ボルボはトラックでも「オール電化」、新型の電動リアアクスルを初公開…IAAトランスポーテーション2022

ボルボの大型電気トラック『FM』(IAAトランスポーテーション2022)
ボルボの大型電気トラック『FM』(IAAトランスポーテーション2022)全 47 枚

ボルボ・トラックスは、ドイツ・ハノーバーで19日に開幕した「IAAトランスポーテーション2022」で、大型電気トラックのラインアップを展示、「業界で最も幅広い電気トラックのラインアップ」であることをアピールした。さらに電気トラックの航続距離をさらに延長するという新型の「電動リアアクスル」を世界初公開した。

「2030年までに50%のトラックを電動化する」

ボルボのプレスカンファレンス(IAAトランスポーテーション2022)ボルボのプレスカンファレンス(IAAトランスポーテーション2022)

ボルボ・トラックスは現在、同社の主力である44トンクラスの大型トラック『FH』『FM』『FMX』の電動バージョンの量産を開始している。このクラスは同社の売上の3分の2を占めており、電動化は環境負荷への大きな貢献につながると同時に、売上への影響も大きい。

大型クラスの3車種を電動化したことで、同社は現在6車種もの電気トラックを量産しており、「業界で最も幅広い電気トラックのラインアップ」であることを自負している。

ボルボ・トラックスのロジャー・アルム社長は、「これはマイルストーンであり、私たちが業界の変革をリードしていることを証明しています。初めて大型電気トラックを展示してから2年も経っていません。現在、私たちはラインアップを増やしており、これらの素晴らしいトラックをヨーロッパ中の顧客に届け、その後、アジア、オーストラリア、ラテンアメリカの顧客にも届ける予定です」と語る。

ボルボの大型電気トラック『FE』(IAAトランスポーテーション2022)ボルボの大型電気トラック『FE』(IAAトランスポーテーション2022)

大型電気トラックの生産は、スウェーデンのヨーテボリにあるトゥーべ工場でおこなわれており、2023年にはベルギーのゲント工場が続く。既存のラインで生産しているため、生産の柔軟性と効率が大幅に向上するとしている。バッテリーはゲントに新設されたバッテリー組み立て工場から供給される。電気トラックの需要は多くの市場で急速に伸びており、ボルボ・トラックスの電動ポートフォリオでは「現在ヨーロッパで輸送される全商品の約45%をカバーできる」と豪語する。

ロジャー・アルム社長は、「私たちは大型電気トラックを約1000台、電気トラック全体で2600台以上を販売しました。今後数年間で大幅に増加すると予想しています。2030年までに、世界中で販売するトラックの少なくとも50%を電動にする必要があります」とビジョンを語った。

航続距離をさらに伸ばす「電動リアアクスル」

ボルボの電動リアアクスル(IAAトランスポーテーション2022)ボルボの電動リアアクスル(IAAトランスポーテーション2022)

ボルボ・トラックスの電動化をさらに一歩押し進めるものとして、今回新たに「電動リアアクスル」を世界初公開した。より多くのバッテリー搭載を可能とし、さらに航続距離を伸ばすことが可能になるという。

ボルボは6車種の電気トラックを展開するが、一充電での最大航続距離は440km。これをさらに延長する手段として開発されたのが今回の電動リアアクスルだ。これは電気モーターとトランスミッションをリアアクスルに統合するというもので、スペース効率を向上させることでより多くのバッテリー搭載が可能となる。これにより航続距離を伸ばす。今後10年で導入される予定の燃料電池トラックにおいてもこの電動リアアクスルを搭載することが可能だという。

電動リアアクスルを発表するボルボ・トラックス、プロダクトマネージメントを担うジェシカ・サンドストローム氏(右)電動リアアクスルを発表するボルボ・トラックス、プロダクトマネージメントを担うジェシカ・サンドストローム氏(右)

ボルボ・トラックスは、数年以内にこの新しいeアクスルを搭載したキャブオーバーエンジントラックの連続生産を開始し、現在のバッテリー電気トラックのラインナップを補完するとしている。プロダクトマネージメントを担うジェシカ・サンドストローム氏は「私たちは、すでに生産されている汎用性の高いバッテリー電気トラックを継続します。それらは現在、幅広い輸送任務をカバーすることができます。数年以内に、現在よりも長いルートをカバーする顧客のために、この新しいeアクスルを追加する予定です」と語る。

また、ボルボ・トラックスとしてゼロエミッションに向けては、バッテリー電気車、水素燃料による燃料電池車、そしてバイオガスやグリーン水素、HVO(水素化植物油)で動作するエンジンの3つの戦略があると説明。「気候変動に取り組むには、さまざまな技術的解決策が必要です。エネルギーと燃料インフラの利用可能性は、国や地域によって、また輸送の割り当てによっても異なるからです」と結んだ。

《宮崎壮人》

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