アウディの「道路を走るプライベートジェット」、『グランドスフィア』…米デザインイベント出展へ

車両デザインの中心的要素はインテリア

A8より長い3190mmのホイールベース

自動運転モードでは映画鑑賞やビデオ会議が可能

アウディ・グランドスフィア
アウディ・グランドスフィア全 10 枚

アウディは11月28日、米国で11月30日に開幕する「デザイン・マイアミ2022」に、大型EVセダンコンセプトの『グランドスフィア』(Audi Grandsphere)を出展すると発表した。

グランドスフィアは、アウディが2021年に発表した3台の次世代コンセプトカーのひとつだ。アウディは3台のコンセプトカーで、アウディが未来の高級車をどのようにデザインするかを提示した。

3台に含まれる共通のルートワードが、「スフィア(sphere)」だ。3台のコンセプトカーでは、新しいインテリアコンセプトと、車内での新しいデジタル体験を提案する。パワートレインはEVとした。

◆車両デザインの中心的要素はインテリア

アウディ・グランドスフィアアウディ・グランドスフィア

グランドスフィアの開発コンセプトは、道路を走るプライベートジェット。飛行機のファーストクラスを連想させる快適性を備えたラグジュアリーなプライベート空間と、包括的な乗車体験を融合している。自動運転モードでは、ステアリングホイールとペダル類が格納され、ディスプレイが消えて、インテリアが広々とした空間へと変化する。フロントシートはスペースや見晴らし、包括的なデジタルエコシステムによる多彩な機能へのアクセスを可能にし、ファーストクラスのラウンジになるという。

アウディは乗員を取り巻く空間を、スフィア=球、と呼び、デザインの中心的要素にインテリアを据えている。この次世代の車両では、発想の起点はインテリアにあり、移動中の乗員の生活と体験を重視した。乗員のニーズと欲求が空間を形成し、これがアーキテクチャーや機能へと発展する。

この再評価により、デザインプロセスそのものにも変化が現れたという。開発の初期段階で、焦点はインテリアとそのデザインに向けられることが確認された。その後、車両の技術的なスペックに基づいて、車両を総合的な芸術作品へと変えるパッケージング、エクステリアライン、プロポーションが決定されたという。

◆A8より長い3190mmのホイールベース

アウディ・グランドスフィアアウディ・グランドスフィア

グランドスフィアのボディサイズは、全長5350mm、全幅2000mm、全高1390mm。3190mmのホイールベースは、現行『A8』のロングホイールベースよりも長い。グランドスフィアは、伝統的なセダンのスタイルを踏襲するのではなく、風洞実験室から出てきたようなラインを持つタイトな4ドアGTを目指した。そこには無駄な装飾は存在しないという。

エクステリアデザインには、EVの特長が表現された。短いオーバーハング、フラットなボンネット、可能なかぎり前方に移動したフロントウィンドウなどのデザイン要素をフロント部分に導入する。ボンネット上端は、シャシー側面の水平線へと引き込まれ、伝統的なGTカーの特長の長いエンジンコンパートメントを印象づけることを狙う。このラインがホイールを横切って同じ高さでリアへと続き、キャビン全体を一周して、サイズ感を強調している。

ボンネットのベース部分に端を発する第2の水平ラインは、サイドウィンドウ下側を通過し、キャビン全周を貫く。第2のラインによって、ドアの表面は、水平基調のショルダー部と、ロッカーパネルに挟まれた凸状の鉛直部分に分割された。ホイールアーチには、ソフトな形状が採用されている。大きなCピラー後方のスリムなリアセクションは、伝統的な流線形がモチーフ。ルーフラインは、ダイナミックなアーチを描く。あらゆる線と面は有機的に関連し、ひとつの大きな塊から削り出したような印象を与えることを目指したという。

◆自動運転モードでは映画鑑賞やビデオ会議が可能

アウディ・グランドスフィアアウディ・グランドスフィア

ドアは観音開きで、Bピラーはない。乗員が室内に乗り込むと、識別機能によって乗員を事前に認識し、ドアを開き、パーソナライズされたディスプレイとアンビエントライトによって乗員を迎え入れる。さらに、ドライバーと乗員の位置を自動的に検出し、空調コントロールの設定やシート位置などの快適機能を、各乗員に合わせて調整する。同時に、インフォテインメントシステムは、乗客が最近使用したサービスにアクセスし、すぐにそのサービスを再開する。たとえば、乗員がタブレットで試聴していたビデオを、車載ディスプレイで自動的に再生する。運転席では、ドライバーが読んでいたニュースをピックアップして、投影面に表示する。

指先ひとつで車両を起動させると、複数のディスプレイがフロントウィンドウ下のウッドサーフェスに投影される。ステアリングホイールを使用した手動モードかレベル4の自動運転かを問わず、運転状況に応じて、ディスプレイは、ダッシュボード全幅いっぱいに表示される場合と、運転席と助手席の間で分割表示される場合がある。

自動運転モードでは、投影面で映画を楽しんだり、インフォテインメントコンテンツを表示させたり、ビデオ会議の画面として利用したりすることができる。また、投影面の下にはセンサーバーが一体化されていて、音楽再生やナビゲーションなど、異なるコンテンツを切り替えられる。ここには、車内でアクティブになっているすべての機能とアプリケーションが表示され、メニューごとにアイコンが点滅する。

《森脇稔》

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