続的に成長を続けていくことに対する決意にほかならない」と語る。

今回導入されるデュカトは、「ヨーロッパで小型商用車セグメントシェア7割以上という驚異的な実績を誇るセグメントリーダーだ。この実績と知見を基に、ここ日本でのキャンピングカーセグメントへ参入する」と述べる。

が、「日本は、乗用車メーカー8社に加え商用車メーカーも4社がしのぎを削る大変成熟した自動車大国だ。世界的に見ても最も競争が激しく、その一方で、人口減などの構造的な課題を持っていることから、将来的に市場拡大に希望が持てないという思惑もあり、後発組にチャンスはないと考える人もいるだろう」と危惧する意見を紹介。

しかしポンタス氏は、「ジャパンキャンピングカーショーで、私たちが市場参入の発表をして以降、実に多くの方々から好意的なフィードバックをもらい、まさに驚くほどの反応だった」とコメントする。具体的には、標準装備のライン装着アイシン製ナビをはじめ、Apple CarPlay、Android Auto等々、「乗用車のような仕立てと、ドライバー目線の快適性能に対しての賛辞だ」という。そのほか、「先進機能のADASや非常にパワフルで静かで高効率のディーゼルエンジンと、それに組み合わされる日本製のATが紡ぎ出すパフォーマンスにも期待が寄せられている」と話す。そして当然ながら、「メーカー保証はもちろん、アフター用のパーツ供給なども万全にしている」と述べた。

フィアット デュカトフィアット デュカト

◆厳選された5社から

さて2月の発表以降、相当数の企業からアプローチがあったようだ。そこから、「まさに厳選された5社を紹介する。いずれもRV業界においてその名を轟かせている企業ばかりだ」と先陣を切るディーラーのレベルの高さをアピール。元々フィアットプロフェッショナルのビジネスモデルがB2Bであり、また製品自体もこれまでステランティスジャパンが扱ってきたものとかなり違うことから、「新たな販売ネットワークも、既存のネットワークとは一切競合しないものと考えており、むしろ、フィアットというブランドに新たな価値を付け加えると確信している」とポンタス氏。

その5社はホワイトハウス(愛知円名古屋市)、アールブイランド(茨城県常総市)、岡モータース(香川県高松市)、トイファクトリー(岐阜県可児市)、ナッツ(福岡県遠賀郡)である。

フィアットプロフェッショナルディーラー網フィアットプロフェッショナルディーラー網

ポンタス氏は、各社について次のように紹介する。ホワイトハウスは、「ステランティスジャパンのほぼすべてのブランドを長年にわたって販売。1980年代後半にRV分野へと事業の多角化を図られ、現在では軽キャンパー、キャブオーバーコンバージョンなど様々なキャンピングカーを取り使っている。木村社長のリーダーシップのもとホワイトハウスは自前の製造施設も保有されており、そしてテリトリー内には充実した店舗網も持っている」。

“ナッツRV”で知られるナッツは、「国内最大のキャンピングカーメーカーだ。キャンピングカーの製造と販売において30年以上の実績を誇り、国内のみならず中国やフィリピンにも製造拠点を保有している。日本全国にも8拠点を構えるナッツRVは、ステランティスジャパンにとって強力なパートナーになるであろう。同社代表の荒木社長は日本RV協会の会長でもあるので、我々と業界を取り持っていただく際に必要欠くべからざる人材だ」。

岡モータースは、「香川県高松市に本社を置く、国内有数のRVディーラーだ。これまで60年以上にわたってキャンピングカー製造販売、サービスの歴史を持ち、ステランティスジャパンにとって、四国エリアでかけがえのないパートナーになるだろう。キャンピングカー需要が非常に旺盛な四国で、岡社長が思い描く成長戦略のお手伝いをステランティスジャパンもぜひさせていただければ」。

RVランドは、「RVに特化した国内最大級のティーラーだ。RV販売において30年近くの経験を持ち、現在20ブランドを国内外で販売するメガディーラーだ。阿部社長の元、北は北海道から南は九州まで全国にお客様がいる」。

そしてトイファクトリーは、「国内最大のバンベースのキャンピングカーメーカーだ。藤井社長はデュカトでさらなる製品ラインナップの拡充を目指している。トイファクトリーは、ヨーロッパ調の内装製作を得意としていることもあり、デュカトとの親和性は非常に高いと捉えている。さらに、トイファクトリーはディズニーとのコラボにも積極的なので、もしかしたら、ディズニーのトイストーリーですとか、スターウォーズをモチーフにしたデュカトも考えられるかもしれない」。

◆どう仕立てられていくか楽しみ

今後についてポンタス氏は、「販売台数の伸びに合わせて販売とサービスのネットワークを順次拡大していく予定だが、今回の導入タイミングと、こういった形での展開はパーフェクトであると考えている」とし、その理由は、「キャンピングカー市場は世界的にも拡大の一途をたどっている。昨年2021年は日本のみならずアメリカやヨーロッパにおいても、キャンピングカーが記録的な販売台数を達成した1年だった。コロナ禍は多くの人々に、“インディビジュアルモビリティ”の安全性と楽しさ、そしてそれがもたらす新しい価値に気づいていただける契機となっただろう」と述べる。

それと同時に、「自国の良さを知る機会にもなり、同時に実際の旅路においても、そこから仕事ができるという大きな気づきもあっただろう」と話す。そして、「コロナ禍が去った後でも、キャンビングカーの価値は上がりこそすれ、下がることはないだろう。老若男女に問わずキャンピングカーが提示する新しいライフスタイルがこれからも支持されるだろう」と業界やユーザーのコメントを紹介し、今後の見通しが明るいことを示唆。

そして、「日本は、熱帯の沖縄からパウダースノーが舞う北海道まで、非常に豊かな自然と四季に恵まれた世界でも類い稀なる国だ。美しい山々や森林、海岸に加え素晴らしい郷土料理があり、また世界でも有数の安全を誇り、綺麗に整備されたインフラによって、自動車でのマイペースの旅を楽しいものにしてくれる」とし、そういった環境のもとでデュカトは、「キャンピングカーの素材として内外のメーカーやビルダーにとってまさに理想の1台だ。広大な後部スペースをどのように仕立てるかは想像力次第。無限の可能性を持っている。そしてドライバーの方々にとっても、キャンピングカーであることを忘れるような、普通の自動車を運転してるようなドライビングが楽しい1台だ」とコメントし、「パートナーの皆様がデュカトを素材としてどのように仕立ててくれるか楽しみでならない。来年のジャパンキャンピングカーショーで、デュカトをベースにしたRVがお披露目されるのか、そして国内のキャンピングカー愛好者の方々に、どういった新しい価値を想像されるのか、非常に待ち遠しい」と語る。

フィアット デュカトフィアット デュカト

最後に、「フィアットプロフェッショナルはRVのベース車両以上の可能性を秘めている。日本というマーケットは、フィアットプロフェッショナルにとって無限の可能性を持っている。特に、電動化において、商用車の可能性は大きいだろう」と電動化においても今後展開を考えていることを暗示した。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 15歳から運転できる「小さいオペル」に興味アリ!「通勤用にこういうのでいいんだよ」など注目集まる
  2. 【スズキ ソリオ 新型試乗】乗り心地と静粛性はクラストップ、だが「損をしている」と思うのは…中村孝仁
  3. 日産 リーフ 新型をライバルと比較…アリア、テスラ、bZ4Xと何が違う?
  4. ついにハイブリッド化! 新型トヨタ『ランドクルーザー300』の発表にSNSでは「バク売れの予感」など話題に
  5. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  3. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  4. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る