【スズキ アドレス125 新型】“通勤快速”がグローバルモデルに成長して帰ってきた

スズキ アドレス125
スズキ アドレス125全 24 枚

スズキは、125ccの新型スクーター『アドレス125』と『アヴェニス125』の販売を開始した。その発表会が都内で行われ、開発を手掛けたエンジニアから話を聞くことができた。まずは、アドレス125から紹介していこう。

アドレスは、初代モデルが1987年に登場した。50ccから始まったその歴史は、「アドレス100」(1991年)、「アドレス110」(1998年)、「アドレス125」(2005年)……とラインナップを拡大。途中、エンジンの4サイクル化や、グローバルモデルとしての発展を経ながら今に至る。

今回の新型「アドレス125」は、インドにおいて「アクセス125」の名で人気を集めていたモデルがベースになっている。国内の排ガス規制や保安基準の改正にともない、日本向けに最適化されて新しく導入されることになった。

◆「通勤快速」からのスタイルチェンジ

スズキ アドレス125スズキ アドレス125

従来のアドレスシリーズは、どちらかといえばシャープな外観が与えられ、「通勤快速」の異名にふさわしい高い機動性が支持されてきた。2017年にデビューした直近のモデルにもそのイメージが踏襲されていたわけだが、この新型は一転。丸みを帯びた、シンプルで親しみやすいデザインが与えられることになった。

開発コンセプトには「The Classic Commuter」、デザインコンセプトには「Timeless and Sophisticated」を掲げていることからも分かる通り、新型は普遍的なスタンダードスクーターとして生まれ変わり、街中に溶け込む上質さを持つ。

スズキ アドレス125スズキ アドレス125

エンジンには、軽量コンパクトな空冷4サイクルSOHC単気筒を採用し、最高出力は6.4kW(8.7ps)/6750rpm。また、最大トルクの発生回転数を従来型エンジンよりも500rpm下げることによって、扱いやすさとスロットルレスポンスの向上が図られている。

また、日常の足として見逃せないポイントが燃費の良さだ。現実の走行場面に即したWMTCモードで53.8km/リットルを公称。燃料タンクは5.0Lの容量が確保されているため、計算上は満タンで270km近くを走れることになる。

◆インド仕込みの搭乗性と実用性

スズキ アドレス125スズキ アドレス125

さて、アドレス125はスクーターゆえ、やはりユーティリティが気になるところだ。一見して優れていそうなのはシートだろう。その座面は前後に長く(全長は従来比でプラス62mm)、フラットな形状を持つことに加えて、大型のグラブバーを装備。メインマーケットのインドでは2人乗り(もしくはそれ以上)が当然のため、その時の乗降性や快適性は外せない要件だ。

また、給油口を車体後部に設けることによって、給油の際にシートを開ける必要がなく、燃料タンクがフロア下にない分、足つき性が犠牲にならない(シート高は770mm)など、さまざまな工夫が見られる。

スズキ アドレス125スズキ アドレス125

もっとも、そのトレードオフとしてシート下収納スペースはやや圧迫され、形状や大きさによっては入らないヘルメットもあるとのこと。このあたりは要確認であり、使い方や求める機能の優先順位によって検討したい。ちなみに純正アクセサリーとして、トップケースの用意がある。

スマートフォンの充電に使えるUSBソケット、ペットボトルなどが収納可能なインナーラック、かばんや買い物袋が掛けられるフックなどはもちろん標準装備。また左ブレーキレバーを握ると、リアと連動してフロントブレーキも作動する「コンバインドブレーキ」の採用によって、安全性も引き上げられている。

◆これまで以上に親しみやすいモデルへ

スズキ アドレス125とアヴェニス125 発表会の様子スズキ アドレス125とアヴェニス125 発表会の様子

「日本市場におけるアドレス125の年間販売予定台数は、9500台程度を見込んでいますが、すでに投入しているインドでは、50~60万台という規模で推移。文字通り、ケタ違いの台数で、多くのお客様にご好評を頂いております。」
「デザイン的にもこれまで以上に受け入れて頂きやすく、裾野をさらに広げられるモデルだと考えておりますので、年齢も男女も問わず、この機能と性能をお楽しみください。」と、チーフエンジニアの森井秀史さんは語る。

今回、会場には多数の実車が展示され、足つき性のよさや取り回しの軽さ、高い質感を確認することができた。実際に走っての印象は、またあらためてお届けしたい。アドレス125のカラーバリエーションは、ダークグリニッシュブルーメタリック、マットボルドーレッドメタリック、パールミラージュホワイト、マットブラックメタリックの4色。価格は27万3900円で、2022年10月18日から販売が始まっている。

《伊丹孝裕》

モーターサイクルジャーナリスト 伊丹孝裕

モーターサイクルジャーナリスト 1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. 【トヨタ GRカローラ 新型試乗】「GRヤリス」とはスタンスが明確に違う理由…河村康彦
  2. [音響機材・チョイスの勘どころ]サブウーファー「小型・薄型モデル」の選択のキモは、“サイズ”と“音”と“価格”!
  3. 『N-BOXカスタム』用パーツが一挙発売、ブリッツからエアクリーナーシリーズ4種類・5製品が発売
  4. アルピナ『B3』が2度目のフェイスリフトへ! リムジン&ツーリングをWスクープ
  5. ランボルギーニ、新型車を間もなく発表へ…電動『ウルス』の可能性も
  6. トヨタ『スターレット』復活! 2026年デビューか?
  7. アントレックスが折りたたみ電動スクーター『MK114』発売へ、軽自動車にも積載可能
  8. トヨタ『ハリアー』が今夏ビッグマイチェン!? 「ハンマーヘッド」デザイン採用か
  9. ポルシェ『カイエンGTS』改良新型、日本での予約を開始---価格は1868万から
  10. 三菱『エクリプス クロスPHEV』は、新しい毎日に踏み出せる「今の時代、最強の1台」だPR
ランキングをもっと見る