アバルト伝説のスポーツカー『1000SP』再来、5台限定生産へ…240馬力ターボ搭載

2021年に発表されたワンオフモデルの市販版

1966年のオリジナルモデルは最高速220km/h

軽量化とエアロダイナミクスを重視

アルファロメオ4C用の1742cc直列4気筒ターボ搭載

アバルト・クラシケ 1000 SP(右)とオリジナルのアバルト 1000 SP(1966年)
アバルト・クラシケ 1000 SP(右)とオリジナルのアバルト 1000 SP(1966年)全 10 枚

アバルトは10月18日、2ドアのオープンスポーツカーのアバルト『クラシケ1000SP』(Abarth Classiche 1000 SP)を10月20~23日、イタリアで開催される「アウト・エ・モート・ディ・エポカ」で初公開すると発表した。

◆2021年に発表されたワンオフモデルの市販版

クラシケ1000SPは、2021年5月にワンオフモデルとして発表されたアバルト『1000SP』の市販バージョンになる。アバルトが属するステランティスのヘリテイジ部門は、クラシケ1000SPを5台、限定生産する計画だ。

1966年、マリオ・コルッチによって設計されたオリジナルのアバルト1000SPは、軽量でパワフルなスパイダーだった。車名の「SP」とは、「スポーツ・プロトタイプ」を意味する。アバルト1000SPは少量が生産され、欧州のモータースポーツで活躍した。

2009年、アバルトはオリジナルの1000SPを再解釈し、新たなスポーツカーを開発する計画を発表した。オリジナルモデルのデビューから55年後の2021年に、プロジェクトは現実となり、ワンオフモデルのアバルト1000SPが発表された。

◆1966年のオリジナルモデルは最高速220km/h

1950年代後半、アバルトとアルファロメオは協力してスポーツカーを製造した。これは、アルファロメオのエンジニア、マリオ・コルッチに委託されたプロジェクトだった。アバルトの創始者のカルロ・アバルトは、テクニカルディレクターとしてマリオ・コルッチを雇い、コルッチは1966年、アバルト1000SPを生み出した。1000SPは、ヒルクライムや耐久レースで本領を発揮するように設計されており、シンプルで低く滑らかなボディラインが特徴だった。

オリジナルのアバルト1000SPのボディサイズは、全長3445mm、全幅1625mm、全高930mm、ホイールベース2200mmとコンパクトで、車両重量は480kgに抑えられた。排気量982ccの直列4気筒ガソリンエンジンは、最大出力105hp/8000rpmを発揮した。トランスミッションは5速MTを組み合わせ、最高速220km/hの性能を実現していた。軽量でパワフルな1000SPは1966年9月、ニュルブルクリンク500kmでクラス初の国際的な勝利を勝ち取り、アバルトブランドの名声を確固たるものにした。

熟練したエンジニアのコルッチは、チューブラーフレームシャシーのレーシングカーを完成させた。オリジナルの1000SPは、スタイル、パフォーマンス、モータースポーツでの勝利の点で、アバルトのレースの歴史におけるマイルストーンと認識されており、フィアットとアバルトのデザイナーに刺激を与え続けているという。

アバルト・クラシケ 1000 SPアバルト・クラシケ 1000 SP

◆軽量化とエアロダイナミクスを重視

ワンオフモデルのアバルト1000SPは、1960年代のオリジナルモデルに見られた基本的な設計原則を尊重している。何よりも重視されたのは、軽量化。第2の原則はエアロダイナミクス性能だ。最新の設計技術により、1000SPでは大胆なボディラインに、現代のスポーツカーにふさわしいエアロダイナミクス性能を組み合わせることが可能になったという。ユーザーエクスペリエンスの向上を目的とした人間工学により、車両の操作性も追求されている。

アバルト1000SPは、オリジナルモデルの特長的なボディラインと美学を反映しているという。フェンダーのボリュームが大径タイヤを強調しており、曲面で構成されたボディは、ミッドシップにエンジンを積むスパイダーらしいものとした。アバルト1000SPのリアでは、テールライトとエキゾーストパイプが調和することを目指したという。ボディカラーはレッド。フロントフードからリアのボンネットの冷却スロットまで、特長的なエアインテークがボディ各部に配された。

ヘッドライトは、オリジナルの1000SPのコンパクトデザインを踏襲しており、ノーズにポイントライトが採用された。リアから見た時に、車両のワイドさを強調するために、丸いテールライトが装備された。アバルト1000SPは、オリジナルのアバルト1000SPのモチーフに忠実な設計のおかげで、非常に良く似たアイデンティティを維持している、と自負する。

アバルト・クラシケ 1000 SPアバルト・クラシケ 1000 SP

◆アルファロメオ4C用の1742cc直列4気筒ターボ搭載

その一方、オリジナルモデルのチューブラーフレームシャシーは、カーボンファイバー製のセンターセルとアルミ製のフロントを備えたハイブリッドフレームに置き換えられた。

なお、市販版のクラシケ1000 SPには、ワンオフモデル同様、パワートレインにアルファロメオ『4C』譲りの排気量1742ccの直列4気筒ガソリンターボエンジンを搭載する。最大出力は240hp/6000rpmを引き出す、としている。

《森脇稔》

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