「DSP」がカーオーディオを変えた!?[カーオーディオユニット AtoZ]

「単体DSP」を搭載したオーディオカーの一例(ジャンライン&パートナーズ デモカー)。
「単体DSP」を搭載したオーディオカーの一例(ジャンライン&パートナーズ デモカー)。全 3 枚

クルマの中で“良い音”を聴くことに興味を抱くドライバーに向けて、システムアップに役立つ情報をさまざま紹介している当コーナー。今回からは新章に突入し、「DSP」をテーマに据えてお届けする。まず今回はこれが何なのか、そしてどう普及してきたのかを説明する。

結論から入ろう。「DSP」とは「デジタル・シグナル・プロセッサー」の略称で、つまり、デジタル状態の音楽信号を制御するためのメカだ。車内は、好きな音楽を誰にはばかることなく大音量で聴けるという意味ではリスニングルームとして適しているが、実は音響的なコンディションはあまり良くない。

良くないポイントは主には2つある。1つは「狭いこと」で、もう1つは「リスニングポジションが左右のどちらかに片寄ること」だ。「狭い」がゆえに、音がガラスやパネル類に反射して、その反射音もたくさん耳に入ってくる。そして「リスニングポジションが左右のどちらかに片寄ること」で、左右のスピーカーから発せられる音をバランス良く聴けない。また、音の到達タイミングもスピーカーごとでズレてしまう。

しかし「DSP」に搭載されている「サウンドチューニング機能」を駆使すると、これらへの対処が可能となる。ゆえに、カーオーディオシステムの性能を上げようとするときには、「DSP」は必需品となる。

なお今から20年ほど前までは、「DSP」は「メインユニット」に内蔵されているか、または別体化されていても特定の「メインユニット」とセットで使うようになっていた。つまりその頃には単体の汎用「DSP」は存在していなかった。しかし2000年代の半ばくらいになると、取り外しができない「純正メインユニット」が増えてきた。また、「AV一体型ナビ」が使われることも多くなり、高性能な「DSP」を内蔵した市販「ハイエンドメインユニット」を取り付けにくくなってきた。

そういったことを背景に、2000年代の後半あたりからいよいよ汎用の「単体DSP」が登場する。そして2010年代になると「単体DSP」に「パワーアンプ」が内蔵されたモデルも登場し、これらの愛用者が年々増えていく。

なお、2010年代に入って数年経つと、「AV一体型ナビ」でありながら高性能な「DSP」を搭載するモデルが出現し、また一部の愛好家は「ハイエンドメインユニット」を使い続けていて、「DSP」はどちらかというと「やむを得ず使うアイテム」という色彩も濃いめだった。

しかし2010年代の半ばに状況が一変する…

今回はここまでとさせていただく。次回は「DSP」が一気に普及したその背景について解説していく。お楽しみに。

《太田祥三》

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