オルターネーターからEESMへ、次世代モビリティに備えるヴァレオ…パリモーターショー2022

オルターネーターの既存技術を活かし、電動車向け技術開発を加速

2つの電動モーター戦略で自動車以外にも幅広い製品に対応

130km/hまでの速度でのL3、L4自動運転の実現を目指す

ヴァレオ Group Chief Engineering& Marketing Officer ミシェル・フォリシエ氏
ヴァレオ Group Chief Engineering& Marketing Officer ミシェル・フォリシエ氏全 8 枚

近年の傾向どおりパリモーターショーも、国外自動車メーカーやサプライヤーの出展が減っている。ただし、母国がフランスのヴァレオは大きなブースで次世代技術をメインに展示を行っていた。

同社のはからいで現地のGCEMO(Group Chief Engineering & Marketing Officer)であるミシェル・フォリシエ氏に話を聞くことができた。その内容をベースに、同社が取り組む新技術や今後の戦略を考えたい。

オルターネーターの既存技術を活かし、電動車向け技術開発を加速

ヴァレオが展示していたのは、eアクスルを中心とした車両プラットフォーム関連のモジュール、2026年にはEUで法制化されるドライバーモニタリングシステム、そして次世代型のEESM(巻線界磁型同期モーター)、同社の第3世代となるLiDAR「SCALA3」だ。

EESMは、誘導型モーターの一種だが、回生ブレーキ効果も利用できるモーターだ。モーターのローター(回転軸)、ステーター(固定子)ともに巻線(コイル)を利用するので、誘導型モーターの欠点である高速走行時に逆起電力を制御できる。初期のEVやハイブリッド車は回生エネルギーを利用しやすく、ローターに永久磁石を利用する永久磁石型モーターを採用する例が多かった。しかし、現在ではルノー、日産のほかにもEESMを使うメーカーが増えている。同社は新しいEESMについてルノーグループとの協業を発表している。『ゾエ』や『アリア』(日産)にEESMモーターが採用されている。

そのためヴァレオでは、オルターネーターの既存技術を活かしながら、知見の少ない大型駆動用モーターについてはパートナーシップ戦略で対応する。その上で、電動車向けのモーター技術、およびモーターをベースとしたモジュラー開発、eアクスルに注力していく考えだ。

2つの電動モーター戦略で自動車以外にも幅広い製品に対応

ヴァレオがEESMに注目した理由について、フォリシエ氏は「永久磁石にはレアアースが必要だからだ。ネオジムなどレアアース資源のほとんどは中国に依存しなければならない。地政学的な問題や安価な採掘による環境破壊問題もある。EESMはゼロレアアースモーターを実現可能だ」と語る。地政学リスク、環境問題はどの企業も避けて通れない。すべての自動車メーカー、すべての産業に当てはまる。そして、希少資源回避は単純にコスト面でも合理性がある。


《中尾真二》

アクセスランキング

  1. 航続262kmの新型電動バイクが約10万円から、ビンファストが2モデル発表
  2. ジェイソン・ステイサムが『トランスポーター』つながりで魅力をアピール!? VWが新型カーゴバンをメキシコで発表
  3. 歴代最強? 新型ポルシェ『カイエン』はこうなる! 最上級グレードは1000馬力超え
  4. 軽キャンピングカー最大級の空間、ダイハツ『アトレー』ベースで363万9000円から
  5. トヨタ『カローラ』米2026年モデル、新デジタルメーター搭載で今秋発売へ
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. リチウムイオン電池の寿命を2倍に、矢崎総業、バインダフリー電極材料を開発
  3. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. 湘南から走り出した車、フェアレディZやエルグランド…日産車体が量産終了へ
ランキングをもっと見る