シルクハットにモーニングで対応…第15回クラシックカーフェスティバルin桐生

スバル 360
スバル 360全 29 枚

群馬県桐生市の秋を代表する大きなイベント、クラシックカーフェスティバルin桐生が11月6日に、群馬大学桐生キャンパスを舞台に開催された。主催はクラシックカーフェスティバルin桐生実行委員会。

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織物の都として1300年の歴史を誇る産業観光の街、桐生市。その街並みの一部は国から重要伝統的建造物群保存地区に指定されるほど、自身の文化に力を入れている。秋のイベントはファッションウィークとして織物の町、桐生をより多くの人たちに知ってもらおうと様々なイベントを開催している。そのトリを務めるのがこのクラシックカーフェスティバルin桐生だ。

今回15回目を迎えるこのイベントは、3年程コロナ禍でお休みとなったことから、待ちに待った開催である。それは参加者をはじめ観客、そして実行委員会も同様だったようだ。実行委員長の前原勝良氏は、「今年もやれるか、やられないか随分悩んだ」とその思いを明かす。「今年2月の流行のあと落ち着いてきたことから開催できるかと思ったが、7月から8月の大流行で完全に諦めた。しかし、実行委員はみなやりたくてやりたくて仕方がない。そこで群馬大学や商工会議所にも相談し、ぎりぎりで開催を決定。ただし、直前に流行した場合は開催中止が条件だった」とその苦労を語る。結果として秋晴れの中の開催にこぎつけたのだ。

開催規模は若干縮小。参加台数も100台程度としたのだが、200台を大きく超える応募があり、参加台数は170台、ラリーが60台とそれでも例年よりも台数を絞った。また、多くのキッチンカーが集まるので、それを楽しみに来場する観客も多かったが、今年はそれも中止。ただし、大学の学食をオープンしたほか、近隣に飲食の屋台が出展する場所を設けるなどで、人が一部に滞留することなく分散するような工夫も見られた。

それ以外は例年通りで、子供のお絵描き大会や、地元桐生警察署のパトカーと白バイを展示。さらに群馬大学が会場であることもあり、特任教授である、SUBARU技術開発部の岩瀬勉氏による“自動車の安全開発と次世代の技術研究”という特別公演が行われるなど、このイベントならではの特色は今回も継続されていた。群馬大学理工学部長の石間経章氏は、「理工学部は最新の技術を日々開発している。一方のクラシッカーは当時の最先端の技術が詰まっており、それをいまに伝えてるもの。長く良いものを大事にしているこの会は、私は大好きだ」とコメントし、古の最新技術がいまの最新技術を育んでいることを示唆した。

さて、群馬大学桐生キャンパスを埋め尽くしたクラシックカーたちを見渡すと、輸入車だけでなく、ちょっと懐かしい日本車も多く参加しているのもこのイベントの特徴だ。しかも、スポーツカーや高級車だけでなく、大衆車や軽自動車まで幅広い。それを見るだけでも参加者たちの層の厚さが感じられる。さらに、オリジナルに比較的近いものや、当時のナンバーをそのまま継続しているクルマも多く見みられることもポイントだ。そういったクルマたちの歴史を感じるだけでも、このイベントを見学に来る意味があるだろう。

前出の前原氏やクルマに関するエキスパートの人たちはシルクハットにモーニングという出で立ちで、多くの見学者からの質問に答えていたが、今回のイベントをボランティアで支えているJACKヒストリックカークラブの面々はオレンジのベストを着用し、徹底的に黒子に徹していた。そこで来年以降はぜひ、例えば往年のレーシングスーツやつなぎなどを着て盛り上げてもらいたいと思った。なぜなら、彼らもクルマに関しては相当の知識量を持っていることや、また、桐生市は織物の街、そして、ファッションウィークの最後を飾る大イベントだから、こういったコスプレをしてぜひステージの前面に出てきてほしい。

また、現在は桐生市という行政とともにこのイベントを盛り上げているが、今後は群馬県も巻き込んで、県を挙げた一大イベントに成長してもらいたい。群馬県は自動車メーカー、SUBARUの本拠地であり、また、2万人を大きく超えるイベントを県が支えることで、より大きな可能性に繋がっていくことが十分に想像できるからだ。末長く開催してほしいイベントである。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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