プラグ交換でパワー&燃費向上 ~Weeklyメンテナンス~

プラグ交換でパワー&燃費向上 ~Weeklyメンテナンス~
プラグ交換でパワー&燃費向上 ~Weeklyメンテナンス~全 1 枚

エンジンには不可欠なスパークプラグ(以降プラグ)。しかしプラグはエンジンパーツの中でも寿命が比較的短いパーツだ。定期的な交換でエンジン性能を常にベストな状態に保つように心がけよう。

ガソリンエンジンの場合、シリンダー内に送り込まれた混合気(ガソリン/空気)に着火してエンジン内で爆発を起こすことでエンジンを回転させる駆動力に変えている。その際に混合気を着火する役割を担っているのがプラグだ。圧縮された混合気を最適な状態で着火させるためにはプラグの状態は大切だ。劣化したり不具合を抱えたプラグではエンジンの性能を十分に発揮できないので定期的なメンテナンスを実施しよう。

そもそもプラグは中心電極と外側電極の間に放電することで火花が発生する仕組み。そのため電極の状態が火花の状態を大きく左右することになる。プラグの劣化は主に電極の摩耗や汚れが原因。エンジンは何千回転~1万数千回転という高回転で回っている、その一回一回の爆発にプラグは火花を発生させている。そのため使い続けていると電極が摩耗して火花が飛び難い状態になってしまうのだ。中心電極と外側電極の間隔(ギャップと呼ぶ)が拡がることがその一因。かつては隙間ゲージなどを使ってギャップ調整をして再利用するケースもあったが、昨今はプラグを交換することが主流になっている。プラグの交換間隔は一般的なプラグであれば1万5000km~2万km程度と言われている。また電極部分に白金やイリジウムなどを使った長寿命モデルでは10万km程度の寿命を持つものもある。

ではプラグは劣化するとどんな不具合が起きるのだろう。ひとつは失火と呼ばれる現象だ。文字通り本来の目的である混合気への着火がうまく行かず爆発しない現象だ。もちろん当初はエンジンが動かなくなることはないのだが確実に性能は低下していく。例えばエンジンパワーの低下、始動性の悪化、さらには燃費の悪化、またエンジンの振動が大きくなるといった現象がプラグ劣化が原因の不具合例だ(不完全燃焼が起きやすくなるためCO2の排出量が増えるのも不具合のひとつ)。ただしこれらの現象は強く感じるわけではないので一般ドライバーには判断しにくいのがやっかいな点。少々プラグが劣化していてもあまり変化を感じないで従来通りにドライブできてしまうため問題ないと見なされてしまうのだ。

しかしあらためて燃費計算をしてみると従来よりも燃費が悪化していたといったケースも起きるのだ。そこで不具合を体感してからのプラグ交換ではなく、ある程度走行距離も目安にして予防的に交換しておくのが良いだろう。走りにも環境にも優しいのがプラグ交換の効果なのだ。

プラグを取り外して状態を確認するのもメンテナンスをする上では重要だ。燃焼が正常であればプラグの電極周辺はきつね色になっているのだが、ガスが濃いと黒っぽく、逆にガスが薄いと白っぽくなっていく傾向にある。ただし近年のインジェクションでは混合気の不具合が起きるケースは希なので、プラグの状態を見て交換時期を決めるよりも、走行距離を目安に交換すると良いだろう。ただし、低速走行ばかりしているクルマの場合には、くすぶっていて電極周辺がカーボンが付着してしまうことがあるので、その場合はワイヤーブラシなどを使って清掃して性能を復活させても良いだろう。

エンジン回りのメンテナンスというと専門技術が必要かと思うドライバーもいるだろうが、プラグ交換は作業のハードルが低いメンテナンスのひとつだ。適合サイズのプラグレンチさえあれば簡単に脱着可能だ。エンジンのヘッド付近にあるプラグキャップを外すとプラグが見えるので、装着されているのと同じ品番(熱価や形状が品番で表現されている)のプラグを用意して交換取り付けするだけ。ダイレクトイグニッションのクルマの場合はプラグキャップ部分にイグニッションコイルが設置され、ボルト固定されているケースもあるので周辺を脱着する必要のある車種もある。

消耗部品であるプラグは比較的安価なパーツなので、定期的な交換を心がけると良いだろう。走りのフィーリングが激変することは少ないものの、エンジン性能を常に最良の状態でキープするには欠かせないメンテナンスメニューだ。オイル交換のように交換タイミングを計画して定期メンテナンスを実施するようにしよう。

土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。


《土田康弘》

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