【テスラ モデルY 買いました 10】“足”としてのクルマにしては快適すぎる

テスラ モデルYは“足”としてのクルマにしては快適すぎる?
テスラ モデルYは“足”としてのクルマにしては快適すぎる?全 5 枚

テスラ『モデルY』が発売されたと同時にとっさにポチッてしまった一編集者である筆者。無事納車され、いよいよ始まったテスラ・ライフの真骨頂がそのドライビング性能だ。日々運転して実感しているという、その快適さとはいったいどういうものなのだろうか?

◆“足”としてのクルマにしては快適すぎる

ボクが基本的にクルマに求めるものは“足”として必要十分な機能と安全性だ。あまり確信がないままにモデルYをポチったのだが、日々運転していると前者においてはまったく問題ないと感じている。いや、問題がないどころか快適なのだ。

その快適さは、まず、朝、クルマに乗るときに感じる。テスラにはアプリがあることを以前ご紹介した。アプリの個別機能は、今後、少しずつご紹介するが、機能の1つに「スケジュール」というものがある。ここには「出発」と「充電」という項目があり、出発には「プレコンディショニング」と「オフピーク充電」という項目がある。出発予定時刻をプレコンディショニングに設定しておけば、家を出るときには車内は設定温度になっていて暑いときも寒いときも快適な車内温度になっているというわけだ。ハンドルヒーターやシートヒーターも設定できるのでとくに寒い冬も手をお尻とシートの間に片方ずつはさみ暖めながら運転する必要もない。また、このときバッテリーも暖められて出発に適したコンディションに整えられている。

ちなみに「オフピーク充電」というのは「充電終了希望時刻」を設定するもので、例えば深夜の割安料金で充電している人は割安料金が終わる時刻を設定しておけばいい。「充電」の項目では予約充電ができる。これは「充電希望開始時刻」を設定できるものだが「オフピーク充電」との併用はできないので、自動で充電を開始し、終了させることはできないので注意が必要だ。

ちょっとわかりにくいがマニュアルによると「オフピーク充電」の基本的な考え方は、出発予定時刻ギリギリまで充電しておけばバッテリーが冷めることなくプレコンディショニングのために改めて暖めなくていいので、出発時間を逆算して充電することで電気代の節約になるということらしい。

あらかじめアプリで出発時間を設定すれば、車内温度やバッテリー温度の準備をしてくれるあらかじめアプリで出発時間を設定すれば、車内温度やバッテリー温度の準備をしてくれる

◆同乗者がいるときはチルモード

さて、そうして走り出すのだが、以前ご紹介したようにボクは街中では加速を「スタンダード」に設定して、その走りを楽しんでいる。アクセルを踏めば踏んだ量だけリニアに加速が増える印象があり、自分の足の動きに合わせて加速するのが楽しいのだ。

とはいえ、街中ではいつもいつも加速するわけではない。ゼロヨン競技をやっているわけでもないので青信号のたびに強い加速をともなうスタートは必要ない。必要なのは脇道から主車線に合流するときなどの中間加速の強さだ。モデルYはそういうときに心強い。RWDモデルではあるが、まったく問題なく加速してくれる。

では「チル」モードはまったく使わないかと言えば、そうでもない。強い加速は運転している本人にとっては気持ちが良いものだが、同乗者にとっては急な加速が必ずしも心地良いというわけではない。そういうわけで同乗者がいる場合、ボクは「チル」に設定するようにしている。「チル」だからといって中間加速が必要なときに加速しないわけではないし、強くアクセルを踏めば、立ち上がりは柔らかだが、すんなりと加速してくれる。

SNSなどで乗り心地が固いという感想が散見されるが、クルマの乗り心地は個人個人で異なる。確かにふわふわのクルマに乗っていた人にとってはモデルYの乗り心地は固く感じるだろう。ボクはもともと少し固めなほうが好きなこともあり、モデルYの固めの乗り心地は嫌いではない。とくにスポーツ走行するときは固い方が安定しているので安心だ。

安定しているといえば、テスラのクルマは床全体にバッテリーが引き詰められている。クルマの部品のなかで、その重量のほとんどの部分はバッテリーが占めているので、そのバッテリーが床一面にあるということが安定につながっていることは容易に想像できる。だから、車高の高いSUVであってもカーブを曲がるときに横揺れの不安を感じることなく走行可能だ。

ワンペダル走行の安心感と快適さ

モデルYには、停車したときのモードが「クリープ」「ロール」「ホールド」と3種類用意されている。マニュアルによるとそれぞれ基本的に以下のように動作する。

クリープ…完全に停車しそうなとき、または完全に停車しているときには、従来のオートマチックトランスミッションの車両同様に、ModelYを(ドライブで)ゆっくりと前進させたり(リバースで)後退させたりしてモーターがトルクをかけ続けます。

ロール…完全に停車しそうなときや完全に停車しているとき、ModelYは車両のニュートラルのように勝手にタイヤが回転する状態になります。

ホールド…「クリープ」または「ロール」の設定時よりも低速で回生ブレーキを利用することで、航続距離を最大限に伸ばしブレーキ摩耗を低減させます。ModelYが停車すると、ブレーキペダルを足で踏まなくても自動的にブレーキがかかります。平らな道路で停車しても坂道で停車しても、「車両ホールド」ではアクセルペダルやブレーキペダルを踏んでいない状態でブレーキをかけ続けます。

実際に運転してみると、エンジン車の動きにもっとも近いのが「クリープ」で、アクセルから足を離すとゆっくりと動くので信号などの停車待ちでも常にブレーキを踏んでおく必要がある。「ロール」は、まったく力がかかっていない状態なので、上り坂の信号待ちでは後進してしまう。これもブレーキを踏む必要がある。

「クリープ」モードの設定画面「クリープ」モードの設定画面

これらに比べて多くのテスラ・ドライバーが選んでいると思われるのが「ホールド」だ。このモードでは、アクセルから足を離すと自動的にブレーキがかかる。走っていた速度に応じてゆっくりとブレーキがかかる印象だ。これは“回生ブレーキ”と呼ぶものでEV特有のものである。

モーターは電気を流すと軸が回転するものだが、逆に、軸を回転させると電気を生み出す。モーターも発電機も基本原理は同じ。だから、クルマが前に進んでいるときにアクセルをゆるめると、前進しようとする推進力で軸が回転して電気を生み出す。そのとき軸を回すには力が必要なので、それがブレーキとなってクルマは停車するのである。生み出された電気はバッテリーに貯えられる。

例えば、山道を登っているときは大きな力が必要なので、電気も大量に消費する。EVは通常そのままバッテリーが空になるまで走ったときの航続可能距離を表示するので極端に航続可能距離は短くなる。しかし山の頂上から下りるときはアクセルを踏むことが少なくなり、ほとんど回生ブレーキのみとなって逆に電気が貯えられることになり、航続可能距離も増えるのである。昔、日産『リーフ』で箱根に行ったときにドキドキしながら登り道を運転したことを思い出す。

このように回生ブレーキを使用して、通常の運転ではアクセルペダルだけで前進、速度調整し、ブレーキをかけることになる。これはいわゆる“ワンペダル走行”と言われるもので、スムーズに停車するようにアクセル操作にはコツが必要だが、慣れればうまく停車できるようになる。一度ワンペダル走行に慣れてしまえば、これほど楽なものはない。

「ホールド」モードの設定画面「ホールド」モードの設定画面

また、テスラの「ホールド」モードでは、アクセルペダルから足を離して完全に停車したとき、エンジン車で言うサイドブレーキがかかった状態になる。だから信号待ちでもブレーキペダルを踏んでおく必要がない。ちなみにブレーキをかけることが極端に少なくなるので、ブレーキパッドの減りも少なくなり、ディスクブレーキ周りの汚れも少なくなるそうだ。ただ、回生ブレーキはバッテリーが100%近く充電されたときは弱くなるとのことで、満充電のときはそのようなメッセージも表示される。しかし感覚としては、弱くなったような感じもないので、それほど気にすることはない。

テスラの運転モードは半自動運転的なオートパイロットという機能がある。次回はその機能と安全性について紹介しよう。

田代真人
福岡県出身。九州大学工学部卒業後、朝日新聞社入社。その後、学習研究社にてファッション女性誌編集者、ダイヤモンド社にて初代Webマスター、雑誌編集長、書籍編集などを経て独立。出版&電子出版、Webプロデューサー、PRコンサルタントとして活動後、現在は、駒沢女子大学教授、桜美林大学非常勤講師を務める。専門は「編集論」。

《田代真人》

田代真人

田代真人 福岡県出身。九州大学工学部卒業後、朝日新聞社入社。その後、学習研究社にてファッション女性誌編集者、ダイヤモンド社にて初代Webマスター、雑誌編集長、書籍編集などを経て独立。出版&電子出版、Webプロデューサー、PRコンサルタントとして活動後、現在は、駒沢女子大学教授、桜美林大学非常勤講師を務める。専門は「編集論」。

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